あの雨の中を
走ってきた君は
全身ずぶ濡れで
冷え切っているけれど
なぜだかその顔は
笑顔が一杯に広がって
そこだけ太陽みたいに
輝いて見えたんだ。
外は今も強い雨
君はタオルに包まって、
悴む体を温めているけれど、
黙って下を向きながら
唇をぎゅっと噛み締めているけれど、
それでも
その目だけは
熱い眼差しで
何故だろう
やっぱり笑って見えたんだ。
君には見えているのかい?
雨上がりの虹が
ありふれた言い方をすれば
「止まない雨はない」
冷え切ったその体の
一番冷たい
背中の真ん中に
そっと手をおいて
私にもその体を
暖めさせておくれよ
私にはまだ
虹は見えないんだ
雨は降り続く
今日も
明日も