嵐の中の救出劇・・・ | 美味しく、楽しく、生物多様性ブログ!~NPO法人森の都研究所

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生態系の専門家である前に一人の平凡な父親として、豊かな自然を子や孫に伝えたいから、処方箋を皆さんと一緒に考えていきたいと思います・・・


「そういえば、サンショウウオが落ちてた。コンクリートの桝の中で、ひっくり返

って浮かんで・・・」

年度末、なにかと忙しい日、しかも久々の荒天で、ズブ濡れ必至の夕方でしたが、

聞いてしまった以上、聞き捨てにもできません(苦笑)。

 

そのコンクリート桝は、以前にもサンショウウオの水死体があがったところです。

 

☆ ☆ ☆

 

とても不幸な構造で、用水池からポンプアップされた水を受ける桝なのですが、

コンクリート製の正方形の垂直穴で、胴丸短足のサンショウウオにとっては、

登攀不可能な絶壁です。

 

しかも、常に水が溜まっているので、しばしばいろんな両生類が飛び込む

のですが、自然の雨では、滅多に出口のU字溝まで水位が上がりません

 

・・・そして、この用水路を必要とする水田が、現在、休耕田なのです。

 

人が忘れ去った構造物でも、生態系への負の影響が継続することがある、と

いう、物騒な遺産、の典型例です。

 

☆ ☆ ☆

 

さてさて。見に行っただけで、案の定、すでにズブズブに濡れそぼりました。

当のサンショウウオは、人生を諦めたように、力なく浮かんで居ました

 

が、アミで掬い上げた後、安全な山裾の草地(というか、休耕田)へ、百メート

ルほど運ぶ間に、段々希望を回復したのでしょうか。

 

アミを置くと、写真のように、ナニゴトもなかったかのように、歩き出しました(笑)。

とりあえず、メデタシ・・・かな?

 

ちなみに、種類は、カスミサンショウウオの一種ですので、イモリくらいの小柄

な姿ですが、立派なオトナです。

 

☆ ☆ ☆

 

決して大きくないコンクリート桝ですが、小学生がすっぽり隠れていられる位の

構造物です。今回、サンショウウオ1匹の他に、少なくともイモリ2匹と、アカガエル

2匹の生きた者達と、カエルの死体2匹(トノサマガエルかアカガエル類)が見えま

した(・・・蛇足ですが、これら全て、兵庫県レッドデータリスト掲載種です)。

 

イモリは、いざとなれば垂直登攀できるとして、アカガエルは登れません。

まあ、カップルになっていたので、とりあえず今日はそっとしておきました(笑)

・・・後日、考えます。

 

☆ ☆ ☆

 

耕作放棄は、運が良ければ豊かな自然が回復する足がかりになりますが、今回

のような厄介な遺産が足を引っ張るケースも少なくありません。

 

「放棄」にお金を注ぎ込むことは誰もしないでしょうけど、放棄が生態系回復の妨

げになり続けないための、ちょっとした解決策(小さなテクニック?)は、あちこち

で工夫した方が良いですね・・・ムズカシイですけど。

 

☆ ☆ ☆

 

今夜も、皆さんに素敵な夢がたくさん訪れますように。。。

 

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