深夜どころか夜明けまで
働いているおっさんと
早朝どころか深夜には
目を覚ましてくるおばあさん
早起組と遅寝組
その細い細い一本道で二人は
たった一言挨拶を交わす。
おばあさんは
夜が明けてそこを通る
みんなに。
おっさんはおばあさんに。
たった一言挨拶を交わす。
夜も夜中の三時前
たった一言挨拶を交わす。
ある日。
おっさんは急にその道を通れなくなった。
おっさんには急に道を塞がれた。
深夜どころか夜明けまで
働いてたおっさんは
たった一言の挨拶が
もう出来ない。
早朝どころか深夜には
目を覚ましてくるおばあさん。
きっと今日も挨拶をしているのか。
もう誰もいないその道で挨拶をしているのか。
誰ともない誰かに向かって挨拶をしているのか。
もうおっさんに確かめるすべはない。
道は塞がれてしまったのだから。
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早起組のおばあさん
はじめまして。
遅寝組のおっさんは
たいそう寂しがっておりますよ。
どうかいつまでもお元気で。
100歳までも長生きをして
毎朝挨拶続けてください。
そう申しておりました。