寝床で汗かきのよめはんが、最近とみに「暑い、暑い」と言う。
夏用のタオルケットから、いきなし冬用の羽毛布団に取り替えたせいかと思われる。
彼女の羽毛布団は、お姫さま仕様のすばらしいシロモノで、ふわふわフカフカこの上ない逸品なんである。
夜中にそれを蹴飛ばして、毛布一枚で寝てるものだから、風邪っぴき気味にもある。
見るに見かねて、オレが普段使ってる布団と交換してさしあげた。
オレの真綿布団は、よく言えば、肌になじむ年季もの、悪く言えば、しなしなの油揚げのようなくたびれ布団、なんである。
ところがそれをお召しのお姫さまは、「心地よいぞ」とおおせになる。
スカスカすーすーで、気持ちいいらしい(こういう布団もどうかと思うが)。
こっそりと市中に出た王様が、たわむれに乞食と服装を取り替えて民と交わり、満悦するの図、か。
とにかく、秋のうちはこのままお互いの布団を使用し合い、やがてすきま風が肩に這い入る冬場になると、おそらくみすぼらしい油揚げ布団は、下層の民に突き返されるのであろう。
それまでの束の間、ふかふか汗まみれでこの優雅な羽毛布団を楽しもうと思う。

東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園