東北新幹線で虹をくぐった後、一ノ関から気仙沼に向かう大船渡線の二両編成の電車に乗り込む。
ちょうどすべての座席がふさがろうかという乗り合い状況だった。
最後に空いた一席が、オレの左隣。
そこに、新たにふたりの、たぶん台湾からの観光客かなあ(台湾人と中国人の違いってすぐわかるの、なんで?)が乗ってきた。
これが30付近のカップルなのだ。
席がいっこしか空いてないんで、メガネの女子を座らせ、ノッポの男子はドア付近のバーにもたれて、仕方なしにスマホいじりをはじめた。
なんとか座れないもんかなあ、と考えてるところに、ふと向かい側を見ると、おばはん(ブス)が隣に高級そうなバッグ(たぶんパチもん)を置いて二席を占有し、ひとに座らせまいと居眠り(のフリに間違いない)を決め込んでる。
オノレ、と思い、睨みつけてみる。
オレは、外国文化との接点であるこうした不意なコミュニケーションの場は、外交の最前線と考え、日本国家の誇りと日本人としての自尊心にかんがみ、必ず介入することにしてるのだ。
ババア、かばんどけろや〜・・・と念じてるところへ、うまい具合いに、そのバッグ(パチもん)の中の携帯が鳴りはじめた。
おばはん(ブス)は舌打ちでもしたいところだろうが、こうまで派手に着信音が鳴っては、寝たふりをした目を開かざるを得ない。
そこへすかさずオレは席を立ち、「そこ、空いてんなら座らせてもらえます?」と・・・ここがオレのえらいところだが・・・天使の笑顔でお願いをする。
相手は、えっ、ああ、はい、などと口をモゴモゴさせつつ、バッグをひざにのっけた。
オレはその空いた席に座り込みつつ、ドア方面の台湾人♂に目配せ。
彼が移動すると、世にも美しくスマートな動線が描かれた。
相方との邂逅相成った台湾人♀(コミカルだが可愛い)は、輝かんばかりの笑顔でこちらに向かってお辞儀。
オレは再び天使の笑顔でそれに応える。
ピタシとパズルが嚙み合い、国家の誇りは守られ、日本人の美意識は海外に伝わり、完全無欠の一両が出来上がり、ってわけだ。
こうして前途洋々、発進した大船渡線、っつー旅路のはじまりであったとさ。

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