大好きになった物語の最新刊。


発刊されてすぐの頃に読みましたニコニコ
カクヨムで発表されていたのものに手を加えられ、清喜、沈太鑑、明慧、王太妃、梅花や麗丹の小玉と出会う前の過去の話が纏められています(^-^)
ただ、カクヨムでは現役のこととして書かれているけれど、こちらの小説では年老いて死ぬ間際に過去を振り返ったり、相手に語るという形で、少々寂しさを感じます。

王太妃の下りは過去を語りつつも、今や馮王領の王となった王太妃の息子、そしてその臣下となった明慧・樹華の息子の誠との話になっている。
馮王の奥さんは文林と妃嬪の仙娥との間に生まれた令月。
馮王に嫁いだ令月と、季真桂が再会する場面はほっこりする(*^^*)

そこから次の話。
文林の遺言により皇后を廃された小玉と、一緒に暮らしている丙と紅燕夫婦のもとに令月と季真桂、そして誠が訪れて団欒があります。
小説の最終の14幕では庶子に落とされた小玉は馮王領に行き、そこで丙と農民として過ごしていたけれど、ここではいつの間にか小寧に移住している。
小寧は、零幕でまだ武官だった小玉が左遷された土地。
ここに家を買って老後にと備えていた場所。
そして老いた小玉が終焉を迎える土地。
 

「ありがとう。あんたと一緒で幸せだった。あんたとじゃなきゃ作れない幸せだった」と文林を想いながら幕を閉じます。



この作品を知ったきっかけはコミック本から入ったけれど、小説を読み始めると文林の小玉への愛情の深さにどんどん引き込まれていきました。
生涯他の女性を愛することは決してなく、小玉だけを強く求めている。

小玉の方も心の奥底では文林を求めているのがわかるのに。
巻が進むほど、なかなか想いが伝わり合わず、原作はどんどん2人の心が離れ、読むのが辛くなっていきました。
読んでいてもときめく部分がない。
また六幕辺りから隣国の情勢の記述が多くなり、その辺りの人たちの関係に興味が持てず。

ページ数に限りがあるので、傾国の話であったとしても、もっと文林と小玉のやり取りを中心に書いて欲しかったなぁと思います。

隣国の物語は別の物語でスタートさせて、読者は(この裏側に小玉と文林がいるのねー♡)と思う方が楽しめたと思うのに。

そして本当に残念なところは、

文林が騙される形で新しく迎えた妃嬪の仙娥との間に子を作り、産まれた娘に付けた名前が「令月」。

沈太鑑経由で(文林は小玉のもとへ頻繁に訪れなくなっていた)その名前を聞いた小玉。
由来を訪ねると、”めでたい日、めでたい月”という意味を持つ「嘉辰令月」から取り、 

「かつてこの宮に住んでいた方を偲び、そして、自分が最も尊敬する女性の名の字の一部と重なる文言にしたい」

と言っていたと。

皇后を廃され紆余曲折があり、妃嬪の充媛となった小玉の住んでいる宮にはかつて謝月枝が住んでいた。
文林は月枝を偲び、そして文林が最も尊敬する女性の名の字の一部と重なる文言は「明慧」と思う小玉。

そして本心から「素晴らしい」という小玉。

小玉は鈍感だし、頭は良いけれどやっぱり農村で生まれ育ち、無学であるから、そういう反応をしても仕方がないけれど。

最後まで読み続けても、ずっとそのまま。
成長した令月に、名前の由来を自分の親友だった明慧という人物の名前の一部を使ったと教えているし。

読者としては、そうではないと思うんだけど。

令月の「月」。
中国で月の別名は「玉兎」。
玉兎の玉って小玉の名前の一部。

”最も尊敬する女性の名の字の一部の文言”

これは明慧ではなく、小玉だと思う。
文林は小玉を想いながら娘の名前を付けた。

そうだとしたら、物語の中で小玉自身が明慧のことだと思ったとしても、沈太鑑や清喜の口から小玉に伝えるとか、なんらかの形で文章の中に読者のためにきちんと書いてほしかったな。


「小説家になろう」にある「ある皇后の一生」の最後には、ノベライズにはない部分があります。

 

廃后関氏~の下り。

 



 ”一(いつ)に小月と云ふ”

そう。
作者は「玉」=「月」を知っている。



救われたのは、コミカライズの方は途中から原作から離れ、オリジナルのストーリーになったこと。
心に張られていた殻が破れて、文林への想いに気付いた小玉。
戦略を考えたり、駆け引きなどが苦手な小玉は体当たりで文林に想いをぶつけ求婚する。
「皇帝」と「皇后」という体裁は変えられないけど、心は普通の夫婦でありたい、と。


 

ようやく両想いになった2人だけど、あっけなく連載が終わってしまい、イチャイチャがあまり見られず残念💧

文林は真面目で有言実行な人だから、

「小玉の名を千年先に残すこと」

を目標にして皇帝にまでなっちゃったけれど、

ならば、「今度は皇宮で小玉と2人で幸せな日々を作り上げてみせる」

とかいうのを新たな別の夢にして、もっとイチャイチャしてほしい。
それを栗美あい先生が連載してくれないかしら。
と妄想しています(^-^)