Tokyo Disney Resort 40th - Dream Go Round | The Wonderful World of Disney

 

東京ディズニーランドから改め東京ディズニーリゾートとなってから40周年。時代と共にパークが提供する体験であったり、楽しみ方というのは大きく変わってきました。全体的に振り返っても、良いと思える要素よりもこれどうなの?っていう部分が個人的に多く思う部分があり、独り言として書き記しておきます。

 

 

・ディズニーハロウィーン

ハロウィーン自体を取り入れた企業等は古くから存在したと言われていますが、1997年に東京ディズニーランドでハロウィーンというイベントが開催されたことを受けて、ハロウィーンという知名度を全国的に広げるようになりました。今となっては「秋」の定番イベントです。初めは装飾だけだったイベントですが、次第にハロウィーンにちなんだパレードやショーを開催するようになり、そしてハロウィーンといえばの「仮装」をしての入園を認めるようになったのも2000年頃から火をつけることになります。ハロウィーンという慣習を取り入れたまでは良かったものの、次第に「お化け」→「怖い」→「悪役」→「ヴィランズ」→「魔物」というようにイベントのテーマ性も大きく脱線してきて今に至ります。イースターも同じようにかなり脱線していきました。

 

ハロウィーンといえばコスプレが定番ですが、東京ディズニーランドでは、ディズニーキャラクターのイメージを損なうことを避けるため、大人がディズニーキャラクターに扮して入園することはできません。ただし、12歳以下の小学生までであれば年間通じて特に制限されていません。しかし、ハロウィーン時期ではディズニーキャラクターに「仮装」することが認められるようになったのですが、これが誤った方向に梶を切ることになります。もう一度書きますが、「ディズニーキャラクターのイメージを損なうことを避けるため」です。また、これに関連する話にはなりますが、ディズニープリンセスに近しいウェディングドレスを着ての入園も正式にNGであり、ディズニーホテルのウェディングプランでないとパーク内に足を運ぶことができません。

 

「仮装」の本来の意味はそれらしく見せることですが、キャラクターそのものになりきったり、中にはパーク内のエンターテイメントプログラムで活躍するダンサーと同じ格好をする人が次第に出始めるようになりました。東京ディズニーリゾートのハロウィーンイベントでは、全身仮装をして入園できる日が細かく設定され、コスプレして入園できる日が限定されていました。また、初期は東京ディズニーランドだけが許容されていたのですが、次第に東京ディズニーシーでも解禁されています。そのため、素人のコスプレ姿を見たくない人にとって、あえてシーに入園したり、仮装可能な日を避けて入園することで、目にしたくない選択をすることができたのですが、2010年代後半ではイベント期間全日において全身仮装という名のコスプレ入園が許容され、目にしたくなくても必然的に視界に入ってしまうようになりました。近隣施設のボン・ヴォヤージュやイクスピアリでも仮装している人が目に入ってしまうのもこの期間の嫌な風物詩となりました。

近年ではSNSにコスプレ姿を投稿することが主流となっており、それを楽しみに入園する人で賑わっているのも事実ですが、所詮素人がコスプレしてワイワイ盛り上がっているだけです。それを良く思う人よりも思わない人の方が多いのではないでしょうか。例え、プリンセスのコスプレをしている人がビール片手に楽しんでいようが、プリンスのコスプレをしている人がそこらのJKをナンパしようがその人の自由です。もっとも、キャラクター自身が着ぐるみだと思わせるような姿の人だっています。何よりコスプレしている人は一般客ですから完全にキャラクターになりきる必要もありませんし、SNSウケを狙って面白半分なこともできてしまうわけです。近年だと着替えスペースが制限されたこともあり、プリンセスの格好のまま車を運転してパークへ行くなんて写真が出回るのがお決まりになっています。

 

イベントの趣旨が楽しんでもらうであればそれらの行為は決して否定しませんが、仮に小さいお子様がそういった光景や姿を目にしたらどうでしょうか?やっと会えたと思ったキャラクターが...ってなったり、あそこにいるキャラクターがこんなことをしてる...という印象を与えかねません。大人が不快に感じるのであれば、子供ならトラウマを残すレベルではないでしょうか。初めにも書きましたが、大人がコスプレして入園してはいけないのは、こうした誤解を与えないため、ディズニーキャラクターのイメージを守るためです。ディズニーキャラクター(キャラクターグリーティング)として登場しているキャラクターと仮装している人の区別がつかなくなったら仮装ではなく、コスプレになります。マイナーなキャラクターの仮装をしていれば、ディズニー作品を知らない人からしたらコスプレなのか目立つ格好なのか判別つかないでしょう。周りの人に誤った解釈をされても、それをディズニーパーク側が許容し続ける以上は、イメージよりも楽しんでもらうことを大いに優先していると読み取りますので、そういった光景を見て不快に思う人は来なくて結構ですという姿勢なのでしょう。

