デイサービスなどで使われることの多い「一般浴」での入浴介助は、利用者さんが「まだ自分でできることが多い」場合に想定されています。そのため、介助の最大のポイントは「手を出しすぎない」こと。利用者さんの自立を促し、リハビリを意識した介助を心がけましょう。
1.脱衣の介助
• 声かけと確認: まずは「ボタンを外せますか?」のように声かけをし、ご自身でできることはやってもらうのが大切です。
• 寒さ対策: 上着を脱いだら「寒くないですか?」と確認しましょう。もし寒い場合は、肩からタオルをかけるなどして体を冷やさないようにします。
• ズボンを脱ぐ: ズボンを脱ぐ際は、手すりがあれば手すりに掴まってもらい、ない場合は介助者の肩に掴まってもらって立ち上がります。介助者は利用者さんの体を支えながら、ゆっくりとズボンを下ろして脱がせます。
2.浴室での準備と体洗い
• 椅子の温め: 浴室に入ったら、まず椅子が冷たいと利用者さんが座るのを嫌がる可能性があるため、シャワーで椅子を温めてから座っていただきます。
• シャワーの温度確認: シャワーをかける前には、介助者が自分の腕でまず温度を確認します。次に、利用者さんの足元からシャワーをかけ、「温度はどうですか?」と確認しましょう。
• シャワーの当て方: シャワーを直接利用者の体に当てるのではなく、介助者の手を添えてかけることで、水圧が和らぎ、優しくお湯をかけることができます。
• 体洗い: 足元から肩へと体を温めたら、頭を洗います。洗髪も洗体も、ご自身でできる部分はやってもらい、必要に応じて介助します。
3.湯船への入り方(入浴用アイテム使用)
湯船へは、浴槽の高さと同じくらいの高さの「入浴用台(スライドボード)」のようなアイテムを使ってスムーズに入ることができます。
• お湯への順応: 湯船に入る前に、利用者さんにも手や足で湯の温度を確認してもらい、お湯に慣れてもらう時間を設けます。
• 入浴用台の設置: 浴槽の縁と同じ高さになるように台を設置します。
• 湯船への移動:
◦ まず、浴槽の縁に右手を置いて、お尻をスライドさせるようにして台の上に移動します。
◦ ご自身で移動が難しい場合は、介助者に掴まってもらい、体を少し前に倒しながら、お尻をぐいっとスライドさせるとスムーズです。この際、利用者さんとの信頼関係が重要です。
• 足を入れる: 片足ずつ慎重に湯船に足を入れていきます。この時、介助者は利用者さんの体をしっかりと支えます。
• 入浴用台の撤去: 両足が湯船に入ったら、入浴用台を撤去します。
• 座る: 台を外したら、利用者さんに立ってもらい、そのままシュルッと湯船の中に座ります。
4.湯船からの出方
湯船から出る際も、入浴用台を活用し、入る時よりもスムーズに行うことができます。
• 入浴用台の設置: まずは浴槽の中に台をセットします。
• 立ち上がり: 湯船の中では浮力があるため、立ち上がるのは比較的楽です。浴槽の縁に手を突いてもらい、台に座れるように立ち上がります。
• 台に座る: 立ち上がったら台に座り、足を引いて台に乗せます。
• 浴室への移動: 台を横にずらし、まず足を浴室側に出します。介助者は利用者さんの体を支えながら、ゆっくりと移動を促します。
5.入浴介助の注意点とポイント
• 滑りやすい場所での注意: 浴室は濡れているため、滑りやすいです。体を拭く前に移動させる場合など、転倒には細心の注意を払い、常に体をしっかり支えましょう。もし濡れていると滑りそうだと感じたら、この時点でタオルで体を拭いてから移動させると良いでしょう。
• 介助者の服装: 介助者は、撥水加工のTシャツなど、濡れてもまとわりつきにくい、動きやすい服装が適しています。水着などは露出が多くなり、利用者さんも裸の状態なので、肌と肌が触れる面が多くなり、お互いに気まずく感じることがあるため避けるのが賢明です。
• 入浴拒否への対応: 利用者さんが入浴を拒否するケースは少なくありません。恥ずかしい、お風呂が嫌い、特定の職員以外では入浴したくないなど、様々な理由があります。特定の職員でなければ対応できないとなると、シフト制で動く介護現場では対応が難しくなるため、なるべく多くの職員が関われるように対応していくことが大切です。
• 信頼関係の構築: 利用者さんとの信頼関係は、スムーズな介助を行う上で非常に重要です。
• 身体保護: 入浴介助では全身が露出しているため、どこかにぶつけるとすぐに傷になってしまう可能性があります。常に細心の注意を払い、利用者さんの体を保護しながら介助を行いましょう。
今回の内容が、入浴介助の際の一助となれば幸いです。