新聞を見て加藤周一氏が逝去されたことを知りました。89歳です。
60年代末から70年代にかけて学生時代をすごした我々の世代にとっては、加藤周一氏は戦後を代表する知識人の一人で、当時はそれこそ仰ぎ見るような存在でした。日本のことだけでなく西洋世界のことについても博識であり、もともとは東大医学部卒で血液学を専攻する医者だというからさらに圧倒されたことを記憶しています。
学生時代に「雑種文化論」というタイトルの本を読んだことがあります。日本の文化は純粋に日本独自というようなものは少なく、いろいろな文化が雑多に交じり合ってできた雑種文化であると指摘し、しかもそれを肯定的に論じていました。そのころはたしかカナダのブリテッシュコロンビア大学の客員教授だったと思います。
10年ぐらい前に池袋の芸術劇場のカフェで顔を見かけたことがあります。奥様と二人で芝居か何かを観に来てたんでしょうか、加藤周一氏に会ったのはそれが最初で最後でした。
戦後日本で輝いていた大知識人がこうして次々に亡くなり、大知識人時代が終焉しつつあるのを感じます。そもそも知識人という概念もいまや死語になりつつあります。