キリアンです。
「納品した商品に不備があった」 「期待していた効果が出ていない」
顧客からそんな怒りの電話や呼び出しを受けたとき、あなたはどう対応していますか? 「申し訳ございません!」と何度も頭を下げ、菓子折りを持って駆けつけ、マニュアル通りの謝罪の言葉を並べる……。
もし、それがあなたの「誠実さ」だと思っているなら、今すぐ改めてください。 その「過剰な謝罪」こそが、顧客の火に油を注ぎ、あなたを「都合のいいサンドバッグ」に貶めている原因です。
ハッキリ言います。 激昂している顧客が求めているのは、あなたの謝罪の言葉でも、安っぽい反省の弁でもありません。 彼らが求めているのは、「自分の怒りの正体を、誰かに正確に理解してもらうこと」です。
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私は耳が聞こえにくい分、クレームの現場では相手の「声の大きさ」ではなく、相手が発する「熱量」と「硬直」を観測します。
怒っている人間を観察してみてください。 ・肩が上がり、呼吸が浅く速くなっている。 ・拳を握りしめ、身体が小刻みに震えている。 ・視線が一点に固定され、瞬きが止まっている。
これは、脳が極度のストレス状態にあり、「毒」が溜まっているサインです。 この状態であなたが「申し訳ございません」と言葉を被せるのは、出口を塞いでさらに毒を煮詰めるようなものです。
私がクレーム対応でやることは、ただ一つ。 「徹底的な静寂」を持って、相手の毒を出し切らせることです。
相手がどれほど罵声を浴びせてきても、私は一切反論せず、ただ真っ直ぐに相手の目を見つめ、深く頷きます。 言葉を聞き取るのではなく、相手の身体から「攻撃的な力」が抜けていく瞬間を待つのです。
やがて、ひとしきり吐き出した後、相手の肩がふっと落ち、深いため息をつく瞬間が訪れます。 これが、ハッキングのチャンスです。
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巷の「カスタマーサクセス」や「パクリの営業術」では、すぐに代替案や補償の話をしろと教えます。 ……浅いですね。
相手の感情がリセットされていない段階での条件提示は、ただの「買収」です。相手は「金や物で解決しようとしているのか」と、さらにプライドを傷つけます。
私が42歳で全てを失い、それでも顧客から「お前なら許せる」と言わしめてきたのは、相手の「行間の怒り」を言語化してあげたからです。
相手が落ち着いた瞬間、私はこう言います。 「〇〇様、申し訳ございません。商品が壊れたこと以上に、私が〇〇様の『面目』を潰してしまったこと、それが何よりの不徳の致すところです」
相手が本当に怒っていたのは、商品の故障ではなく、そのせいで社内での評価を下げられたことや、計画が狂ったことへの「不安」です。 その「言葉にされない本音」を非言語情報から読み取り、こちらから先に突きつける。
その瞬間、相手は「……分かってくれたか」と、戦う意志を捨て、あなたを唯一の理解者として受け入れます。
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クレームは、市場の「歪み」が最も顕著に現れる場所です。 そこから逃げるのは、ビジネスチャンスをドブに捨てるのと同じです。
謝罪のテンプレートを覚える暇があるなら、怒れる人間の「呼吸の変化」を視る練習をしなさい。
相手の毒が抜け、身体が緩んだ瞬間に、あなたが差し出す一言。 それこそが、何年経っても揺るがない「ダイヤモンドのような信頼」を創り上げるのです。
次回は、これからの時代のサバイバル戦略。 「AIには絶対不可能な『行間を読む』という、営業マン最後の生き残り戦略」についてお話ししましょう。
キリアン