震撼・河井夫妻逮捕 /上 「総理案件」異例づくし 首相秘書、応援/1億5000万円投入
毎日新聞2020年6月19日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20200619/ddm/041/010/102000c
「応援に来られるのは『安倍晋三事務所の秘書さん』ではなく、『安倍総理大臣秘書』と表現してくださいよ」
参院選が迫った2019年5月12日早朝、河井案里容疑者(46)の陣営が使っていた無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、選挙戦を取り仕切る夫の克行容疑者(57)のアカウント名「あらいぐま」から指示が出た。翌日に安倍首相の山口県事務所からベテラン秘書ら5人が応援に来る予定で、「全員表に出て拍手で迎えるように」と念押しする細かな気遣いも見せた。
自民党関係者は、首相秘書の選挙応援は「極めて異例だ」と明かす。前代未聞の選挙戦の背景には、案里議員の擁立を巡る地元の広島県連との確執があった。
ばらまき「党本部が重圧」
法相就任1カ月半で辞任
河井克行・案里夫妻、なぜ重用? 安倍首相が「恩義を感じる」政策グループ
毎日新聞2020年6月18日 21時55分(最終更新 6月19日 08時07分)
https://mainichi.jp/articles/20200618/k00/00m/040/277000c
2019年参院選を巡る公職選挙法違反(買収)容疑で18日に逮捕された河井克行容疑者は、安倍晋三首相と菅義偉官房長官が重用していた。妻の案里容疑者も政権挙げての支援を受け、昨年の参院選で初当選。なぜ政権中枢は夫妻を重用・支援してきたのか? 克行容疑者が中心的メンバーの政策グループ「きさらぎ会」と首相の関係に注目し、その背景を探ってみた。【秋山信一、飼手勇介】
菅氏も評価 「蜜月」に政権内から反発
2人区独占、頭越しの擁立・特別扱い
「総理案件」大金動く 広島県連と対立、選挙劣勢覆す 河井夫妻逮捕
毎日新聞2020年6月18日 20時59分(最終更新 6月18日 22時30分)
https://mainichi.jp/articles/20200618/k00/00m/040/254000c
「応援に来られるのは『安倍晋三事務所の秘書さん』ではなく、『安倍総理大臣秘書』と表現してくださいよ」
参院選が迫った2019年5月12日早朝、河井案里容疑者(46)の陣営が使っていた無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、選挙戦を取り仕切る夫の克行容疑者(57)のアカウント名「あらいぐま」から指示が出た。翌日に安倍首相の山口県事務所からベテラン秘書ら5人が応援に来る予定で、「全員表に出て拍手で迎えるように」と念押しする細かな気遣いも見せた。
自民党関係者は、首相秘書の選挙応援は「極めて異例だ」と明かす。前代未聞の選挙戦の背景には、案里容疑者の擁立を巡る地元の広島県連との確執があった。
「案里さんで行く」対立の構図決定的に
共に県議出身 案里容疑者は過去に知事選出馬も
最後まで説明なく
クローズアップ 河井夫妻逮捕(その1) ごり押し、金権選挙 「集票狙い」立証焦点
毎日新聞2020年6月19日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20200619/ddm/003/010/100000c
自民党から立候補した参院議員の河井案里容疑者(46)=広島選挙区=が初当選した2019年参院選を巡り、東京地検特捜部は18日、夫で前法相の衆院議員、克行容疑者(57)=自民・広島3区=と案里議員(いずれも離党)を公職選挙法違反(買収)の疑いで逮捕した。法務行政のトップを務めた前法相と妻の現職議員2人が逮捕される前例のない選挙違反事件に発展した。捜査の課題や事件の背景を探った。
河井夫妻は地元議員や首長に加え、後援会や陣営の関係者ら計94人に幅広く現金を提供した疑いがあり、総額約2570万円に及ぶ金額とともに事件の特徴はその規模の大きさにある。配布時期も、案里議員が党公認を得た19年3月から参院選後の8月までと長期に及んだ。特に統一地方選があった広島県議・市議らには「陣中見舞い」や「当選祝い」と称して配った形跡があり、特捜部はこれら一連の現金提供が案里議員の票を取りまとめる趣旨だったと立証する必要がある。
試される、検察のメス
封筒出し「二階幹事長から」
クローズアップ 河井夫妻逮捕(その2止) 政権の求心力、陰り 首相・菅氏の重用、裏目
毎日新聞2020年6月19日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20200619/ddm/002/010/105000c
2019年参院選を巡る公職選挙法違反(買収)容疑で18日に逮捕された河井克行容疑者は、安倍晋三首相と菅義偉官房長官が重用し続けていた。妻の案里容疑者は、首相官邸と自民党本部を挙げての支援で初当選を果たした。政権中枢が重用・応援していた河井夫妻の逮捕は、支持率が低下傾向の安倍政権への追い打ちとなった。自民党内からの首相らへの風当たりも強まり、「安倍1強」「政高党低」の体制が揺らいでいる。【秋山信一、飼手勇介】
