| ■精油の薬理学
解剖学を基盤とした薬理学はもともと医学部でやっていたものが、薬学部では薬物学のように多少化合物に関連するようになりました。 精油の薬理学は、精油の化学成分の生体における生理作用を研究するものです。精油の薬理学はアロマテラピーが得意とするものです。 学者は薬理学を研究しますが、アロマテラピストは実践的に精油の薬理学を応用するだけです。 クライエントの生理効果をかもし出し健康被害を引き起こさない知識が必要とされるのです。 精油の化学成分は吸収、分布、代謝、排泄 (ADME) されます。その間に、精油の化学成分は臓器の作用点に相互作用します。 作用点は受容体ともよびます。ドラッグ・レセプター理論という概念が古くからありました。 それを薬理作用といいます。それにより薬理作用が惹起されます。それらの周辺学問を薬理学とよんでいるのです。 精油の GC/MS 分析により化学成分が詳細に分かってきました。精油の薬理学は、化学成分の薬理学のことです。 精油は数100の化合物の混合物なので、精油の薬理学という学問はないのです。 精油植物は毎年の天候・土壌と水蒸気蒸留法の条件設定の影響で化学成分濃度が影響されます。 同じ精油は採れないといわれています。そのような品質にばらつきのある精油を精密な学問に使うことができないのです。 仮に精油の化学成分に薬理効果があるとして実験的エビデンスはあるでしょうか。 臨床試験成績はあるでしょうか。 効果の力価は弱いとしても、どの程度の強さなのでしょうか。 精油化学成分の薬理効果を定量的に説明されていないのでわかりません。 定量的ではないと、医療には安全性がないのでつかわれません。 精油原液の1%濃度に希釈して使用している状態です。 欧米でもそのような理解の仕方なのでしょうか。 薬理作用とうらはらの関係にあるのが毒性です。薬理効果のある精油を過剰に投与したときは毒性が出ます。 一般的な毒性とは、精油を少量用いた時に出る毒性のことをいっています。 精油は植物から抽出した100%天然のものです。そのように言われています。実際は合成化合物が混合されているといわれています。 合成化合物の不純物由来の毒性があります。加齢油は化合物が酸化されているので毒性があります。 古くから植物と人間の関係は密接で、人間にとって有益な成分は植物からもらっていたのです。 |
| ■精油の薬理学の用語はありえない
精油の薬理作用が発現するために、投与経路から血中に精油化学物質が吸収されなければならない。 その化学物質により生体反応が起きる。日本の法律では精油は雑貨品なので、行政的な問題として、精油の薬理学はない。 食品や雑貨品には薬理効果はないものと定義されている。たとえ、薬理効果があったとしても、 それを標榜して商品を売ってはならないとされる。 特に、精油を販売している業者が精油の薬理学について述べることは薬事法違反に当る。 ホメオパシーの販売店は法律違反を繰り返しているのは残念だ。 フランスから伝わるメディカルアロマテラピーでは精油化学成分が原因する生理作用について考える。 作用メカニズムなどを考える学問分野が精油の薬理学だ。 法律を遵守している公的機関で精油の薬理学を研究している者はいないと思われる。 アロマテラピー施術で精油の化学成分は吸収されているのは実験事実だ。 そこで、作用と毒性について考える必要が出てきたのだ。 イギリスから伝わった美容アロマテラピーでは、精油の薬理学を考える必要はない。 希釈した1%程度の精油を皮膚塗布しても生理作用が発現しない程度の作用しかない。 濃厚な精油や経口摂取したときは、精油の薬理作用について考える必要がある。 そもそも、薬理効果が期待できない量を摂取することは無意味だからだ。 |
| ■1歩上を行くアロマセミナー
薬理学に初心者であり1歩上のアロマテラピストを目指すひとのワークショップです。医療従事者のひとも参加できます。 精油の生理活性について、体内での作用メカニズムを学びます。なぜ、ヒーリング効果が出るのか。 精油の薬理学を知ることでアロマテラピーの知識が充実します。 今後はアロマテラピストに代謝や薬理学など薬学レベルの社会人教育が必要になるだろう。 精油の薬理学はアロマテラピーに限ったことではなく、香水は精油をエチルアルコールに溶解させたもので、 揮発した精油は肺胞から、口腔粘膜から吸収され、同じように薬理作用を発現する。 生体にまったく影響がないわけではない。 特にエチルアルコールは吸気として体に入る。エチルアルコールは少量なのでリラックス効果は期待できる。 法律的なことで考えると、 アロマテラピー精油は雑貨扱いなので薬事法上は効果・効能はないものとみなされています。 その点で、精油の薬理学は存在しないはずです。 しかし、精油は歴史の中で抗菌効果、鎮静剤などとして使われてきた伝承があります。 つまり、医薬品の薬理効果とは違う定義の薬理効果があるのです。 精油の機能があることは信じられています。 精油の薬理学は精油の個別化学成分の薬理学のことです。精油の化学成分の薬理効果は現実的にあります。 薬事法では、雑貨品である精油販売で薬理効果を標榜してはいけないと、教えているのです。 確かに精油化学成分間の相乗効果とクウェンチング効果も考慮する必要もあり、実際の薬理効果は複雑なものになるのです。 |
