ブルーサイプレスの殺虫効果 | forestwalkingのブログ

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2013年の暮れに、突然この世を去られた、理学博士 藤田忠男先生の研究を掲載していくブログです。


ブルーサイプレスの殺虫効果

■アボリジニ伝承のブルーサイプレス殺虫効果

オーストラリア北部のネイティブのアボリジニ TIWI の伝承に、ブルーサイプレスの樹木を焚き火に使って、 蚊などの殺虫効果が知られていた。 オーストラリアのブルーサイプレスは、植物 Callitris intratropica から水蒸気蒸留で抽出された精油のことだが、 植物名をラテン語で述べるかわりにブルーサイプレスと簡単に書いている。

ヨーロッパ原産のキク科の一年草カミツレ(Matricaria chamomilla)の花もしくは全草を用いて精油が採れる。 今ではカモミールあるいはカモマイルとよんでいるものだ。 カミツレの花はオランダ語のカミルレがなまったもので、英語ではカモマイルという。 この一年草のカミツレはジャーマンカミツレとも呼ばれ、これとは別に多年草のローマカミツレ(Anthemis nobilis)というよく似た植物がある。 花の精油成分には芳香のあるビザボロールやマトシリンなどが含まれ、マトシリンは蒸留すると青色のアズレン誘導体、カマズレンに変化する。 芳香性苦味健胃薬や発汗薬、消炎・抗アレルギー薬、鎮静・安眠薬、駆風薬として幅広く用いられるほか、 香料としてリキュールや香水、シャンプーなどにも利用されている。 風邪の初期や頭痛、下痢には花ひとつまみに熱湯を注ぎ、ハーブティーとして飲む。 かつてカモミールの水蒸気蒸留によってアズレンが抽出されていた。 アズレンは胃炎や胃潰瘍の内服薬のほか、口内炎や扁桃炎の含嗽薬、湿布の軟膏剤などに用いられている。

19世紀の始めにドイツで染料の化学合成が始まり、その医学的応用がわかると、医薬品合成がはじまったことは既に知られていることだ。 現代の化学工業につながってくる。



■ブルーサイプレスのグアイアズレン

ブルーサイプレスにもマトリシンは含まれ、蒸留するとカマズレンやガイアズレンが生成し、青色を呈する。 オーストラリアのアボリジニの伝承を参考にすると、アズレン誘導体に殺虫効果があることがわかる。 樹木を燃やすことでマトリシンがアズレン誘導体に変化して、昇華することで揮発したのだ。 ブルーサイプレスはひのき科で、このような高級樹木を焚き火に使うことはない。 アズレンのような染料化合物の殺虫効果は知られていたことだ。 ブルーサイプレスは希少精油で高価なので、もとより殺虫効果として利用するひとはいないが、 アボリジニの故事をたどれば、染料や医学的効果を予言していたことになる。