 

日本人の容姿を否定するつもりはありませんし、何よりディズニーキャラクターのイメージが崩れることは今に始まったことではありませんが、軌道修正しない運営側にも嫌気がさしてきましたので、個人的にはハロウィーンは嫌いなシーズンです。余程魅力的なエンターテイメントプログラムが生まれても、仮装が許容されている以上は好きになることも応援しようとも思いません。個人の勝手です。

 

なお、仮装入園以外にも、最近ではバウンドコーデが流行っており、ディズニーキャラクター風のファッションとしての格好をして入園する人が増えていますが、仮装との線引きが怪しいところではあります。がっつりとした仮装(コスプレ)をやるよりはまだマシな方ですがそれでも見ていてどうなの?って思う部分はあります。こちらも特に入園時に止められることもないので、今後も制服ディズニー・仮装入園に続いて慣例化してしまうのかなと思います。いずれにせよ、入園時のチェックがあるようでないものなので、どんな格好をしても入れてしましますし、園内の化粧室で着替えてしまえばどうにでもなるので、厳密に制限はできないでしょう。メインターゲット層にそういうニーズがある以上は、今後も運営側は受け入れると思いますし、バウンドコーデというのを意識したビジネスがスタートしようとしていますので。

 

 

・制服ディズニー(学生服を着てパーク入園すること)

開園当初から2007年まで、現実世界を思わす格好を避ける意図で、制服での入園はお断りされていました。修学旅行等の学校行事での入園時は制服での入園は特例として認められたものの、それ以外はゲート入園時にキャストからお声がけが入っており、制服での入園は実質タブーとされていました。あくまでもお願いでしたので、無理矢理突破することはできましたが、周りからはそれなりの目で見られる存在でした。2000年代前半までのパーク風景見れば分かると思いますが、制服を着た学生の姿が写っていないのもこれが理由です。まさに「夢と魔法の王国」、「冒険のイマジネーションの海」という名に相応しい秩序が保たれていたわけです。園内から外の景色が見えないようにしているのも、外の世界を意識させないためです。

 

2000年台前半には平日17時から入園できるパスポートが発売され、当時のCMでも学校帰りや仕事終わりの客層を取り入れたかったのが伺えます。そして、2008年に発売されたキャンパスデーパスポートをきっかけに、当時から普及し始めたSNSに火がつき、制服ディズニーというのが広まって今に至り、パーク開園から大切にされてきたことが破られたわけです。

 

制服を着るのは現役の中学生・高校生に限られると思いきや、卒業しても制服から離れられない人たちが現れ、ファッション感覚で楽しむまでに広がっていきました。現役生でも制服での遊びが禁止されている学校を中心に「なんちゃって制服」も流行りました。良い意味でも悪い意味でも、若年層を中心に制服ディズニーというのが定着したわけです。

 

例え成人年齢に達していたとしても、制服を着て入園することができますし、何よりその格好でお酒を飲んだりタバコを吸うことも法律上は問題ありません。現実逃避でワイワイ盛り上がったり、SNS映えを狙ってはしゃぎまわったりと、ご本人様は楽しいかもしれません。ただ、そういった光景を周りにいる人がみたらどう思うでしょうか?夢の国だから何やっても良いことには繋がりません。買うときの年齢確認は大学生の先輩がやって、飲むときは未成年の後輩に渡せば、販売元は未成年飲酒には気づけませんのできちんと規制されるべきなのかなと感じます。制服というその学校を示す格好をしているわけですから、何かあれば学校に通報されることはご本人はお気づきではないかもしれませんが、迷惑行為をしたことを理由に退学する事態に発展したケースはそう少なくはないと聞きます。退学までは言わないまでも、過去に身勝手な行動をしたがゆえに修学旅行の行先として東京ディズニーランドが候補から外されたなんて話は地方ではよくある話です。そもそも校外学習や修学旅行で、東京ディズニーランドが行先になっている時点で意味が分かりません。

 

