キリアンです。
商談の終わり際、顧客からこんな言葉をかけられたことはありませんか?
「非常に良いお話でした。一度社内で検討します」
これを聞いて、「よし、手応えありだ。あとは連絡を待つだけだ」と
ホッと胸を撫で下ろしているなら、あなたは残念ながら、
営業というゲームのルールを根本から履き違えています。
ハッキリ言います。
「検討します」の9割は、
あなたを傷つけずに追い出すための「エレガントな拒絶」です。
あなたがその言葉を信じて、丁寧な御礼メールを送り、
一週間後に「その後いかがでしょうか?」と電話をかける。
そして、二度と繋がらなくなる。
この悲劇がなぜ繰り返されるのか。
それはあなたが、相手の「口」だけを見て、
相手の「身体」が発していた真実を無視したからです。
=・=・=
私は音が聞こえにくい分、
商談の終盤、相手が「口を開く前」に勝負の結果を知っています。
例えば、相手が「検討します」と口にする直前の動作を観察してみてください。
・相手のつま先が、あなたではなく出口(ドア)の方を向いていないか。
・それまで机の上にあった相手の手が、膝の上に移動したり、資料を揃え始めたりしていないか。
・ネクタイに触れる、あるいは首筋をさするような「なだめ行動」が出ていないか。
これらは全て、脳が
「この場から早く立ち去りたい」「ストレスから解放されたい」
と感じている時に出る、生存本能としての拒絶サインです。
つま先がドアを向いているということは、
相手の脳はすでに「あなたのいない未来」へ歩き出しているということ。
そんな状態の相手に、
どれだけ流暢な言葉で追撃しても、
それは死者に鞭打つようなものです。
逆に、どれだけ厳しい表情で「うーん、予算がね……」と渋っていても、
相手の身体が前のめりで、瞳孔が開いているなら、
それは「欲しいけれど、踏み切るための理由(言い訳)を探している」
というポジティブなサインです。
言葉は、社会性を保つための「防具」ですが、
身体の末端は、本音を隠しきれない「漏出口」なのです。
=・=・=
巷の営業研修では「反論処理」を学びますよね。
「検討します」と言われたら、
「具体的にどのあたりに懸念がありますか?」と切り返せ、と。
……浅い。浅すぎます。
相手が身体全体で「拒絶」のサインを出している時に、言葉で追い討ちをかけるのは、火に油を注ぐ行為です。
「この営業マンは、私の空気感すら読み取れない無能だ」と、
不信感を上塗りするだけ。
私が提唱する「サイレント・セールス」において、
最も重要なのは「引き際」のコントロールです。
拒絶のサインを読み取ったなら、深追いはしません。
あえて自分から
「〇〇様、今の私の提案は、少し的外れだったかもしれませんね」と、
相手の「断りたい空気」をこちらから言語化してあげるのです。
すると相手は、自分の本音を見透かされた驚きと共に、一気に警戒を解きます。
「いや、実はね……」と、
そこから初めて「真の検討材料(本当の悩み)」が語られ始めるのです。
=・=・=
あなたが信じるべきは、
耳に心地よい「検討します」という言葉ではありません。
目の前の人間が、無意識に晒している「淀み」や「違和感」です。
42歳。耳が聞こえず、一度は社長の座を追われた私が、
なぜ今もなお法人組織の深い部分に入り込めるのか。
それは、私が誰よりも「言葉の虚無」を知っているからです。
「検討します」と言われて安心している間は、
あなたは一生、顧客の「外側」にしかいられません。
相手のつま先がどこを向いているか。
そこに、あなたの年収を左右する全ての答えが書いてあります。
次回は、情報量で勝負しようとする営業マンの末路。
「42歳で気づいた、10億の商談を沈黙で制する技術」について、
さらに深掘りしていきます。
キリアン