2議席独占、強行あだ
日本のコロナ対策は大失敗だったのではないか 森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
毎日新聞 2020年6月19日
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200618/pol/00m/010/010000c
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の全面解除を決めた5月25日の記者会見で、安倍晋三首相は次のように述べた。
「本日、緊急事態宣言を全国において解除いたします。足元では、全国で新規の感染者は50人を下回り、一時は1万人近くおられた入院患者も2000人を切りました。先般、世界的にも極めて厳しいレベルで定めた解除基準を全国的にクリアしたと判断いたしました。諮問委員会でご了承いただき、この後の政府対策本部において決定いたします」
「3月以降、米国では、欧米では、爆発的な感染拡大が発生しました。世界ではいまなお日々10万人を超える新規の感染者が確認され、2カ月以上にわたり、ロックダウンなど強制措置が講じられている国もあります。わが国では、緊急事態を宣言しても罰則を伴う強制的な外出規制などを実施することはできません。それでもそうした日本ならではのやり方で、わずか1カ月半で今回の流行をほぼ収束させることができました。まさに、日本モデルの力を示したと思います。全ての国民の皆さまのご協力、ここまで根気よく辛抱してくださった皆さまに、心より感謝申し上げます」
安倍首相は、日本の新型コロナウイルス対策が的確で、大きな成功を収めたと、高らかに宣言したのだ。
トゥーリトル・トゥーレートの経済対策
World Watch(ワールド・ウオッチ) 米暴動で見えた大統領選の争点「強い国vs平等な国」 古本陽荘・毎日新聞北米総局長
毎日新聞 2020年6月19日
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20200617/biz/00m/020/013000c
11月の米大統領選は異例ずくめの展開だ。新型コロナウイルスの感染拡大で選挙集会は事実上封印され、大統領候補を正式に決める8月の共和、民主両党の全国党大会の運営方針も決まっていない。さらに、5月25日に中西部ミネソタ州で起きた白人警察官による黒人男性、ジョージ・フロイドさん(46)の拘束死事件が大きな影響を及ぼすことになりそうだ。
事件への抗議デモは全米に広がった。都市では大規模な抗議集会が連日開かれている。夜間外出禁止令が発令され、治安維持のために州兵も出動している。
このような緊急時には、大統領はホワイトハウスのオーバルオフィスからテレビ演説するのが通例だ。国民に融和や和解の重要性を訴え、危機から脱するよう導くためだ。だが、トランプ大統領はその道を選ばなかった。
デモ隊排除の意図は
「平等」訴えたバイデン氏
論点 東京都知事選と国政
毎日新聞2020年6月19日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20200619/ddm/004/070/011000c
東京都知事選が18日に告示された。7月5日の投開票まで、選挙戦では新型コロナウイルス感染防止への対応などが問われる。人口と財源が集中する首都のリーダーを選ぶ選挙は、一地方選にとどまらず国政に影響を与えてきた歴史がある。非常時の指導者に求められる資質とは。そして、都知事選と国政の関係について識者に聞いた。
「タレント」知事、落とし穴も 御厨貴・東京大名誉教授
方向性と論理持つ人に 遠藤乾・北海道大公共政策大学院長
発信力と財政力武器に先導 上田清司・参院議員
無党派の動向カギ
「英が核保有?」「フィンランドはロシア?」 トランプ氏のトンデモ発言、前補佐官が次々暴露
毎日新聞2020年6月18日 21時30分(最終更新 6月18日 21時31分)
https://mainichi.jp/articles/20200618/k00/00m/030/281000c
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなど米メディアは17日、ボルトン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が近く出版を予定する回顧録の内容を報じた。トランプ大統領が2019年6月に主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた大阪で、中国の習近平国家主席と会談した際、「(20年11月の大統領選の)再選への協力」を懇願していたと暴露。大統領としての権限を「国益ではなく個人の利益」追求に利用したと厳しく批判している。
