炭水化物(お米)を食べると力になり、タンパク質(お肉)を食べると体重になる・・・とは漠然と知ってますよね。
これを分子生物学で理解しましょう。
炭水化物は、(ほぼ)植物にしかつくれません。
彼女たちは太陽光のエネルギーを使い、二酸化炭素(CO2)と水(H2O)をグルコース(C6H12O6)の形にまるめ、お釣りで出た酸素(O2)を捨てます。
植物はこうして自ら栄養素をつくれるので、「独立栄養生物」という称号を持ってます。
一方で、それを食べることでしか栄養を得られないわれわれ動物は、「従属栄養生物」という立場に甘んじるしかありません。
ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」が、ホモサピエンスを描く際に、植物の側に主体性を置いて「小麦は人類に奴隷労働をさせることで世界中の土地を征服した」という言い回しを使ってますが、こういうことなんでした。
さて、植物につくってもらった炭水化物を、われわれ人類は体内に取り込みます。
その際に植物とは逆プロセスを使い、酸素を吸って炭水化物を二酸化炭素と水に分解(排出)し、太陽光(と等価)のエネルギーを抽出する、という作業をしてます。
植物が毒と感じて排出してた酸素の燃焼力を利用して、エネルギー玉をつくり出すわけです。
要するに炭水化物を食べるという行為は、呼吸と結び合わせて運動の活力にする、ということなんでした。
一方でタンパク質の摂取は、ゲノム方面が関係してきます。
遺伝子=DNAの塩基コードは、体をどうつくるか?の設計図ですが、より単純には「どのアミノ酸をどの順序で並べるとどのタンパク質になるか」という情報です。
細胞内のシステムは、この情報に基づいていかにアミノ酸を集め、タンパク質の形にして体内に送り出すか、ということに尽きます。
ここまで書けば、こちらも逆ルートをたどることで解答が見えてきますよね。
タンパク質を食べると、消化器系がこれをアミノ酸レベルにまで分解します。
そうしてバラバラになったアミノ酸を獲得した細胞は、DNAが示す設計図通りに、任意のタンパク質に編み上げます。
取り込んだタンパク質を解体して、いったんアミノ酸に戻し、もう一度タンパク質の形にリサイクルするわけです。
新しくつくられたタンパク質は、お届け先のタグで修飾され、筋肉になるべきものはその箇所に、コラーゲンはお肌に、ヘモグロビンは血管に・・・などと送り出されます。※1
これが「炭水化物は力になり」「タンパク質は体重になる」の意味です。
つわけで、食事ではその都度に必要なものを摂りましょう。
※1 こんなわけで、「コラーゲン」や「コンドロイチン」なんてサプリメントを摂取しても無駄だよ。そいつはいったん体内で、アミノ酸という最小単位にまで切り刻まれる運命にある。その先で偶然にコラーゲンに再生してもらえたら御の字だけど、その確率は高くないと言っていい。CMの内容を注意深く読み解いてみて。「・・・と、専門家が報告しています!」みたいに曖昧な表現になってるから。