今回は、デイサービスにおける「送り」の送迎業務について、利用者が安心して帰宅し、家族との連携もスムーズになるためのポイントをご紹介します。送迎は単なる移動手段ではありません。快適な空間作りと細やかな配慮で、利用者さんの満足度を高め、次回の利用意欲にも繋がる重要な業務です。
1. 送迎前の準備と利用者への配慮
送迎をスムーズに行うためには、事前の準備と利用者さんの不安軽減が鍵となります。
• 忘れ物防止を徹底
◦ 連絡帳や薬袋などの返却は、帰宅直前ではなく送迎前に完了させましょう。これにより忘れ物が減り、スムーズな出発に繋がります。
• 送迎車の準備
◦ 送迎車は、出発順に並べると乗り降りがスムーズになります。
◦ 車内温度を快適に保つことが非常に重要です。夏や冬は送迎前にエアコンで調整し、利用者さんの体調管理に努めましょう。
◦ スタッフは動いていて暑くても、利用者は寒く感じている可能性があるため、声かけや様子確認を怠らないようにしてください。
◦ 駐車時はサンシェードの活用で車内温度の上昇を抑え、ダッシュボード周辺の温度上昇抑制にも効果的です。
◦ 真夏の車内は、まず窓を全開にして熱気を出し、その後出発の10分前からエアコンで調整すると良いでしょう。
• 不安な利用者への対応
◦ 送迎前になると「誰が送ってくれるのか」「いつ帰るのか」と不安になる利用者は多いものです。
◦ 職員の動きが大きくなったり、職員が少なくなることで不安が増すことがあります。
◦ 不安を感じやすい利用者さんには、送迎前まで集中できる活動に参加してもらうと、不安が軽減され落ち着いて待つことができます。
◦ ホールでは不安でも、車内では落ち着くケースも多いため、少し早めに送迎車に乗ってもらうのも有効です。ただし、出発時間を早めるのは避けましょう。
• トイレ誘導・パット交換
◦ 送迎は時間がかかるため、出発前のトイレ誘導は失禁対策に有効です。
◦ パット交換などで清潔な状態で帰宅してもらうことは、解除負担の軽減にも繋がります。
• お見送り
◦ 可能な職員全員で利用者さんをお見送りする施設もあります。歓迎されている印象を与え、最後に良い印象で締めくくることができます。
2. 送迎中の心遣いとコミュニケーション
送迎中の車内は、利用者さんがリラックスできる空間であることが大切です。
• 安全運転とライトの活用
◦ 日が暮れてきたら、早めにライトを点灯させましょう。
◦ 先行車や対向車、歩行者がいない時は、上向きライトをこまめに切り替えると良いでしょう。
• 利用者さんに合わせた空間作り
◦ 送迎中は、利用者さんに配慮した空間作りを意識しましょう。
◦ その方に合った会話をするだけでなく、音楽を流すのもおすすめです。
• 会話の工夫
◦ 職員は、先に降りる人の順番に、その人が話の中心になるように声かけをしましょう。最後にしっかり話をして終えることで、満足感と次への意欲に繋がります。
◦ その日にデイでやったことや食べたものなど、他の利用者さんも参加できる話題にすると会話が共有しやすくなります。
◦ 話が苦手な利用者さんには、車外の景色に目を向けるよう促したり、無理なくゆったり過ごせるような配慮も必要です。
3. 送迎後の業務と記録の重要性
送迎は、利用者さんを自宅に送り届けたら終わりではありません。
• 家族との連携
◦ 自宅に帰るとデイでの活動を覚えていない利用者さんも多いため、家族はデイの様子が分かりにくいことがあります。
◦ デイサービスでの活動内容や様子を、連絡帳に簡単に書いて渡すようにしましょう。
◦ 毎月1~2枚の写真をA4サイズでカラー印刷して渡すのも喜ばれます。月末実績時に渡すのも良いでしょう。文章だけよりも様子が伝わりやすいため、利用中止を防ぐためにも有効です。
• 車両確認と清掃
◦ 自宅到着後、車内に忘れ物がないか確認しましょう。カバンや連絡帳の忘れ物、キーボックスでの鍵の管理、お弁当の自宅内への搬入なども事前に確認が必要です。
◦ 送迎後は、車内清掃を行いましょう。忘れ物やゴミの確認、埃や泥が溜まっていないかなど、利用者さんが座る場所や目のつく場所は最低限掃除しておくべきです。
◦ 車内清掃の時間が取れない場合は、ガソリンスタンドに行った際に車内清掃用タオルで掃除する習慣をつけると良いでしょう。
◦ 車の洗車も3ヶ月から半年に1回程度は行うようにし、忘れないようにスケジュール管理(例:1, 4, 7, 10月に洗車)を決めると良いでしょう。
• 送迎記録の作成
◦ 送迎記録の作成は非常に重要です。通所介護の基本報酬には送迎に関わる報酬が含まれているため、送迎を行わなかった場合は「送迎原産」が適用されます。
◦ 適切に送迎を提供したことを示す記録がないと送迎原産となるため、介護保険では記録が重要です。
◦ 送迎記録に残す項目としては、送迎した利用者の氏名、出発時間と到着時間、運転者の氏名、車両の車種・ナンバーなどが挙げられます。
--------------------------------------------------------------------------------
送迎業務は、利用者さんとの最後の接点であり、次回の利用に繋がる大切な時間です。これらのポイントを参考に、より質の高い送迎サービスを提供できるよう努めていきましょう。