『「無税」入門』只野範男著、飛鳥新社、1,200円。結構面白く読んだ。


著者は59歳のサラリーマンで、この37年間所得税を払ったことがないという。取り戻した税金の累計は約900万円。これまで税務署からお咎めを受けたことはないそうだ。そんなうまい手があるのだろうか。


著者はサラリーマンをやりながらイラストを描いていて毎年少しばかりの収入を得ている。しかし、イラストは副業でなく本業であり、イラストだけでは生活できないのでサラリーマンをやっているのだという。このスタンスで税務処理を行うことが「無税」のポイントである。


イラスト業は多少の収入はあるが家賃等の経費がかかって毎年赤字になっている。イラスト業という個人事業とサラリーマンの給与収入は総合課税で通算できる.。本業のイラスト業が赤字なので源泉徴収された給与収入の所得税を還付請求して取り戻し、結果として無税になるという方法だ。


この本に刺激されて「無税」を実践するサラリーマンがたくさん出てくる可能性はある。こんな無税の勧めに対して税務当局はどう対応するのだろうか。税収不足の折、気になるところです。しかし、著者も指摘しているように、税に精通して納税意識が高いと思われている税務署員が実践している「合法的」な様々な節税策の方をその前に問題にすべきでしょう。


また、大げさなタイトルで見当違いな節税策をさも有効な方法として紹介している評論家や学者先生をバッサリ切り捨てているのも痛快でした。第4章の「税制の基礎をかじる」は税の基礎知識を得るのにためになりました。会社が税務署の出先機関として社員から税を徴収する日本では、税金は天引きであり、税金の仕組みについて知る機会は意外に少ないのです。


投資物件をさらに買い増ししたいと考えている不動産投資家は、節税よりも利益を出してしっかり納税した方がいいようです。銀行は利益を出して税金を支払っている個人や法人に融資したいと考えています。