なお、女性の方からすればゾッとするようなことを書き記しますと、インターネット上で「ディズニー ××」「夢の国 ××」(JK・盗撮・パンチラ など)と検索すると、ローアングルから撮影された写真や動画が大量に出てきます。性別問わず怖いという感情が出てくるレベルです。中には顔がはっきり写されているものもあれば、学校の校章・学校名・本人の名前が分かるような画像も出てきます。名前が書かれた体操着やジャージを着ていたらそりゃ個人情報を公開しているようなものですけど。もちろん大前提として撮っている側は立派な犯罪行為になるわけですが、こうしたことを撮影している連中が出てきてしまったのも、制服での入園を許容してしまった代償なのかなとも感じます。年パスを手にしてしまえば、年中撮り放題ですし、犯罪者の視点からしたらまさに夢の国かもしれません。東京ディズニーリゾート内の各施設・園内に設置された無数の顔認識できる監視カメラで四方八方を撮られているということを撮っている側の方々は存じ上げないでしょうけども...。舞浜エリアに行けば制服を着た人に出くわせるという場所になってしまったという表れでもあります。これが運営が求めた光景なら否定はしません。

コスプレとしての制服ならまだしも、その制服がどの学校のものかも、見る人によっては容易に特定できてしまいますし、そういうのを撮っている方々でしたら尚更なのでしょう。パーク内のみならず、近隣の舞浜駅やイクスピアリ内で撮影されたもの確認できますから、東京ディズニーリゾート全体で見直されるべき事案に思えます。特に高画質カメラで撮影された画像や動画はネットの世界で売買されているようですし、中にはフリー素材のように複数のサイトでネタにされているものもあります。ディズニー=そういう人たちが集まる場所っていうのが定着しているのか、見たくなくても時折Twitterにおすすめとして流れてくるのが何とも...。園内の装飾を見る限りTDR 30周年以降に撮られたものが確認できており、まさにキャンパスデーパスポートが普及して広まった頃から撮られたことが伺えます。犯罪行為を締め出すことは最優先されるべき事案ですが、犯罪抑止という点でも、そして何より「夢と魔法の王国」の秩序を守るためにも、制服入園は今一度見直されるべきだと考えます。まぁ、制服を着る10代から20代前半の女性客は東京ディズニーリゾートのメインターゲット層ですから、テコ入れされる可能性は1ミリもないでしょう。

 

ちなみに海外のディズニーパークはどうなのかというと、アメリカとフランスには制服文化がありません。お洒落でミニスカートを履いている人はかなり少数派で、肌の露出が多いと非常に目立ちます。パーク内を長時間歩くわけですからヒールやサンダル等で行く人はいないに等しいですし、動きやすいジーパンとかのパンツスタイルが主流です。ロングスカートなどのお洒落をしていると目立つので、日本人観光客だとすぐ分かります。上海と香港では制服指定の進学校はあるものの、制服を着て入園することはなく、あくまでも通学時・学校行事のときにしか着用しません。一応中華圏で日本の制服がブームになっているらしく稀に制服を着ている人がいますが、いずれも制服を着て入園している=コスプレしている人というのが分かります。なのでこの問題は日本のディズニーリゾート特有の現象です。何を着ようが自由ですし、この時代に服装を制限すること自体が逆に問題になってしまうのかもしれませんが、「夢と魔法の王国」というディズニーのテーマパークなわけですから、それに相応しくない格好はきちんと線を引くべきというか、昔のようにした入園を断った方が良いのでは?と感じます。成人式での振袖・袴姿はそれこそ現実的な一面はありますが、こちらは成人の日だけですので、そこまでインパクトはありませんが、それでも現実世界の要素を入れていてどうなの?と思う部分ではあります。コロナ禍で入園者数を制限したときにやっておけば、軌道修正できたはずですが、そんなことに配慮するわけがありません。

 

東京ディズニーリゾートだけではなく、西のテーマパークでもあるUSJでも同じことが言えます。あれだけ完璧な世界観を創り出しているハリーポッターエリアやマリオエリアでも、エリアに立ち入ったら映画の世界かもしれませんが、ふとどこどこ高校の制服さんを見かけたら、現実にかえってせっかくの魔法も冷めませんかね?ハリーポッターの格好をしてマリオのエリアに行ったら浮きますよね?テーマパークってそういう場所です。例えお客さんでも、周りの人の目に入る大事な要素です。事細かく服装を規定することはないにせよ、相応しい相応しくないは線引きできるはずです。ただ、都度お声掛けやお願いするのもされるのも面倒でしょうから、全体的に許容されてしまっているのかなと思います。それらの格好をしている人たちがメインターゲット層である以上は東のテーマパークも西のテーマパークも変わることはないでしょう。USJの場合は非日常的な要素よりも個々のコンテンツが活きる場所ですから、あまり非現実世界を提供はしていないとは思いますが...。制服にしろ、スカートにしろ、テーマパークの運営側からしたら禁止にする理由もありませんし、今の時代、服装を細かく制限したら色々と面倒なことが起きるだけですから、何もされないでしょう。「ユニバ ××」「USJ ××」で検索すると同じような写真や動画が出てくることは触れない方が良いでしょうか。

 

