今回は、多くの職場で問題となるハラスメント、特に「セクハラ(セクシャルハラスメント)」について、その定義から影響、対策まで詳しく解説していきます。
ハラスメントは「自分には関係ない」と思っていませんか?実は、無意識のうちに行われていることも少なくありません。ハラスメントのない安全な職場環境を作るために、一緒に学びましょう。
大原則:「しない・させない・見逃さない」
ハラスメント対策の基本は、この3つの「ない」です。
• **自分自身がハラスメントを「しない」**ことはもちろん。
• 周囲でハラスメントが行われている際には、些細な段階から注意し、ハラスメントを「させない」。
• そして、見過ごさずに声を上げ、被害者を出さないことが非常に重要です。
ハラスメントがもたらす深刻な影響
ハラスメントは、被害者だけでなく、周囲、行為者、そして組織全体にまで広範囲かつ深刻な影響を与えます。
1. ハラスメントを受けた職員(被害者)への影響
ハラスメントを受けた人は、一生の心の傷を負い、仕事の継続が困難になる場合があります。
• 仕事への意欲や自信の喪失
• メンタルヘルス不調
• 休職や退職に追い込まれる
• 心の傷が原因で再就職が難しくなる
• 最悪の場合、自殺に追い込まれることも
2. 周囲の職員への影響
マイナスの感情は伝染します。
• 組織への信頼感の失墜
• 仕事へのモチベーション低下、作業効率の低下
• 「次は自分が被害者になるかもしれない」という不安
• 退職者が出る
3. ハラスメントを行った人(行為者・加害者)への影響
ハラスメントの代償は非常に大きいです。
• ハラスメントが認定された場合、慰謝料などの損害賠償責任が発生。
• 暴力行為などでは刑事責任が問われることも。
• 就業規則に基づき懲戒処分を受ける。
• 自身の社会的信用を失墜。
• セクハラの場合、離婚問題に発展するケースもあります。
4. 組織(会社や団体)への影響
「職員同士が勝手にやったこと」では済まされません。
• ハラスメントが認定された場合、使用者責任を問われる。
• 行政処分や取引停止などによる業績低下。
• 組織イメージの低下。
• 人材採用が困難になる。
• 慰謝料などの損害賠償責任。
セクハラ(セクシャルハラスメント)の定義
「職場におけるセクハラ」とは、以下のいずれかに該当するものです。
• 職場で行われる**「性的な言動」**に対し、労働者の対応(拒否や抵抗など)によって、**その労働者が労働条件で「不利益を受ける」**こと。
• **「性的な言動」**により、**その労働者の「就業環境が害される(働きにくさを感じる)」**こと。
簡単に言うと、「性的な言動」によって、受けた人が不利益を被ったり、働きにくさを感じたりすればセクハラになる、ということです。
セクハラの判断基準
セクハラかどうかの判断は曖昧で難しいことが多いですが、大きく2つの基準があります。
1. 法的責任上のセクハラ基準
これは、訴えられて裁判になった際にセクハラと認められる基準です。
• **「被害者と同じ立場の平均的な職員が不快だと感じる」**レベルであるか。
• 個人的に不快でも、一般的に不快と感じるレベルでなければセクハラではないと判断される場合があります。
• 当該行為が能力発揮や就業環境に悪影響を及ぼしているか。
• 行為を総合的に判断し、社会的に許されないものであるか。
• 被害者の主観も重視しつつ、一定の客観性も求められます。
2. 日常のコミュニケーション上のセクハラ基準
こちらは、より日常的な場面で重視すべき基準です。
• 相手が性的に不快に感じればセクハラと考える。
• 被害を受けた本人が「セクハラを受けた」と言っているのであれば、法的な判断を待たずに「セクハラだからやめましょう」という対応が求められます。
セクハラの2つの形
セクハラには主に2つのタイプがあります。
1. 対価型セクハラ
これは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗など)により、その労働者が不利益を受けるものです。
• 例:上司が新人に性的な関係を要求し、拒否されたために翌日からいじめたり、指導しなくなったりするケース。
• パワハラと重なる部分もあります。
2. 環境型セクハラ
これは、性的な言動によって、就業環境が害されるものです。最もよく見られるタイプです。
• 性的な発言:性的な冗談や会話など。
◦ 「職場の雰囲気を盛り上げるため」という言い訳が多いですが、少しでもダメです。
• 執拗な誘い:食事やデートへのしつこい誘い。最近ではSNSでの誘いも増えています。
• 身体への不必要な接触。
• 事業所内にヌードポスターが貼ってあり、職員が不快に感じて業務に集中できない場合も該当します。
セクハラの加害者とならないために
「この程度は大丈夫だろう」「下心はない」といった思い込みは危険です。
• 性に関する言動の受け止め方には個人差があることを理解しましょう。
• 「下心を表すつもりはない」「この程度は相手も許すだろう」「人間関係ができているからOK」という思い込みは危険です。
• 相手が嫌がっていても、はっきりと「ノー」と意思表示するとは限りません。
• 「昔はいやいやも好きのうち」という言葉がありましたが、これは大きな勘違いです。本当に嫌がっている可能性が高いです。
• 最も重要なのは、相手が嫌がっている時に、同じ言動を繰り返さないことです。
まとめ
ハラスメント、特にセクハラは、個人の尊厳を傷つけ、職場環境を著しく悪化させる深刻な問題です。 「しない・させない・見逃さない」という原則を胸に、一人ひとりが意識を高め、お互いを尊重し合う職場環境を築いていくことが大切です。今回の内容が、皆さんの職場のハラスメント対策の一助となれば幸いです。