この震災をテレビで見続けていて
家を失うってどんなだろう、、って思ったら
この間スーパーで会ったホームレスのおじさんを思いだした。
私がいつも休憩するベンチに閉店前の九時過ぎ?
巻き寿司の値下げになったお弁当と缶ジュースと
やけに真新しいフリースの小さなひざかげのようなかわいい柄の毛布を
わきに、身を前に押し倒してポケットに手を突っ込みぢぢこまって座っていた。
肌は真っ黒、薄い綿入りの油汚れしたような青が黒くなったジャンバー、汚れた野球帽
汚れたズボン、痩せてしわっぽい体つき。
見た感じで70過ぎのおじいさん。
寿司は一日で食べないようにと残したのか
細巻きの安い寿司が残ったままだった。
普通の人ならホームレスの人って気づいたら
隣に座るのかわからないのだけど
私はなんだかその人と言葉を交わしたくて、あえて
横に座っていつも通り缶ジュースを静かに飲んでいた...。
五分ぐらいたってもおじさんは何も言わず、ずっとちぢこまったままだった。
自分から声をかけようにもなんと声をかけていいのかもわからないので
ただしばらく横でじっと座っていた。
10分はたたない頃、無理かな、、と諦めて
帰ろうとベンチをたった時、おじさんがいきなり身を起こして
ごめんね!なんか、ごめんね!
って手を前に合わせながら大きな声で話しかけてきた。
ごめんねとは?、、恐らくこんなおじさんが席とっちゃったから
気分悪くしたでしょ?ごめんね、って意味なのかな?と受け取った。
以心伝心ではないけれど、
私は声をかけたかったし、かけてくれるのを待っていたので
嬉しくて、
おじさん、寒いね、今日
って返事をした。
そしたら
ああ、寒いねえ~!!!
って少し驚いたように大きな声で返事をしてきた。
その後は前を向いてちょっと緊張したようにモジモジっとしていた。
続く言葉が見つからなくて
お父さん、手冷たいでしょう?
これ、使って!!て自分のつけていた手袋を鞄からだして
おじさんの座っている横に置いた。
茶色の色でちょっとピンクとか黄色の模様が入ってるけど
男の人がつけても多分平気かな。。って柄だった。
そしたらおじさんは
いいよ!!
そんな事いいから!!
ね、未練ここに残っちゃうから、、!!!
いいから、使って!!
寒いから!!
未練が残っちゃうからここに、
ね、だから未練残っちゃうから
って、しきりに 「未練が残っちゃうから」
っていう。
でも、私も諦めが悪いので
いいの!使って、本当に!
っていったら
まだ触ってないから、
ね?アタナも寒いでしょう?
ね、キレイだから。
っていう。でも顔はすごく嬉しそうに見えた(勝手ながら)
私はかたくなに
私は全然平気。家近いし!
使ってね、捨てちゃやだよ?せっかくだから
使ってね、元気でね、またね!
っていったら
有り難う!!!有り難う!!!
って椅子を立ち上がって手袋を持って
大きな声で
あんたも気をつけて帰りなよ~~~!!!
手を振ってくれた。
おじさんが身を倒して小さくなって暖をとってる姿が
ふと、自分がちょっと前、飲み過ぎて終電を降りた駅前の真冬のベンチで
ジョバンニが迎えにくるまでの小一時間、体中からどんどん体温が奪われて
冷えきって関節までも凍り付いていく感覚を思い出してたから、、。
あれは本当にキツかった。歯の音が止まらなくて
家に戻っても暖房つけても何しても明け方まで歯がガタガタ鳴って寒くて死にかけた。。。
それほど寒さが辛い思いをした。。
そんな体験がなんだか変な同情心をかき立てたのか、
(元々私は浮浪者を怖いとか避けたいという気持ちもそんなない、...襲ってこなければw)
私は何か話をしたいというより、おじさんにあったかいものを渡したかった。
別に浮浪者だからではなく、それが子供であっても、おばさんであっても、誰であっても
冷えて凍えそうになって座っている人がいればそうしたいと思っただろう。
とにかく、ベンチの横で座っている間中
頭の中では家にある着てないダウンジャケットだとか使ってない布団、毛布
小額でもお金だとか、腐る程あるマフラーとか色んな事を想像していたけど
でも、なんかそういうのを渡すのは「めぐむ」ようでおこがましい、、とも思えた。
だからせめて何か今だけでも暖まる何かを渡したかった。
その日は連日0℃を下回りそうな程寒い毎日で
あたたかな恰好をしてても外を歩くと肌寒い日だった。
私には帰ると暖かい暖房のきいた部屋がまってて
お風呂があって暖かい食事を作って食べる事ができるのに
この人は自らこういう生活を自分で選んだといえ
身の切れるような寒さがずっと続くんだ、、って思ったら
せめて今少しでも暖まるようなものを。。。って思っちゃったのだ。。
おせっかい、偽善、色んな言葉が浮かぶけれど、、
どうしても何かしてあげたかくなったんだ。
本当に必要なものではなかったのはわかっているけれど、
それしか出来なかった。
私には中途半端な自分の体面も気にするような真似しか出来なかった。
帰る道すがら考えていた。
未練が残っちゃうってなんだろう?って。
そしたら、なんとなく思ったのは、
ああ、
おじさんは、自分が浮浪生活をしてても
普通に生活している人との関わり合いも接点もないんだから
そこに思いを残して、現状の自分が辛いとか悲しいとか申し訳ないとか
思わないでいられるって意味なのかなあ。。とか
勝手に私なりに色々と考えた。
ああいう生活をするのは
こっちの世界?に未練を残さないから続けられるのかもし
れない、、と思ったけど
でもやっぱりそれは寂しくて悲しい。
震災で家を失った人をもし、浮浪者のおじさんが知る事があったらきっと
「俺らなんかずっと家も家族もないぜ?」
って思うのかな。。。なんて思ったり、思わなかったり。。。
でも違うかもね、そういう生活の辛さを身を以て知っている分
とても悲しく感じるのかもね。。それは私にはわかんないけど。。
でも、私はそのスーパーにいく度
あのおじさんいるかな??ってベンチやお弁当のコーナーみてる。
変な話になったけど、
なんか家がないってなんだろう、、って思ったら
思い出した。