最近ではTikTok等のショート動画の撮影や園内のルール上は禁止されている現地での生配信を行う人もいるようで、意図しないハプニングとして写ってはいけない部分がSNS上に発信され、動画の切り抜きや画面録画を撮られてネタにされるケースも増えてきているようです。パーク内のルールに反して、夢と魔法の王国ならぬ夢の国での楽しさやその場のノリで上げたもので、後々後悔することがないように気を付けるべきという声は、そういった層の方々には届かないでしょう。園内に行かなくてもそういったアカウントを注視しているだけで画像や動画が手に入ることを考えたらデジタルな世の中になったなと思うわけですが、切り抜いた画像や動画をインターネット上に発信する行為は、盗撮とは別の犯罪が成立することはそういった方々はご認識済みでしょうか。

 

東京ディズニーリゾートもユニバーサルスタジオジャパンも、沿岸部であるがゆえに、年間を通しても風が強く吹く場所です。また風向きによっては特殊な構造物がゆえのビル風が発生する場所や遮るものがないがゆえに海風を強く受ける場所もあります。高低差のある場所ではふと上を見上がれば目に入ってしまう場所もあります。楽しくなるあまりガードが緩くなると、見たくなくても目に入ってしまいます。特に規制されていない以上何を着て行こうと自由ですので、おしゃれを優先してスカートを選択する際は注意してくれとしか言えません。着る格好を制限されていないわけですから。

 

 

・ダッフィー&フレンズの進出

東京ディズニーシーで2004年にThe Disney Bear として登場し、後にDuffy(ダッフィー)という名前となり、現在ではグッズの販売やイベントが開催されるなど、東京ディズニーシーを代表するキャラクターへと発展しました。そして続々と仲間を増やし、2020年に亀の「オル・メル」が加わり、2023年現在はダッフィーを含めた総勢7匹がダッフィー&フレンズとして活躍を続けており、海外のディズニーパークでも人気を集めています。特に上海・香港では爆発的な人気となっています。

 

が、このダッフィー&フレンズは東京ディズニーシーを良い意味でも悪い意味でも大きく変えてしまった存在です。パーク内の施設を踏まえても、ディズニーシー・トランジットスチーマーラインというアトラクションはパーク内に3か所乗り場がありますが、そのうちの2か所は待ち列(キューライン)を潰してダッフィーのグリーティング施設に増設されました。また、ケープコッドエリアはのどかな港町が再現されているわけですが、次第にテリトリーを拡大し、現在ではケープコッド・クックオフで関連のステージショーを開催するまでに発展しました。エリア内唯一のお店「アーント・ペグズ・ヴィレッジストア」においても、もともとは雑貨店という位置づけでしたが今ではダッフィー関連グッズしか取り扱っていないほど面影がなくなりました。

 

また、取扱店が少なく、商品の発売時期によっては入店制限が行われることも多々あり、これを回避するためか、マーメイドラグーンやロストリバーデルタにもダッフィー関連グッズが置かれることになり、テーマ性よりもモノを置くことに重点が置かれるようになりました。通常のミッキーのぬいぐるみに比べても桁違いの人気があることは確かですが、ここまで拡大してくると、さすがにどうかと思います。このエリア・このお店でしか買えないグッズというのはほとんど無くなったのはダッフィー関連グッズに限った話ではありませんが、どこに行っても同じ商品を目にしてしまうというのはディズニーパークにおけるテーマとしてどうなの?という疑問が残ります。もはや何でもありです。そのお店のテーマやストーリーすらも強引に無視していることが伺えます。

 

ダッフィー&フレンズという強力なキャラクターコンテンツによって、ショー等のイベントも開催されるようになりましたが、良くも悪くも子供っぽさが感じられる内容になっており、当初の東京ディズニーシーのパークコンセプトから大きく逸脱してしまいました。大人向けなディズニーパークからファミリーエンターテイメントにシフトしたことで、大人だけが楽しめるディズニーパークではなくなったものの、子供っぽさが強く出るようになってしまいました。

 

運営的にはグッズが売れるドル箱キャラクターかもしれませんが、グッズを売れば転売屋が湧き、メルカリ等で高値で取引されることは今更言うまでもなく、そして本当にそのグッズが欲しい人に行き渡らなくなったのも今に始まったことではありません。特に狐のリーナ・ベルは中国人への人気が絶大で、オリジナルで発売された東京ディズニーシーのグッズは中国本土でも高値で取引されています。上海ディズニーランドでもグッズの売れ行きは飛びぬけているようで、偽物の商品が売買されることも多々あるんだとか。そのため、他のどのディズニーグッズよりも飛び抜けて売れるものの、意図的に制限された在庫数が底を尽きるのも時間の問題で、多くの入園者は買えない体験の方が多いのではないでしょうか。今後も変わらない要素の1つかもしれません。

