イブン・スィーナー | forestwalkingのブログ

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2013年の暮れに、突然この世を去られた、理学博士 藤田忠男先生の研究を掲載していくブログです。

A Developper of Steam Distilling Method of Essential Oil

■イブン・スィーナーあるいはシーナ

アラビア人なので名前の読み方もわからない。ラテン語ではアウィケンナ(Avicenna) と呼び、英語読みのアヴィセンナも普及している。 安全な精油を抽出する水蒸気蒸留法を開発したのはアラビアの哲学者で医者であったイブン・スィーナーだ。 溶剤抽出法で採る精油には残留溶媒による健康被害が予想される。水蒸気蒸留法にはその懸念がない。 水は生体にもっとも安全な溶媒ということだ。 油を抽出するので油を使うことを予想するが、水で油を抽出することを考えた。 当時は医学書の医学典範・カノンを著している。子供のころから天才的な能力があったという。 幼いころからあらゆる分野の学問に天分を発揮し、10歳でコーランを暗誦し、16歳で医学を修めた。 10代の間、彼は、ファーラービーの著作に触れて哲学を学ぶ一方、医学の分野においてもサーマーン朝の君主ヌーフ2世の治療に当たるなど事績を積み、 18歳にしてほとんどの学問を修めたという天才だ。 イブン・シーナの業績として水蒸気蒸留法はたいしたことないようだ。哲学者や医者として活躍していたが、日本では業績の偉大さは知られていない。 精油を医薬品として利用していたようだ。精油の製造法である水蒸気蒸留法は今でも主流の方法で残っている。 生まれた町は今でもイブン・スィーナーを忘れていない。写真は中央アジアの故郷の素朴なひとこま。



■医学典範

イブン・シーナの代表作はアラビア語で書かれた『医学典範』である。 『医学典範』は紀元1000年頃から書かれはじめ、1020年頃に完成したようである。約100万語からなっているという。 イブン・シーナの著書の医学典範は医学教育の教科書だったという。インドでは20世紀まで使っていたという。 医学典範を越える学者が出なかったということです。医学研究は停滞していたのです。 写真は15世紀ごろの写本だという。当時はコピーはないので本を写し書きするしかなかった。 植物は動かず命を守っている。医者に看てもらうことはない。セルフメディケーションしかない。 それで体内に医薬品をもっている植物は自分の身を守っている。その精油を人間が利用するわけだ。

確かに、アロマテラピーは哲学的な意味をもっている。西洋医学とはちがう。植物の化学成分に注目しているのだ。 とにかくそれを人間の体内に吸収しようと考える。

西洋医学では臨床試験で化合物の生理活性を確かめて医薬品にしようとする。 それで精油は医薬品に認められていない。



■肖像画らしきもの

イブン・シーナは、中央アジアのブハラの生まれで当地に肖像があります。画家が本人を見て描いたのでしょうか。作者・年代不明。 旅人が写真を持ち帰っています。医学、哲学、自然科学などに秀でていました。 医学では『医学典範』は著し、ヨーロッパでも近代になるまで、教科書として使用されていました。 タジキスタンの研究者によると、著作数は全部で約290点にのぼる。そのうち、医学関係が約40点、哲学関係か約185点、 天文学・自然科学関係が約30点、音楽関係のものや文学関係のものもあるという。 ほとんどがアラビア語で書かれているものと見られます。

医学典範に「旅と旅人について」がある。 「旅人は、日頃家庭で慣れているものから切り離され、疲れと体の不調に襲われる。 旅人は自らさまざまな病に冒されぬよう注意しなければならない」である。医者が患者に諭すような文章だ。



■ブハラの小史 イブン・シーナの前後
ブハラは、Bukhara:「仏教の僧院」に当たるViharaが語源とされる。 聖なるブハラ(ブハライ・シャリーフ)、あるいはサンスクリット語で「修道院」を意味するブハラは、 中央アジアのみならず、イスラーム世界全体の文化的中心地として繁栄を誇った町です。現在はウズベキスタン共和国の首都。
 ★紀元後1世紀:ブハラの市街建設。以後今日に至るまで市街の移動なし。
 ★7世紀:イラン系ソグド人の都市国家、ブハール・フダート(bukhar Khudat)建設。     中国の史書に「安国」の名で記載。
 ★709年:アラブムスリム軍による支配によって、アラブの移住が始まりイスラム化。  ★9・10世紀:サーマーン朝の首都になり、西アジアにトルコ系奴隷を供給する商業都市として発展。 イスラム文化とペルシア文化の両中心点として発展し、イブン・シーナやルーダキー等多くの学者や詩人を輩出。
 ★1220年:モンゴル(チンギス汗)の来襲で多大な被害を受けたが徐々に復興した。

■13世紀の中央アジアの地図

シルクロードの通り道にあり栄えたようだ。また、戦争に撒き込まれている。このあたりは、数100年間戦争をしているという。 アフガニスタンも南に位置している。人間が生きて行くには領土と食料が必要だ。その争いの戦いが続いた。 イブン・シーナはそのような地域の中心で生まれた。



■超臨界CO2蒸留法の問題点

水蒸気蒸留法では得られない化学成分を超臨界CO2蒸留法で採取できるが、必ずしも毒性がないわけではない。 水蒸気城療法は古くから動物を使った毒性試験が行われていたが、CO2蒸留法では化学成分の分析はおろか、 動物試験も行われていないという。西洋社会では使えない精油になっている。 たとえアーユルベーダーで使われていても、日本では使えない。

水蒸気蒸留法は水という生体に最も安全な溶媒で植物化学成分を抽出したことになる。