今日もオシイレの天井は黒々としていて
暖かく優しい闇の色
いつだってここからは
オシイレのフスマから少し覗く月が
見えたって見えなくったって
あの人は夜の空を見上げ
私達は夜の天井を見上げ
みんなは夜の闇に包まれて
歌いながら
泣きながら
一時の何かから解き放たれて
もうすぐ眠りにつくのね。
私たちも
今日は夜明けを待たずに。
みんなみんな
何かを思いながら
何かを忘れながら
目を覚ましても変わらなく存在する何かを
迎え撃つ明日は来るのだけど。
一時の何かから解き放たれて
一時だけ何もかも忘れて
きょうもおやすみ。
暖かく
優しい
闇色の夜と
闇色の夜に浮かぶ月が
せめて今日を許しますように
見えたって見えなくったって…