 

 

・ヴィランズの手下(2015~2017年・2022年)

東京ディズニーリゾートのハロウィーンイベントの存在意義を大きく変えたヴィランズの手下についてもフォーカスを充てておきます。本来ヴィランズの手下といえば、映画「ピーターパン」に登場する悪役「フック船長」の手下「スミー」であったり、映画「ヘラクレス」に登場する悪役「ハデス」の手下「ペイン」「パニック」を想像するかと思います。

 

しかし、東京ディズニーシーに登場したヴィランズの手下は、そのヴィランズのテーマに合わせたオリジナルのキャラクターとして登場しました。キャラクターグリーティングに登場するプリンス・プリンセスのように会話できるのが大きな特徴で、中の人はショーやパレードでMCとして登場したことがあったり、中には舞台や雑誌等で活躍するタレントもいたことから、一部の女性客を中心に絶大な人気を集めることになりました。それもそのはず、普段は遠目にみることしかできないような存在でも、アトモスショーやグリーティングで至近距離で会話できてしまうわけですから、その界隈の方々にとってはたまらない出来事となりました。このイベントだけのために年間パスポートを作成して通ったという人はそう少なくはなかったらしいので。

 

当時、この手下が登場したアトモスショーには朝一から待ち列ができたほか、グリーティングとして登場したセイリングデイブッフェの予約は取得困難な状態になったり、中には予約権が売買される事態にまで発展していきました。レストランにも予約時間が設定されていますが、1回でも多く会えるタイミングを見計らって、わざと遅れて入ってきたり、中にはテーブルに滞在できる時間を書き換えたりとやりたい放題やってくれました。このおかげで、多少の遅れは許されていたプライオリティ・シーティングは1分1秒でも予約時間に遅れたら無効になったり、共連れ防止のために途中から人数変更ができなくなるなど、ルールの穴をつくところにメスを刺してきたことで、ルールが厳格化されるようになりました。これはコロナ禍に入った今でも言えることで、例えアトラクションが止まろうが、体調が悪くなろうが、混んでいて前に進めなかろうが、時間には非常に厳しくなりました。今回は特別にと言われるかもですが、同時に時間は守るようストレートに注意してきます。

 

本来、時間を忘れて楽しめるはずだった東京ディズニーリゾートですが、この手下の件をもって、分単位での行動が求められるようになったわけです。時間を忘れて楽しめる場所ですから、それなりの暗黙の了解みたいなのがありましたが、手下を追っかける連中はこれらのタブーに触れ続けたあまり、パークでの楽しみ方を一変させました。当時ファストパスも時間を過ぎていたら多少は目を瞑ってくれたどころか、朝に取得したファストパスを夜に使用することも普通にできていました。しかし、このことを受けてか、時間ぴったり過ぎたら無効となったのもこの頃からでした。公式アプリによるエントリー受付やスタンバイパスの時間についても、同様に時間には厳しくなっています。手元にスマホがある時代ですから、常に時間が確認できる状況のため理解できなくはないですが、当日抽選等で予定時間が読めない中でプランを立てるのは常連客でも難易度が高いと感じます。

 

手下に人気があるのではなく、手下の中の人に人気があったとしか言いようがないのですが、あくまでも東京ディズニーリゾートが勝手に生み出したキャラクターですし、これに群がった連中のおかげで、ありとあらゆることが厳しくなったわけですから、常連客を中心に良い思いをされた人は少なくはないことは言うまでもありません。企画した社員の私利私欲が込められた創られたキャラクターなのかなと個人的には思っています。2022年に再登場した際も、それなりの客層の方々の集客に成功したように見えます。残念ながら、こういった方々も東京ディズニーリゾートのメインターゲット層に含まれていることはあまり考えたくはありません。正直復活して欲しくないですし、二度とこのようなキャラクターが登場して欲しくない思いでいっぱいです。個人的には東京ディズニーリゾートが生み出した黒歴史の1つとみています。

 

 

・SNS映え加速(2015年頃以降)

今や定番のSNSアプリ「Instagram」も、東京ディズニーリゾートの楽しみ方を大きく変えた存在です。東京ディズニーリゾート内で記念撮影しない方はいないに等しいでしょう。キャラクターとの撮影や一緒に行った人たち同士での記念撮影、ショーやパレード等の撮影など、ありとあらゆる場面で写真映えする場所です。ここ最近は「TikTok」の影響もあって、数十秒程度の動画を撮影するなんてことも普通になりました。

 

