介護記録は、利用者様の状況や様子を記録する大切な書類です。介護職員だけでなく、ケアマネージャー、理学療法士、医師、看護師など多くの専門職の方々がこの記録を元にケアプランや治療経過を確認し、最適なサポートを提供します。また、ご家族様も見る重要なツールであり、ご家族とのコミュニケーションのためにも活用されます。
そのため、介護記録は客観的かつ正確に記載することが非常に重要です。不適切な表現を使うと、ご家族や専門職に誤解を与えたり、万が一事故や訴訟が起こった際には法的な証拠として施設やスタッフを守るツールにもなります。今回は、介護記録で使ってはいけない言葉や禁止用語について、具体的な例と代替表現を交えながら解説します。
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1. 利用者様を侮辱したり見下したりする表現はNG
介護記録で最も避けるべきは、利用者様を傷つけたり、見下したりする言葉です。これらの表現は利用者様の気持ちや人格を無視したものであり、書き手の感情が入ってしまうため、トラブルの原因にもなりかねません。
• NGワードの例: 「ボケ症状」「しつこく話された」「勝手にトイレに行く」「帰宅願望がすごい」
• 代替表現の例:
◦ 「ボケ症状」ではなく、「いつもの会話よりも話すのに時間がかかりました」
◦ 「しつこく」や「勝手に」のような感情的な言葉は避け、具体的な行動を事実ベースで記述します。
• ポイント: 利用者様の状況を具体的に、事実に基づいた表現で記述しましょう。
2. 難しい表現や専門用語はNG
介護記録は多くの人が読むため、誰にでも分かりやすい言葉で書く工夫が必要です。専門用語に慣れていない人には意味が伝わりにくく、誤解を招く可能性があります。
• NGワードの例: 「徘徊」「傾眠」
• 代替表現の例:
◦ 「徘徊」ではなく、「教室から共有スペースを10分ほど往復されていました」
◦ 「傾眠」ではなく、「自席でテレビを見ているうちに30分間うとうとされていました」
• ポイント: 専門用語を使いこなすとかっこよく感じるかもしれませんが、分かりやすさを最優先して具体的に状況を描写しましょう。
3. 不確かな情報(医学的診断)はNG
介護職員は医師ではないため、医学的な診断を確定するような表現を記載してはいけません。体調不良の際にも、安易に病名を記載するのは避けましょう。
• NGワードの例: 「肺炎」「骨折」「打撲」
• 代替表現の例:
◦ 「肺炎」と判断する代わりに、高熱や咳が出ている事実を記述します。
◦ 「骨折」「打撲」ではなく、外見上の傷であれば肌の色や感触、排便であれば便の形や消化の様子を正確にありのまま記載します。
• ポイント: 頭痛や腹痛といった状態を表す表現は問題ありませんが、介護職員が診断できない医学用語の使用は避け、事実を正確に記載するように心がけましょう。
4. 介護職員の主観的な表現はNG
介護記録を記載する際には、介護職員の主観的な表現を避けることが大切です。利用者様本人の気持ちは本人にしか分からないため、書き手の感想ではなく、客観的な事実を記載する必要があります。
• NGワードの例: 「楽しそうな様子でした」
• 代替表現の例:
◦ 「楽しそうな様子でした」ではなく、「笑顔が見られました」
◦ 「他の利用者様と穏やかに談笑されていました」
◦ 「談笑されている中で『楽しい』という発言がありました」
• ポイント: 見聞きしたことを事実としてありのままに書くようにしましょう。
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【番外編】これも気をつけたいNG表現
上記の4つのポイント以外にも、介護記録で注意すべき表現があります。
• 「〇〇された」のような受動態表現
◦ 「利用者が食事を拒否されたので、食事介助を行わなかった」という表現は、利用者様の一方的な行動のように見えたり、利用者様のせいで介助が行えなかったという否定的な印象を与える可能性があります。
◦ 代わりに「利用者様が食事をお断りされたため、食事介助は控えた」のように、行動の理由や状況を補足し、敬意をもって記載することで、より適切な記録になります。
• ご家族に誤解を与える可能性のある専門用語
◦ 例えば、「褥瘡(じょくそう)」という言葉は、ご家族や訪問看護師が見た際に「あれ?」と疑問に思う可能性があります。
◦ このような場合は、「床ずれ」と記載する方が分かりやすいでしょう。
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まとめ
介護記録は、利用者様に関わる多くの人々との大切な情報共有ツールです。誰が読んでも分かりやすく、利用者様を尊重する言葉遣いに配慮した記録を作成することが求められます。今回ご紹介したポイントを参考に、日々の記録を見直してみてください。