
ジェリ・アレンは、半分フリージャズに足を突っ込んでるひとで、要するに、用いる音の質と並びがガチャガチャしてます。
彼女が弾くピアノのほとんどの音は、理性じゃなく、野生の情動でつくられてます。
アドリブ芸術であるジャズは、もちろん感性の作業なんだけど、知識や経験で編んでく音とはまるで違う、天啓みたいなやつをピリピリっと引っぱってきてはつむいで、電気に打たれるその都度、あわてて五線譜上に配置してくのが、彼女のピアノ。
脳内のひらめきを指先からほとばしらせるって作業が、ほんとに、そそくさと、なの。
サラッと、ってスマートさじゃなく、大慌てでその作業は進められるんだけど、おかげで作意をまるで感じさせないんで、「今できましたよ~」ってほやほや新鮮な独特のメロディラインになり、それがドタバタしながらも不思議とリズム上にのっかってくのです。
フリーすぎない猥雑さで、鍵盤をひろびろと使った多彩な音を散りばめる彼女のスタイルは、まさに天真爛漫。
ガチャガチャしてるのにメロディアス、という、どこでも聴き覚えのない立体的な音は、心かき乱させながら、なぜか高揚させるのです。
ミスタッチはおびただしく、音の濁りや字余り字足らずの作法無視もはなはだしいんだけど、そんな無法を意に介さなくてすまさせるほどの、全体の世界感が最終的にできていきます。
ディテールで汗をかきまくって、なお総体の完成度を俯瞰できてる、ちょっと他に例を見ない才人です。
そんな奔放な音が、「タップ・パーカッション」という、つまりクツの底でリズムを取るタップダンサー・・・じゃなく、タップミュージシャンと組んだ一作。
ジェリのピアノももともとパーカッシブなんだけど、リズム刻みをタップ側に完全にゆだねてるんで、彼女は音のアクセントを効果的に放り込んでくって作業に集中できてて、たのしいつくりになってます。
それにしても、あの天衣無縫のひとが、こんなに正確なリズムを取れることができるんだなあ、と驚かされました。
あたりまえか。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園