ですが、誰よりも目立つような写真や動画を撮りたいとか、バズりたいという思いが強く出る方がいるのか、流行りのダンスをパーク内で踊ったり、普通に考えたら登ってはいけない場所に登って撮影したりと自分勝手な行動を取る入園客が後を絶たなくなりました。そのうちの1つが、トゥーンタウンにあった木箱でした。ここは、木箱の蓋を開けて中に人がいるような声が出る仕掛けの場所でしたが、その木箱の上に登って撮影する人が増えてしまい、安全上を理由に撤去されてしまったということがありました。現在も撤去された場所に木箱は戻ってきていません。

 

また、撮影スポットとしては大定番のシンデレラ城前においても、柵に登って撮影する人が出たことから、登らないようにするためのトゲトゲ状の柵が設置されたりと、運営側とのいたちごっこが続いています。シンデレラ城前においても体育座りや胡坐をかいて撮るスタイルが増えたのもSNSによる影響なのですが、同じ場所に居座ったり、通行の邪魔になったりと色々と問題も事実です。誰かが載せた写真が良いと感じる人が出れば、その撮り方が流行るわけで、それがずっとループするのでしょう。

 

SNS映えとは少し違いますが、ホテルミラコスタの客室からスマホのライトを振ってパーク内にいる人たちにアピールするなんてこともコロナ前から出てきています。自分に気付いて欲しい、自分は高いホテルに泊まっていて凄いだろうと思っているのかは知りませんが、承認欲求を満たすために雰囲気を潰したり、周りへの配慮が欠けた客層が増えたのかなと感じます。(ちなみにミラコスタの客室ランクが高い部屋ではスマホライトをやっている方が少ない傾向にあるのは気のせいでしょうか)

 

もちろん、東京ディズニーリゾートはお金を払ってきてくれたお客様を教育する場所ではないですから、迷惑行為・犯罪行為でない限りは明確に禁止にはできないですし、オリエンタルランド広報も、それを楽しみにして来園して下さる方がいる以上は制限できないと回答しています。どういう手法で撮ろうと、東京ディズニーリゾート内で撮影したというのが分かればそれが宣伝効果を生むわけですし、それが運営側がターゲットにしている客層が求めていることなのであれば、受け入れるだけなのかもしれません。

 

ただ、パーク内のステージ・小道具にメスが入るような撮り方をしているのも事実です。パーク内の景観が変わったり、楽しみ方が変わるのは決して良いことではありません。大半のお客様は何かしらの撮影をすることが入園の目的でしょうから、撮影行為自体を禁止するというは本当に最後の手段でしかありません。ただ、年々撮影マナーやモラル、周りへの配慮が欠けた行動をする方々が減らない以上は、何かしらのルールで統一されても仕方ないのかなとも感じます。極端な話、SNSという存在が無くなれば、また違った楽しみ方が生まれるのかもしれませんが、もう少し何か変わってくれないかと思う部分ではあります。思い出の場所がなくなったり、モノがなくなったりすることを良く思う人なんていませんので、これ以上悪い方向でパークが変わって欲しくないという思いも込めて書き残しておきます。子供の頃にあった場所や風景がなくなったら、大人になってから懐かしいと思い返せる場所がないわけですからね。

 

 

・フリマアプリ問題

東京ディズニーリゾート30周年くらいを境に、グッズの発注予測・在庫管理のずさんさが理由で人気グッズが1日も持たずに売り切れることが多く見られるようになりました。特に近年はフリマアプリ「メルカリ」が普及したことを受けて、高額転売が進むようになり、このことも影響してグッズの売り切れに加速をかけるようになりました。テレビや雑誌で紹介された商品を買いに行ったら売り切れていたというシチュエーションに遭遇したことがない人を探す方が難しいでしょう。商品部門と広報部門で連携が取れていないのか、既に完売した商品を生放送のテレビ番組等で紹介してしまうなんてことも度々見受けられます。

 

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド社と、フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ社の間で、「東京ディズニーリゾートの関連商品が、より安心・安全に取引できる環境の構築を目指し、両社が共同で様々な取り組みを実施する「安心・安全な取引環境の構築に向けた覚書」を締結」しています。

 

 

ただ、実際には、締結前と後で大きく変わっておらず、関連商品を出品しても、正規価格ではないから気を付けるようにというメッセージが表示されている程度で、売る方も買う方も取引ができてしまっています。メルカリ側で出品に対する報告は受け付けているようですが、どうも機能しているようには見えず、形だけの締結で留まっているように見えます。そもそもメルカリというフリマアプリ自体に良い印象はないのですし、Amazonでも個人出品できてしまいますから、法規制等がされない限り、大きくは変わらないのかなと思います。

 

