狂ったように踊りながら
真っ赤な言の葉を吐き散らし
私の暗かったはずの
私の生暖かいはずの
私のちょっとだけ優しかったはずの
私の森は
毎夜の梅雨の土砂降りの中
雨のように吐き出した血反吐を浴び
なぜか紅葉の山を見ているようだ
踊り疲れてへたり込んだ私は
真っ赤に染まった森を見て
あまつさえ
綺麗
なんて思ってしまったんだ
足元に散らばる
無数の赤い言の葉は
毎日沢山の人をこの森に呼び
いつになくにぎやかだった
人が
人が
人が
人々が訪れるのが
なぜだかとても嬉しくて
人々が
森の奥深くへ足を進めているのを見て
なぜだかとてもとても嬉しくて
そうか。
赤いのがみんな好きなのね
そんな変な勘違いをしたまま
私はゆっくり立ち上がり
紅葉のように
真っ赤な言の葉を
血反吐を吐くように撒き散らしながら
奇妙な高揚感に包まれながら
また踊り狂った
また狂い踊った
そして
びしょびしょに
真っ赤に染まった森を見て
うっとりと
綺麗…
なんて思った後
いきなり
足がもつれて倒れ込んだ私は
はたと気がついた
真っ赤に染まった
美しい森の言の葉達
その中に
私以外の鮮血が
混じっているような気がした
間違いなく
私を抱きしめてくれている
藤色のつばさには
私が吐き出した血反吐に濡れていた
もしかしたら
私の望んだ声の主は
私の踊り狂う様を見て
己が罪と思うかも知れない
私は
真っ赤に染まった
美しい我が森を見て
その美しさに溜息を一つついて
そして
初めて血の味のしない
涙を飲んだ
バカみたい