こんにちは、弁護士の田中です。
今回の入管法改正に関するテーマは「不法就労助長罪」です。
■不法就労助長罪とは?
不法就労助長罪とは、不法滞在外国人を雇用・あっせんする等した事業主を処罰する規定です(入管法73条の2第1項)。
この罪名自体を認識されている方はそれほど多くないかもしれませんが、「不法滞在外国人を雇ったらまずいんだよな~」、という意識は事業主のみなさんもお持ちだと思います。
ちなみにこの罪、あなどってはいけません。
罰則は「懲役3年若しくは300万円以下の罰金」または「これを併科」と規定されています(入管法73条の2第2項)。
「併科」とは、懲役刑を受けた上に罰金まで払わされるという意味になりますので、決して軽い罪ではありません。
しかもこの不法就労助長罪は「両罰規定」(入管法76条の2)(注1)の適用があるため、法人に対しても別途罰金が科されるおそれもあるのです。
注1 両罰規定とは、ある犯罪が行われた場合に、行為者本人だけでなくその行為者と一定の関係にある法人をも処罰する規定のことをいいます。
■今回の改正のポイント
今回の改正点は、ズバリ「不法就労に該当することを『知らなかった』ことを理由に不法就労助長罪の適用を免れることは出来なくなった」というところにあります。
今回の改正前は、不法滞在者であることを「知っている」ことが、同罪の解釈上の要件として必要とされていました。
すなわち、不法滞在者であることを知らずに雇っていたのであれば同罪の適用を受けない運用となっていたのです。
しかし、今回の改正により、事業主に過失があれば、不法就労に該当することを知らなかったとしても、同条が適用されることとなりました。
したがって、例えば、名前や話言葉などから外国人であることが明らかな場合に、その外国人(不法滞在の外国人)のパスポートや在留カードなど何ら確認せずに雇い入れた場合は過失が認められ、同罪の適用を受けてしまうと思われます。
もっとも、どのような場合に「過失あり」と認定されるかは、今後の個々の事例を待つほかないでしょう。
というわけで事業主のみなさん、外国人の方々を雇い入れる場合、今後は最低限、パスポートや在留カードなどを確認し、不法就労に該当しないかどうかチェックするようにしましょう。
ちなみに、不法就労助長罪を犯した場合、労働者派遣事業や有料職業紹介事業の許可の欠格事由(労働者派遣法第6条、職業安定法第32条)に該当しますので派遣事業や紹介事業をされている方々はさらに注意が必要です。
(参考HP)
http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_1/index.html
http://www.immi-moj.go.jp/seisaku/pdf/fuhoushurou.pdf