それにグッズを売る東京ディズニーリゾート側にも大きな問題があって、十分な販売予測と在庫管理ができていれば済む話です。内部的には売れ残り在庫を抱えないようにコントロールした人が評価されるのかもしれませんが、消費者のニーズに合わせた販売を行えていない状況が10年以上続いているのは企業としていかがなものなのでしょうか。素晴らしいアイデアが込められた商品も、せっかくの在庫がなければ手にできる人は限られ、欲しい人に行き渡らなくなる現状に、商品企画した方々はどう思っているのでしょうか。

 

最も転売がなくならない要素としては、転売のニーズが無くならない点にあります。特に首都圏以外に在住の方にとっては転売を通じて買った方がお得に手に出来てしまいます。そのグッズを買うためにわざわざ往復の飛行機代や新幹線代、宿泊費、入園チケット代を出しますか?って話です。何万円もかけて買いに行くのか、手数料送料だけで済むフリマアプリで買うのとどちらが良いか?昔みたいにグッズ以外のコンテンツが乏しい以上、パークへ足を運ぶメリットがないわけですから普通の感覚なら後者を選びますね。最善策としては、入園しなくても公式アプリで購入できるというのがベストな答えなのかもしれませんが、運営的には入園した人に買って欲しい思いはあるでしょうから、この先もいたちごっこが続くことは避けられなそうです。もっとも、コロナ禍でパーク入園しなくても公式アプリからグッズが購入できるようになったわけですから、市場調査と在庫管理を徹底して売れば済む話です。

 

 

・東京ディズニーシーのハーバーグリーティング

世界的にも新型コロナウイルスという存在が猛威を振るい、東京ディズニーリゾートも臨時休園・施設休止を余儀なくされたことは記憶に新しいことです。パーク再開後には目立ったエンターテインメントプログラムはありませんしたが、ご挨拶形式のショー・パレードは開催されていました。東京ディズニーシーにおいても、ハーバーグリーティングという形でバージ1隻が使われたご挨拶が行われ、次第に登場キャラクター・衣装・音源の変更が行われてきました。

 

1つ気になったのは、オリエンタルランド社が、このハーバーグリーティングが思いのほか好評を得ているとコメントしたことが引っかかっています。そりゃ他のショープログラムが休止となっている中でこのハーバーグリーティングしか開催していないわけですから、良いか悪いかで行ったら良いとしか言えないのですが、このコメント以降はどのイベントにおいてもハーバーグリーティング形式が続けられてきました。陸上ステージに上陸して開催されていた水上ショーは再開されていないわけです。

 

夜のショー「ビリーヴ!シーオブドリームス」がコロナ禍でスタートしましたが、日中の水上ショーには一切のテコ入れはされない状況が続いてます。また、2022年までの間に、これまで使用してきた季節ショーのバージや小道具類は全て解体・処分されていることが確認されています。現在はビリーヴのバージを除いて、日中ショーが開催できる船はハーバーグリーティング用のバージ2隻だけになります。日中のハーバーショーを休止する代わりに、季節イベントに応じたショーを展開していくことによってミシカが終了し、ハーバーの一部が埋め立てられて昇降ステージが設置されたまでは良かったのですが、蓋を開けてみればこの有り様でした。もちろんコロナ禍という事情を踏まえて大掛かりなショーはできないにせよ、ビリーヴができてなぜ日中のショーができないのかが疑問です。違いが分かりません。ビリーヴが開催できるので、操船等の人員が確保できないという理由はないはずです。単純にやっていないのかやりたくないのかのどちらかでしょう。もちろんスポンサーがつくつかないもあるのかもしれません。

 

2024年頃に新エリア「ファンタジースプリングス」が開業を控えていますが、新エリアというコンテンツだけで集客が見込めますから、日中のハーバーでショーを開催するというのはまだその先になるのでしょう。

 

なお、東京ディズニーランドおよび東京ディズニーシーでは今後しばらくは入園者数を制限することが運営会社から明かされています。言い換えれば、押し込める定員は固定なわけですからその中でパーク運営をしていかなければいけません。絞り取れる売り上げも限度があることを考えれば、今あるコンテンツに加えて新規のパレードやショーを開催する余力はないでしょう。そうなると、今も休止しているシアターショーを再開するのも、大型イベントとして何か新しい要素を加えるのも、余計なコストがかかるだけです。入園客のニーズがアトラクションだけなのであれば、無理して開催する必要はありません。このことを踏まれば、東京ディズニーシーに日中水上ショーが戻ってくるかどうかは言うまでもありません。

 

 