| ■精油の薬理学・初心者ワークショップの予定表
薬学部や医学部で薬理学の授業があります。製薬会社では新人研修があります。 日本ではアロマテラピーは医療行為ではありませんが、薬理学は勉強しておきましょう。 今回のセミナーでは、アロマテラピーに限った知識に内容をしぼっています。 精油を化粧品に配合することが多くなり、化粧品会社の開発担当者も勉強してください。 アロマテラピストは補完代替医療を行うのでしょう。 補完代替医療を施術するのに、特に医師の資格はいりませんが誤解されないようにすべきです。 そのために、薬理学の基礎知識をもちましょう。単なる香料屋になってしまいます。 精油は100種類の化学成分の複合体です。ひとつの化学成分がいくつかの薬理効果をもつと考えられます。 いくつかの化合物が合わさった薬理効果をもつとき相乗効果とよびますが、これも複雑です。 ラベンダーの相乗効果で合成ラベンダー精油はできないと言われています。 生体の中で精油は複雑な生理活性を及ぼしていると考えられます。 アロマテラピストが学ぶ範囲を限定すると分子薬理学は学びやすいです。 |
精油の薬理学は伝承的に知られています。 たとえば、ローズマリー精油は記憶の改善によいといわれています。認知症の症状改善に利用されています。 抗菌効果をもつといわれるティートリーは水虫治療にいまでも使われています。 西洋医学からみれば立ち遅れている面があります。
アロマテラピーの薬理学の基礎の知識を学びましょう。メディカルアロマテラピーの基礎でもあります。 精油化学成分の生体内代謝についても言及します。最先端アロマテラピストは分子薬理学的理解も必要です。 実務としてインストラクターやテラピストは精油の薬理学の実務的な知識は必要になります。 学校時代に化学を習わなかった人はこの機会に学んでください。 社会人スクールになります。
精油は雑貨品として扱われている限り、精油の血液濃度は考えなくてもよかったのです。 そうすれば、アレルギー症状も発癌性も考えなくてよかったのです。 しかし、このような現象が生じている状況になっています。発癌性は動物実験で認められています。
アロマテラピーは西洋医学に比べ不安要素があります。精油の医学・薬学は教えられていません。 薬理学、代謝が研究されていません。そのために安全性のデータがないのです。 それをあがなうために施術者は自己責任として薬理学の勉強が必要になるのです。
| ■精油の化学構造と薬理効果
精油の化学構造と薬理効果との相関関係は知られていることです。アルデヒド類やエーテル類の分類としての薬理効果も知られています。 薬事法において精油は医薬品として承認されていないので、次のような医学的効果・効能を標榜して精油を広告することはできません。 精油の薬理効果は医薬品として承認されていませんが、その効果は知られているものです。 伝承的に知られている効果は現在のものさしで評価できないものもあります。 下に精油に関わる薬理効果を列記しました。去痰作用はたんを除去する効果のことです。 痰はのどに詰まると呼吸困難を起こして死亡することがあります。 痰がつまる傾向のひとは去痰作用のある精油でケアする必要があります。 このように、薬理効果の概略を理解しておいてください。 しかし、ある精油が去痰作用があると記載されているからといって、医薬品と同等な効果・効能があるわけではありません。 医師に相談することも必要です。このように、精油の薬理効果は伝統医薬としての効果・効能なので、 現代の臨床試験で認められているわけではありません。精油の薬理効果の説明には注意を要します。 たとえば、精油は揮発性物質で抗菌作用、抗ウィルス作用、抗真菌作用があり、そのためにスキンケア効果がある。 肌表面を清潔にするはたらきがあります。 抗菌作用、抗ウィルス作用、抗真菌作用、去痰作用、粘液溶解作用/抗カタル作用、鎮咳作用、強壮刺激作用、 免疫強化作用、鎮静作用、抗ストレス作用、抗不安/抗うつ作用、自立神経調整作用、神経強壮、精神安定、 多幸作用、精神高揚作用、頭脳明晰作用、催淫作用、加温作用/引赤作用、血流促進、うっ血除去作用、 脂肪溶解、解毒作用、抗痙攣作用、鎮痙作用、筋肉弛緩作用、麻酔作用、抗炎症作用、鎮掻痒作用、抗アレルギー作用、 瘢痕形成作用、癒傷作用、皮膚細胞活性作用、皮膚軟化作用、収斂作用、血圧降下作用、皮脂分泌調整、 消化促進、肝臓強化、胆汁分泌促進作用、健胃作用、嚥下作用、結石溶解作用、駆風作用、エステロゲン様作用、 コーチゾン様作用、ホルモン調整作用、通経作用、駆虫作用、昆虫忌避作用、皮膚・粘膜刺激、 神経毒性、肝毒性、腎毒性、感作性、光毒性 |
| ■精油の毒性
