今、
私の手の中にあるのは
偽りのあなたの仮面
偽りのあなたのお人形
あなたではない
でも、あなたの笑顔を模しながら
あなたの笑顔を思い浮かべ
でも、あなたの髪を模しながら
あなたの髪を思い浮かべ
でも、あなたの胸元を思い浮かべながら
あなたに抱きしめられたら
どれほど幸せかと
勝手にあなたを模した
偽りのあなたの仮面は
偽りのあなたのお人形は
ちっともあなたに似て無くて
でも、どうしてこんなに愛おしいのだろう
偽りの仮面
偽りの人形
あなたには仮染は必要なく
あなたは仮想に仮想せず
あなたは人形に受肉することはない
ただ、一夜
あなたの前に立たせて
あなたの前で手を振って見させるだけで
あなたが笑ってくれるなら
そう思えば
この狂おしい愛が
あなたを模した
抱きしめることの出来ない
電子の人形を
こんなにも
こんなにも
愛おしく思わせる
この胸の苦しささえ
こんなにも愛おしい
あなたはきっと
春の開く前
私の人形を
偽りの仮面を見たときよりも
きっと驚いてくれる
笑ってくれる
喜んでくれる
あなたを模した人形
その人形の笑顔でさえ
愛おしくてたまらない
だから
あなたの
一瞬の笑顔と
一瞬の笑声が
私の楽しい時間に報いるから
次、会う時は
私の偽りの仮面
私の嘘の声で
もういちど
あなたに
愛してると言わせて