キリアンです。

「もう少し安くなりませんか?」 「競合他社はこれくらいの価格を提示しているのですが……」

この言葉を投げかけられたとき、あなたは反射的に「確認します」と持ち帰ったり、必死に機能の差を説明し始めたりしていませんか? もしそうなら、あなたは顧客から「替えのきく商品(コモディティ)を売る人」と見なされています。

ハッキリ言います。 値引きを要求されるのは、あなたの提案の「価格」が高いからではありません。あなたの「存在」に、価格を上回る重みが乗っていないからです。

ビジネスにおける「価値」とは、資料に書かれた数字や機能のことではありません。 それは、あなたがその価格を口にする瞬間に漂わせる、「揺るぎない確信」という非言語情報のことです。

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私は音が聞こえにくい分、価格を提示する瞬間の「空気の密度」に全神経を集中させます。

二流の営業マンは、価格を言う瞬間にわずかに声が上ずったり、相手の反応を伺うように視線を泳がせたりします。その一瞬の「迷い」を、顧客の脳は本能的にハッキングします。 「あ、この価格には交渉の余地(弱み)があるな」と。

私が価格を伝えるとき、意識しているのは言葉の滑らかさではありません。 「微動だにしない視線」と「深い呼吸」です。

提示した金額に対して、相手が眉をひそめ、沈黙したとしましょう。 ここで耐えられずに「……ただ、キャンペーン中でして」と口を開いた瞬間、あなたの負けは確定します。

私は、相手がどれほど沈黙しようとも、ただ真っ直ぐに相手の目を見つめ続けます。 その沈黙の時間は、 「この価格は、私たちが〇〇様の課題を解決するために必要な、正当な対価である」 という無言のメッセージを刻み込むための時間です。

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巷の「交渉テクニック」を教えている連中は、アンカリング(最初に高い数字を出す)などの小手先の技術を説きます。 ……浅いですね。 そんなパクリの技術は、目の肥えた経営者には一瞬で見抜かれます。

私が42歳でどん底を経験し、カツカツの生活の中で気づいた真実。 それは、「価値とは、それを売る人間が、自分の言葉にどれだけの責任を乗せているか」で決まるということです。

私が「この金額になります」と言い切る時、そこには私が耳の聞こえないハンデを抱えながら、血の滲むような思いで観測してきた「市場の真実」が乗っています。 その情報の重みが、相手に「この男から買わなければ、この本質的な解決は手に入らない」という確信を与え、価格という次元を超えさせるのです。

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もし、あなたが値引き交渉に疲弊しているなら、提案書を書き直すのをやめてください。

価格を伝えるその瞬間、あなたは相手の目を「本気」で見つめていますか? 自分の提案が相手の未来を救うと、身体全体で信じていますか?

価格を支えるのは、論理ではなく、あなたの「静かなる覚悟」です。

あなたがその一円の妥協も許さない瞳を持ったとき、顧客は「値引き」ではなく「握手」を求めてくるようになります。

次回は、究極の信頼関係。 「紹介だけで仕事が回る人の共通点:顧客が『勝手に宣伝してくれる』非言語の熱量」についてお話ししましょう。

キリアン