費用が透明化されるとこんな分析もできると感心した! | 眼科医と眼科専門MRのためのデータ分析あれこれ!!

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かれこれ20数年の間、眼科領域専門のデータ分析に携わってきた経験の備忘録です。
一般的なデータ分析の内容も書きますが、眼科にこだわって書いていきます。

こんにちは!
メチャメチャお久しぶりです。
最近はPythonで深層学習のお勉強と状態空間時系列モデルのお勉強を頑張っています。
本ブログの趣旨と若干異なる内容に集中しているので、ブログの更新をおサボりしています。
製薬業界では費用の透明化が躍起になって進めれられています。
透明化が進むとこのような分析もできるんだ!と感心した論文を紹介いたします。
本日紹介する論文は
「Pharmaceutical Industry-Sponsored Meals and Physician Prescribing Patterns
 for Medicare Beneficiaries.」:JAMA Intern Med. 2016;176:1114-10.
です。
簡単にいうとこの論文は、
透明化のため製薬会社が公開した費用(弁当代等)から提供された医師を特定し、
処方医が弁当をもらったらその弁当提供会社のお薬の処方が増えるかどうかを
分析した研究です。
研究の対象としたのは4つの薬剤群で1:スタチン製剤群、2:心選択性β-遮断薬、
3:アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンギオテンシン受容体遮断薬(ACE阻害薬とARBs)と
4:選択的なセロトニンとセロトニン-ノルエピネフリン再摂取抑制薬(SSRIとSNRIs)です。
これら4剤を有する製薬会社の弁当を食べた医師を明らかにし、その処方動向を調べました。
主たる評価項目は、弁当を提供した会社の薬剤と同クラスの代替薬との処方率の差です。
結果的は、他のスタチンの「ロスバスタチン」では(オッズ比:1.18; 95%CI、1.17-1.18)、
他のβ-遮断薬の「ネビボロール」では(オッズ比:1.70; 95%CI、1.69-1.72)、
他のACE阻害薬の「オルメサルタン」では(オッズ比:1.52; 95%CI、1.51-1.53)
他のSSRIとSNRIsでは「デスベンラファキシン」(オッズ比:2.18; 95%CI、2.13-2.23)
となりオッズ比がいずれも1を超えています。
つまり、弁当の提供と処方には正の相関があったとのこです。
論文には、この関係は相関であって因果関係ではないとリミテーションがついています。
ただ個人的にはやはり弁当強し!!ということですね。