回顧録の抜粋などによると、トランプ氏は米中首脳会談の夕食会で、中国政府による新疆ウイグル自治区でのウイグル族収容施設の建設について「正しい行動だ」と賛意を表明。そのうえで会談中に「突然、話題を大統領選に変えて、中国の経済力に言及」し、「米国の農家と、中国による大豆・小麦の購入増が大統領選結果に与える重要性」について強調したという。
「夫妻の逮捕不可欠」 検察決断、一時は逮捕許諾請求も
朝日新聞 2020年6月19日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN6L76GFN6LUTIL03B.html?iref=comtop_8_01
「東京地検と広島地検が一緒に捜査してきた」
河井克行衆院議員(57)と妻の案里参院議員(46)の国会議員2人を買収容疑で逮捕した18日、東京地検の斎藤隆博次席検事は臨時会見を開き、広島と東京の地検による異例の捜査態勢をとったことを説明した。
案里議員の陣営が車上運動員に高額な報酬を支払った事件の捜査に着手したのは広島地検だった。国会が開会する5日前の1月15日、夫妻の広島市の地元事務所を家宅捜索。国会開会中の3月3日に夫妻の秘書らを逮捕し、東京にある議員会館の事務所まで捜索した。
最高検が指揮、特捜検事投入
現金受領の議員「公になるなら考えんと」 河井夫妻逮捕
朝日新聞 2020年6月19日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN6L7S0KN6LPTIL022.html?iref=comtop_8_02
衆院議員で法相も務めた夫と参院議員の妻。その2人が18日、昨年7月の参院選をめぐり、公職選挙法違反(買収)容疑で逮捕された。河井克行容疑者(57)と案里容疑者(46)。夫妻の地元・広島は揺れている。
自宅のテレビに映ったのは、夫妻逮捕を伝えるニュース速報。それを見た克行議員の地元後援会幹部の男性は、肩を落とした。
「今までの期待や苦労はなんだったんだろう。空しくて、言葉もない」
最後のやりとり「いずれ説明会を」
「原資、捜査される」 自民に不安拡大 河井夫妻逮捕
朝日新聞 2020年6月18日 22時34分
https://www.asahi.com/articles/ASN6L761BN6LUTFK02N.html?iref=comtop_8_05
法務行政のトップである法相経験者とその妻、2人の現職国会議員が同時に逮捕された。引き立ててきた安倍晋三首相の責任が明確に問われ、政権が大きな打撃を受けることになった。
通常国会閉会を受けて行われた首相の18日の記者会見は、謝罪から始まった。
自民・谷川弥一氏陣営の7人書類送検 運動員買収の疑い
朝日新聞 2020年6月18日 22時44分
https://www.asahi.com/articles/ASN6L7D8KN6LTOLB00G.html?iref=comtop_list_nat_n03
2017年の衆院選で当選した自民党・谷川弥一衆院議員(78)=長崎3区=の選挙運動で、運動員に法定限度を超える報酬を支払ったとして、長崎県警は18日、谷川氏の陣営関係者7人を公職選挙法違反(日当買収)の疑いで書類送検し、発表した。県警は認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、全員容疑を認めているという。
中印衝突の真相は?「テント建てられた」 死者数十人に
朝日新聞 2020年6月18日 22時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN6L3DV9N6KUHBI012.html?iref=comtop_list_int_n01
インド北部ラダック地方の国境地帯で発生した中印両軍の衝突で、インド軍は自国の兵士20人が殺害されたと16日発表した。国境問題をめぐる両国の衝突で死者が出るのは45年ぶり。エスカレートした事態を受け、両国の外相は17日に電話会談したが、緊張が解けるか予断を許さない状況だ。
政権中枢に大打撃…案里容疑者の選挙に肩入れ、克行容疑者は「菅側近」自任
読売新聞 2020/06/19 08:15
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200619-OYT1T50073/
河井克行・前法相と妻の案里参院議員が昨夏の参院選を巡る買収容疑で検察当局に逮捕されたことは、政権中枢への大きな打撃となった。安倍首相、菅官房長官は克行容疑者と近く、参院選では案里容疑者の全面的な支援を行ったためだ。
「広島の恥」「夫妻は逃げ回るだけ」…異例の事態で地元に衝撃
読売新聞 2020/06/19 08:27
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200619-OYT1T50125/
昨年7月の参院選を巡る買収容疑で18日逮捕された河井克行(57)(広島3区)、案里(46)(広島選挙区)両容疑者。地元選出の国会議員2人が一挙に刑事責任を問われる異例の事態に、広島では衝撃が広がった。
「広島の恥。夫妻は議員辞職すべきだ」。克行容疑者が地盤とする広島市安佐南区の無職の男性(82)は怒りをあらわにした。克行容疑者が法相経験者だったことにも触れ、「法務省のトップに立つ人が、選挙違反を疑われるとは。一番してはいけないことだ」と語気を強めた。