薬理作用と毒性あるいは副作用は裏腹です。人間にとって、都合の悪い薬理作用を毒性または副作用とよんでいます。 都合がよい薬理作用は主作用とよぶことがあります。毒性と副作用は意味合いが違います。 副作用は精油使用上は避けられない毒性という意味合いをもっています。 予測あるいは予見できない副作用あるいは有害事象という言葉もあります。 中には人間にとって毒性を示す植物がありますが、これを有効に使いこなしている場合もあります。 毒性のある植物化学成分を少量だけ投与することにより、生体に有効な薬理効果を発現させることができる場合があります。 毒性のない精油は、かなり大量に投与しないと薬理効果は発現しないかもしれません。 坐剤などで大量に投与しなければならないかもしれません。 また、精油は、植物中にある場合に比べると、大変濃縮されているため、毒物も濃縮されていることになり、 十分な知識を持って取り扱うことが大切です。 もちろん精油の性質をうまく使用すれば、決して危険なものではありません。危険にならない使い方を学ぶのです。 精油の毒性は、その化学成分の中に毒性化合物があることです。複数の毒性化合物があるときは、 精油は複雑な毒性をもつことになります。 精油は揮発性化合物なので蒸発して肺胞から吸収されると毒性が発現することがあります。 たとえば、化学成分にアレルゲンがあればアレルギー症状という毒性が出るのです。 精油には防虫や虫除け作用もありますが、それは薬理作用とは呼びません。精油の毒性を利用したものです。 現在でも蚊取り線香が売られていますが、いまだに便利な製品です。 薬理作用はあくまでも人体に対する作用のことです。 精油は化学成分に対応した薬理効果で考えますが、日常的には精油全体のオーバーオールの薬理作用を目のあたりにしているわけです。 全体としては相乗・クウェンチング効果のために複雑な薬理効果になるのです。 このように、現実の技術的には、精油の薬理学は人知を超えているのです。 薬理学の基本の研究姿勢として、 精油の個々の化学成分の薬理学を研究することで、分子薬理学と呼ぶ問題になるのです。 所詮、個々の化学成分の薬理を学ぶのですが、数100種類の化学成分が混合しているのでゴールは遠いのです。 |
| ■薬理的効果と精神的効果の分類は間違い
アロマテラピースクールでは、精油の効果を、薬理的効果と精神的効果の二つに分類すると教えているが間違いだ。 精神的効果が薬理的効果ではないとする見解は今の医学にはない。 精油の香りの嗅覚刺激で大脳辺縁系に働きかけ間脳の視床下部において自律神経や内分泌系、免疫系のバランスを調節するのは、 精神的な効果ではなく自律神経系の機能に影響を及ぼしている薬理的効果と考える。 精油化学分子は嗅覚を刺激した上に、皮膚あるいは肺胞等により吸収され脳に至っている。 そこで脳神経系に影響を与えている可能性はある。 精油化学物質の薬理的効果のメカニズムはあまり解明されていないので自律神経系の働き・ホメオスタシスの維持という説明になっている。 精油が持つ抗菌作用に着目して、精油を傷口に塗布して化膿止めに使用するなどということは古典的な意味で薬理的な効果といえるが、 今では治療と行った方がよいだろう。薬理効果を考えて治療する医師はいないと思う。 うつ病患者に薬物治療するときは薬物の薬理的な効果を期待しているもので精神的効果を期待しているものではない。 いわゆる生体の精神的な活動も生体機能の分子論的に考えられるようになってきた。 精神病であるアルツハイマー病の治療もローズマリーのような精油により嗅覚刺激をするものから、 脳内の神経細胞の損傷を抑える方法まで開発されてきている。 そのような薬物の薬理的効果も注目されるようになってきた。 しかし、これらは医学的には未開拓の分野であることは間違いないが、最近では医療のレベルになってきた。 アロマテラピーという伝統医療でもメンタルな薬理的効果を考える時期が来たといえる。 精油化学成分が自律神経系の働きに影響することで生体のホメオスタシスを維持して結果的に病気にならないように免疫系の働きを活発にする。 このようなアロマテラピーのロジックを薬理学的に説明しようとするのが「アロマの薬理学」というものだ。 精油の化学成分が菌の細胞に影響して死滅させることを殺菌というが、これも古い薬理学である。 精油には抗微生物効果も知られている。顕微鏡で見える程度の大きさの生物を微生物という。 人間に害を与える微生物の働きを抑えることを抗微生物効果という。 そのために民間治療としてティーツリー精油は真菌による水虫治療にも使われている。 精油化学成分の働きは抗生物質とは違う作用メカニズムであることもわかっている。このような勉強も「アロマの薬理学」という。 |
| ■神経薬理学
精油を嗅覚で嗅いででかき刺激が脳の大脳辺縁系に伝わり、視床下部を刺激する。 精油は交感神経や副交感神経などの神経系にはたらく。恒常性・ホメオスタシスを保つことで生体の健康を保つという。 この領域は神経薬理学でカバーしている。 神経薬理学は医学部卒業の人たちに専門家が多いが、伝統医療ではたらくアロマテラピストも基礎的理解が必要になっている。 医療機関で働くときに、同僚になる医師達とのコミュニケーションがとれなくなる。 薬理学に関する基礎的な学術用語の完全理解が当面は必要になる。 故・藤田忠男博士のサイトを転載したものです。 |