・年間パスポート

最後に、リピーター必須のアイテム「年間パスポート」は復活するのか?可能性は極めて低いと思われます。年間パスポートの設定は、運営的なメリットとしては入園者数を稼ぐにはもってこいの存在でした。行けば行くほどお得にパークを楽しめるわけですから、利用者的にも安く済むわけです。それに時間を気にせず入園できましたから、散歩がてら入園もできます。しかし、年間パスポート利用者はグッズの購入やレストラン利用といった消費に消極的で、実際に客単価がワンデーパスポート利用者よりも低い傾向にあったのも事実でした。現在はワンデーパスポートのみの販売であり、これまで年間パスポートを購入していた人も一律ワンデーパスポートを購入して入園する必要があります。

コロナ渦では最小で5000人という制限がつき、次第に緩和されてパークキャパシティの50%(ランドは40000人、シーは35000人程とされており、新エリア開業でシーが40000人が50%となる予定)が入園者数の水準となっていきました。ガイドラインも緩和されて、キャパシティの100%までは入れることができるようになったものの、体験価値の維持を目的に2023年6月現在も上限50%の水準は維持されており、連日この上限に近いもしくは超える人が入園しているとのことです。

上限のリミットを設けているということは、1日の売り上げも平均的に推移しているでしょうから、わざわざ客単価の低い年間パスポートを設定する必要がありません。また、現在も一部施設の休止・短縮営業が続いていますが、1日の運営コストが決まっているのであれば、短縮営業を解除したり、新規にショーやパレードをやるとなると余計なコストがかかるだけですから、運営的には現状維持もしくはさらにカットして売り上げを確保したい思いがあるのでしょう。

それに年間パスポート利用者は、ショーやパレードでの長時間待機、転売目的によるグッズ購入占有など運営的にも余計な対応を求められる存在だけに、年間パスポート再開は消極的な姿勢を見せてもおかしくはありません。どれだけ手を打っても入園者数が10000人を切る日がずっと続いてしまうみたいな状況に陥れば、客単価が多少少なくても年間パスポート利用者の手を借りるかもしれませんが、催し物を少しいじる程度で人が集まるような場所ですから、現在のパークコンテンツで運営側も消費者側も満足している以上は、再開の兆しはないと言い切れます。また、年間パスポートを再開したとしても、連休等の混雑日の除外設定をしてくることは容易に想像ができ、また2パーク年間パスポートは10万円以上の価格設定になるでしょうから、程よい回数だけ入園できれば良いのではないでしょうか。手元に年間パスポートというカードが手元にあるというステータスしか価値がないような気がします。

 

もっとも、ショーやパレードに多少のアレンジを加えたり、新しいグッズを売り出せば簡単にリピーターを引きずることができますから、年間パスポート再開は最後の最後で出す切り札でしょう。何もやらなくても人は集まる、それだけ今の乏しいパークコンテンツで集客ができる以上、年間パスポートを発売する必要もありません。ミッキーの衣装を変えただけでもリピーターは釣られますので。個人的にも今の東京ディズニーシーで水上ショーが再開しても、年間を通じたイベントコンテンツが充実しない限り、リピートしたいとは思いません。そういう価値があったから、年間パスポートを買っていた身としては当然の判断です。

 

 

夢が叶う場所 東京ディズニーリゾート

夢と魔法の王国 東京ディズニーランド

冒険とイマジネーションの海 東京ディズニーシー

物語とエンターテイメントにあふれる街 イクスピアリ

 

コロナ禍という社会情勢は別として、改めて各施設がもつテーマやコンセプトって、合致するでしょうか?ディズニーパーク、ディズニーのテーマパークとして開園してきた中で、果たして先人方が詰めた思いを裏切っていないでしょうか?とりあえずやっておこうかというあいまいな物事で進んでいないでしょうか?そういった疑問が多く感じられるようになった40周年の東京ディズニーリゾートだなと思います。人それぞれ感じる部分はあるでしょうし、時代と共に変化していくこと・変化していかなければいけないことは必要ですが、それでも本当にそれで良いのか?と強く感じる部分は多く見受けれられます。コロナによる臨時休園を挟んだタイミングが絶好の時期だったのでしょうけども既に時遅しって感じですね。まさにテーマパークというよりはディズニーな「遊園地」に近づいていることの表れなのかもしれません。私が知っている「夢と魔法の王国」や「冒険とイマジネーションの海」は存在しないみたいですし、この先も戻ることはないと言い切れますので。

 

東京ディズニーリゾート50周年、果たしてここに書いた内容は改善されるのか?はたまた人手不足の波に呑まれて施設営業・エンタメ縮小が加速するのか、10年後の答え合わせが怖く感じますが、果たして40周年のときとどう変わるのか、遠目に見届けようと思います。その頃までに東京ディズニーリゾートに興味があればの話ですが。