2025年9月、国土交通省が公表した下水道管の特別重点調査により、全国で1年以内に対策が必要な「緊急度1」下水道管が約72キロメートル存在することが明らかになりました。三重県内では、四日市市昌栄町の市道下にある128メートルの下水道管が「緊急度1」と判定されています。

これに加えて、先般、四日市市内の一部駐車場や道路で冠水による車両被害が発生しました。局地的豪雨や台風時の冠水は年々増加しており、インフラ老朽化と気候変動リスクが同時に顕在化しているといえます。

不動産オーナーや賃貸投資家にとって、こうした事象は単なるニュースではなく、資産価値や賃貸経営に直結する重要なリスク要因です。


下水道老朽化と冠水がもたらす不動産リスク

1. 道路陥没・冠水による安全性低下

八潮市で起きた道路陥没の原因は下水道管の腐食でした。四日市市でも同様の劣化が確認されている以上、道路陥没や冠水による交通障害・入居者の安全リスクは現実的な懸念です。

2. 建物・駐車場への二次的影響

冠水によって車両が水没すれば、入居者や利用者からのクレームや補償問題が発生します。また、地中の空洞や水害は建物基礎や外構への損傷リスクを高め、修繕費用がオーナー負担となる場合もあります。

3. エリア全体の資産価値低下

「冠水リスクがある」「インフラが老朽化している」という情報は、入居希望者や将来の購入希望者の判断に直結します。不安が払拭されなければ、空室率の上昇や家賃下落につながりかねません。


賃貸オーナーとして取るべき視点

こうしたリスクが顕在化する中で、オーナーや投資家に求められるのは「建物管理にとどまらず、地域インフラや環境リスクも資産管理に組み込む姿勢」です。

  1. 情報収集と早期対応
     自治体の発表や工事計画は、物件の将来価値に直結します。特に「緊急度1」の下水道工事が近隣で予定されている場合、オーナー自身が把握し、入居者や管理会社と情報を共有しておくことが重要です。

  2. 冠水・水害リスクの見直し
     駐車場や低層階物件については、ハザードマップの確認や排水設備の点検を行いましょう。豪雨の増加を踏まえれば、立地選定や修繕計画において「冠水に強いかどうか」を評価軸に加えるべきです。

  3. 保険・修繕計画の最適化
     火災保険や地震保険だけでなく、水害や冠水被害をカバーできる補償内容かどうかを点検することが不可欠です。また、下水道工事や道路工事の予定を確認し、外構や配管修繕のタイミングを合わせることで、効率的なコスト管理も可能になります。


投資判断にどう活かすか

冠水や下水道老朽化といったニュースは、短期的にはリスクですが、長期的には投資判断の材料になります。

  • 工事後は安全性の高いエリアに
     四日市市昌栄町の下水道管が補修されれば、将来的には「最新の設備に更新された安全な地域」として評価を高める可能性があります。

  • 価格調整のタイミングを狙う
     インフラ不安から投資家が敬遠する局面では、相場より割安で物件を取得できる機会が生まれます。リスクを織り込み、工事後の将来価値を見据えた投資は、差別化のポイントになり得ます。

  • 出口戦略に直結する要素
     将来売却を考える際、買い手は「安全・安心なエリア」であるかどうかを重視します。インフラ更新済みで水害対策が施されている物件は、出口戦略の際にも強みとなります。