連休中日の仕事ですね。
どっちがメイン(?)やら、気乗りしないような感じですが…
特に最近、休日が“活動日”なので余計に変な感じです。
で、そのお休みの日のできごとです。
昨日は、ワサビを植えてきました。
唐突なのは、このブログのウリです(笑)
森作りの一環として、ワサビ田をされている方のお手伝いです。
なかなか無い機会なので、良い勉強になりました。
苗は天城の青苗。実生だそうです(実生…種から発芽したもの)。
まずは根切りから始めます。
ひげ根をあえて切る事で、根の成長が促進されるので活着が良くなります。
1㎝ぐらい残してけっこう大胆に切っていきます。
下拵えをする間、畦の修復・仕上げも行いました。
予め作られた畦を、植え付けに向けさらに高く仕上げます。
ポイントは下流から行う事。養分のある砂を流さないようにする工夫です。
いよいよ畝に苗を植えつけていきます。
着く前に流されてしまわないように、しっかり深めに植えます。
まっすぐではなく、上流側に倒して斜めに植えるよう指導を受けました。
流れに対する為か、根(根茎)の成長を良くする為だと思います。
石交じりの砂利に植え付けるので、畦を崩さないように注意します。
同時に、水が命なので下流へ滞りなく流れるよう配慮が必要です。
成長しやすいよう、20cm感覚で植え付けられた苗は、なかなか綺麗なものです。
書いてしまえば、これだけです。実際、一時間ちょっとで終わりましたが…
始めに田を作った方々の苦労を思うと、感謝が胸に広がります。
植え付け時期は7月初旬ごろまでで、収穫は翌年の冬。
上下に二枚の田があり、交互に取り入れるそうです。
冬に一度葉を落とし、また春に芽を出して成長を続けます。あのワサビのボツボツは、落とした茎の跡です。
同じ場所に、地元の方のワサビ田がいくつか並んでいます。
そこで、イノシシの被害がありました。
イノシシはワサビ自体を食べるわけではなく、そこにいる沢ガニが目当てで来ます。
とはいえ、カニ欲しさに防護ネットをなぎ倒し、石積みを崩し、苗を踏み荒らし掘り返すと被害は深刻です。
他にも、シカの被害があります。シカはあらゆるものを食べ、農作物はもちろん、植林木の若芽・樹皮や、ワサビも例外ではありません
さらに輪をかけて、カモシカの被害も増えているそうです。
狩猟対象のシカでさえ手を焼くのに(奥多摩の「鹿カレー」が密かなブームです)、天然記念物のカモシカでは手を出すことすらできないのが現状。
実際現場で目にして話を聞くと、深刻さが実感できました。
良い機会ですので、「特用林産物」について触れたいと思います。
特用林産物とは、山林から生産される木材以外のきのこ類・木炭・竹・桐等の産物です。
大きく7種類に分かれます。
燃料…木炭等
樹実類…ギンナン・クルミ・クリ等
山菜類…フキ・タケノコ・山ウド・ワサビ等
きのこ類…シイタケ・なめこ・えのきだけ・エリンギ等
特用樹類…ミツマタ・コウゾ・桐・竹・ケヤキ・ヤマザクラ(葉・樹皮)―文化財維持のため
薬用植物…マタタビ・オウレン・キハダ等
樹脂…ウルシ・木蝋等
これらは、山村にとっての貴重な収入源になるではなく、生産から加工・流通による職の創出や販売による都市との交流を兼ねた地域振興のとして期待されています。
反面、山菜などは窃盗が後を発ちません。
農作物と同じように栽培されているものは勿論、たとえ山の中にあるものでも、そこが私有地であれば当然所有権が発生します。
自然にあるものと思われがちですが、日本の山林はほとんどが零細地主の私有林や、公的なものでも、国有林野や国定公園など採取に関して厳しい規制が掛かる所がほとんどです。
さらに、新芽をことごとく摘み取る事は、その植物の存続を断つ事と同じです。
たとえ採取可能であっても、その利用にはマナーが求められます。
これから山菜シーズンが始まり、山菜取りによる遭難も増えます。
こうした利用のルールを踏まえたうえで、地域との交流を深めていければ良いですね。