伊勢神宮・宮域林見学 ―大人の修学旅行― | 目指せ!森林インストラクター。

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日本の山を元気にしたい!
そんな思いから、森の案内人「森林インストラクター」の資格を取りました。

自然は私達に、たくさんのメッセージを投げかけています。
その声は、あまりにも小さく儚いものです。

そんな「森の囁き」を、お伝えします。

先日、週末を利用して旅をしてきました。



最近は遠出をしていなかったので、どこか旅情に憧れていたこの頃。



出立の期待感、車窓の景色・・・旅の中でしか味わえない醍醐味。





久々の旅路は伊勢へ。



神宮の森を訪ねて来ました。





同期のインストラクター仲間のご縁で、神宮に関係する方のご案内を受けることができるなかなか無い機会をいただくことができました。





旅程は一泊二日、初日は伊勢神宮への参拝です。





まずは外宮からお参りです。



御祭神は豊受大神、内宮に祀られる天照大神の御饌(ミケ=食事)を司る神様です。





手水を済ませて、本殿・土之宮・風之宮・荒御霊と説明を受けながら参拝をしました。



生憎の小雨も、なんだか神々しさを増すのに一役買っているようでした。





おかげ横中で手捏ね寿司をいただき、午後からは本宮をお参りです。



平成21年に架け替えられたばかりの宇治橋がしっとりと濡れ、ヒノキのよい香りを漂わせていました。





古くは参詣前に、畔で禊をしたと伝えられる五十鈴川を渡り、いよいよ神域へ足を踏み入れます。





いつ行っても、常に緑をたたえる生命の象徴「飾り榊」が出迎えてくれます。





境内には幾つも杉の巨木が見られ、鎮守の森に似つかわしい厳かさを添えています。



よく見ると頭打ちになっているものも見受けられますが、落枝による事故を防ぐ為です。





実際に、他社では訴訟になった例もあるようで、管理の難しさを感じさせられます。



ガイドにも危機管理が求められる時代、何だか他人事には思えませんでした。







「なにごとの おわしますかは 知らねども かたじけなしに 涙こぼるる」   西行法師





訪れるたびに感動を覚える伊勢神宮。天照大神の威光。





高校生諸君、くれぐれも「テンテルダイジン」とは読んでくれるな (タクシー乗務員談)







閑話休題





今、伊勢神宮では20年に一度の式年遷宮が始まっています。



平成25年の遷御へ向け、8年に渡り儀式が執り行われます。





数百年の時を経てなお、途絶えることなく伝えられてきた技や伝統に支えられた文化。



その継承のためにも、この20年という周期が必要なのです。





お伊勢さんの周りでは、農漁業をはじめとし、直営の産業が神宮を支えています。



基本的には、自給自足の体制ができているそうです。





地域に結びついた伊勢のもう一つの側面を知ることができました。







二日目、いよいよ伊勢の森に入ります。





正しくは、神宮宮域林。



古くは約2000年前、第11代垂仁天皇の御世に神域として定められ、天武天皇の代より式年遷宮制度が確立して以来、御造営用材を伐り出す「御杣山」として守られてきました。





材の欠乏により御杣山も移り、また江戸時代には伊勢参りの流行によって薪炭用材の乱伐が引き起こされて山が荒れた時期もあったそうです。





幾つかの時代の変遷を経て、今では神宮司庁営林部により管理されています。





宮域の中で神域と宮域林に別れ、さらに宮域林は第一と第二に別れています。





神域・第一宮域林ともに風致・水源涵養を目的としており、樹木の生育上必要な場合を除いて生木の伐採を禁じています。





今回見学した第二宮域林は、水源涵養・風致と共に、用材の造営を目的とした施業が行われています。





ヒノキを中心とした森に踏み入ると、程なく胸高にラインを引かれた育林木が目に付きます。



ラインが一本のものは大樹候補木。御用材として大径木に育てられます。



これに次ぐ期待できるものを御用材候補木として、二本のラインを引いているそうです。





haあたり4000本を植樹、間伐をしながら2030年で選木します。



間伐は大径候補木の肥大成長を目的とし、陰になるものを間引く受光伐を行っています。





haあたり大径候補木5070本を目標に選木・育成しているそうです。











当然、間伐により他の広葉樹も入ってきますが、対象木の邪魔にならない範囲で有用なものは育成しているのが、林内の様子からも見られました。





将来的には針広混交林に誘導することで、生態的にもバランスの取れた長伐期施業を目指す方針が受け継がれていました。





用材の森であると同時に、五十鈴川の源流域にもあたる宮域林。



豊かな土壌による水源涵養能は、こういった施業に支えられて、結果として下流の神宮を守ることにつながるのです。

















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