開高健でいちばん面白いのは、評論です。
彼の本質はルポルタージュで、創作はあまりうまくない気がする。
ストーリーテリング(話の筋立て)で読まそうって作家ではなく、レトリック(文章表現)で引き込むひとだから、ノンフィクションが生きるわけです。
彼の表現は、俳句のように濃密で簡潔です。
いっこの言葉で物事をデッサンする達人。
「都が焼け落ちるような夕陽」とか、「青空にシンバルを一撃したようなひまわり」とか、「おかゆのように暑い夏」とか、風景がまざまざと見えてくるようではないですか。
戦争を描くためにベトナムで従軍したり、世界を描写するために釣り竿一本かついで冒険の旅に出たり、と素材を求めつづけたひとですが、やっぱり煮詰められるのは文章表現の方で、創作にはならなかった。
結局ルポルタージュが面白すぎて、それを取りまとめようとする創作の方は、逆に散らかっちゃう印象です。
彼の創作で最も面白いのは、芥川賞を獲るデビュー前に書かれた「パニック」「裸の王様」「流亡記」きり(ぼくの個人的意見)で、あとはもう達者な作品になっちゃう。
そのかわりに描写力が磨かれ、ルポルタージュがとてつもなく面白くなってくわけです。
それを煎じ詰めたのが、評論。
評論が面白い作家、なんてのは聞いたことがないけれど、このひとがそうです。
ひとの作品を介して自分の表現をする、というのが評論だけど、このひとは、評論する相手の作品世界の裏側にある膨大な広さを使って、別の世界を描き出してみせます。
それは説明でなく、評論する相手を主人公としたモノガタリ、という新たな創作になってくわけです。
沢木耕太郎の映画評論は、ただのネタばらしとなるあらすじ説明と粗悪な感想とに終わってるので、新聞を読むぼくらを心からがっかりさせてくれるわけだけど、評論の本当の意味は、対象作品の持つ世界の新たな切り口での描き出しなわけで、作品の再プリントではないのです。
もちろん評論は、ある意味でのルポルタージュですが、そのルポは、本人が描き出す創作世界よりも入念に練れた創作なわけ。
評論にも「おもしろい作品」ってのがあるわけですね。
ハラハラドキドキな評論ってのも奇妙なものだけど、開高さんのそれは、確かな審美眼と咀嚼力と明晰な表現で貫かれてるので、耽溺・・・じゃなく、耽読させられます。
池波正太郎の軽いやつと、開高健の重いやつを、交互にバスタブに持ち込んでは長湯してる最近です。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園
彼の本質はルポルタージュで、創作はあまりうまくない気がする。
ストーリーテリング(話の筋立て)で読まそうって作家ではなく、レトリック(文章表現)で引き込むひとだから、ノンフィクションが生きるわけです。
彼の表現は、俳句のように濃密で簡潔です。
いっこの言葉で物事をデッサンする達人。
「都が焼け落ちるような夕陽」とか、「青空にシンバルを一撃したようなひまわり」とか、「おかゆのように暑い夏」とか、風景がまざまざと見えてくるようではないですか。
戦争を描くためにベトナムで従軍したり、世界を描写するために釣り竿一本かついで冒険の旅に出たり、と素材を求めつづけたひとですが、やっぱり煮詰められるのは文章表現の方で、創作にはならなかった。
結局ルポルタージュが面白すぎて、それを取りまとめようとする創作の方は、逆に散らかっちゃう印象です。
彼の創作で最も面白いのは、芥川賞を獲るデビュー前に書かれた「パニック」「裸の王様」「流亡記」きり(ぼくの個人的意見)で、あとはもう達者な作品になっちゃう。
そのかわりに描写力が磨かれ、ルポルタージュがとてつもなく面白くなってくわけです。
それを煎じ詰めたのが、評論。
評論が面白い作家、なんてのは聞いたことがないけれど、このひとがそうです。
ひとの作品を介して自分の表現をする、というのが評論だけど、このひとは、評論する相手の作品世界の裏側にある膨大な広さを使って、別の世界を描き出してみせます。
それは説明でなく、評論する相手を主人公としたモノガタリ、という新たな創作になってくわけです。
沢木耕太郎の映画評論は、ただのネタばらしとなるあらすじ説明と粗悪な感想とに終わってるので、新聞を読むぼくらを心からがっかりさせてくれるわけだけど、評論の本当の意味は、対象作品の持つ世界の新たな切り口での描き出しなわけで、作品の再プリントではないのです。
もちろん評論は、ある意味でのルポルタージュですが、そのルポは、本人が描き出す創作世界よりも入念に練れた創作なわけ。
評論にも「おもしろい作品」ってのがあるわけですね。
ハラハラドキドキな評論ってのも奇妙なものだけど、開高さんのそれは、確かな審美眼と咀嚼力と明晰な表現で貫かれてるので、耽溺・・・じゃなく、耽読させられます。
池波正太郎の軽いやつと、開高健の重いやつを、交互にバスタブに持ち込んでは長湯してる最近です。
東京都練馬区・陶芸教室/森魚工房 in 大泉学園