社説 河井夫妻逮捕 選挙資金の流れを解明せよ
読売新聞 2020/06/19 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20200618-OYT1T50364/
法秩序の維持を担う法相経験者が逮捕されるという異常な事態である。検察当局には厳正な捜査が求められる。
衆院議員で前法相の河井克行容疑者と、妻で参院議員の案里容疑者が、いずれも公職選挙法違反容疑で逮捕された。
克行容疑者は、案里容疑者が初当選した昨年7月の参院選広島選挙区で、広島県議ら90人超に票の取りまとめを依頼し、計約2500万円を提供した疑いがある。案里容疑者は、この一部について共謀したとされる。
韓国、WTOに提訴…輸出管理厳格化めぐり日本に反発
読売新聞 2020/06/19 08:00
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200619-OYT1T50040/
【ソウル=岡部雄二郎】韓国政府は18日、日本政府による対韓輸出管理の厳格化措置を巡り、世界貿易機関(WTO)に紛争処理小委員会(パネル)の設置を要請した。
韓国、米に対北制裁緩和を要請へ…協議不調なら単独で北支援も
読売新聞 2020/06/19 07:44
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200619-OYT1T50083/
【ソウル=豊浦潤一】聯合ニュースによると、韓国外交省の李度勲朝鮮半島平和交渉本部長が17日、ワシントンに到着した。滞在中、米政府で北朝鮮担当特別代表も務めるスティーブン・ビーガン国務副長官と協議し、「朝鮮半島の状況に関する評価と対応策を話し合う予定」(外交省)という。
「パワハラ気質」地元で孤立も スタッフどう喝、選挙仕切る―河井前法相
時事通信 2020年06月19日07時37分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061800850&g=pol&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
河井案里参院議員(46)が初当選した昨夏参院選をめぐり、公選法違反(買収)容疑で逮捕された夫の河井克行前法相(57)。関係者からは、周囲をどう喝するなどの「パワハラ気質」を指摘する声が多数聞かれ、地元広島の自民党県連でも孤立していたという。
前法相は広島県議を経て1996年に衆院議員に初当選し、現在7期目。菅義偉官房長官の側近で、首相補佐官や党総裁外交特別補佐を務めた。昨年9月、第4次安倍再改造内閣で法相として初入閣したが、就任2カ月足らずで案里議員陣営の選挙違反疑惑が表面化し、同10月末に辞任した。
対北朝鮮、いかなる状況も警戒 米高官「桁外れの脅威」
時事通信 2020年06月19日06時43分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061900217&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
【ワシントン時事】米国防総省のヘルビー次官補代理(インド太平洋安全保障担当)は18日、朝鮮半島情勢が緊迫化していることについて、「いかなる種類の脅威や挑発に対しても警戒を続ける」と述べた。一部メディアとの電話会見で語った。
警官訴追に一部ストか 黒人射殺事件、病欠相次ぐ―米南部
時事通信 2020年06月19日08時42分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020061900303&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
【ニューヨーク時事】米南部ジョージア州アトランタで黒人男性が白人警官に射殺された事件で、関わった2人が17日に訴追されたことを受け、同日夜以降、アトランタ市警の一部警官がシフトを相次ぎ病欠するなど抗議の動きを見せている。米メディアが報じた。休んだ人数は不明だが、市警は警察業務を維持する人員は確保できているとしている。
<金口木舌>続く戦争被害
琉球新報 2020年6月19日 06:00
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1141128.html
北中城村の国道330号沿いに張り巡らされたフェンスの向こうに、キャンプ瑞慶覧の米軍住宅が広がる。芝生の中にフクギの並木が見える。戦前、瑞慶覧の集落があったという。13年前、出身の男性に取材した
▼召集され台湾にいた男性が終戦後、沖縄に戻ると、ふるさとは米軍に接収されていた。沖縄戦で母と祖母を失い、故郷も奪われた。生家の跡地はフェンスから見えるが、帰ることはできない。歯がゆい思いを抱えて戦後を生きた男性は「長生きするのもつらい」と話していた
▼嘉手納町嘉手納から屋良にかけての「2番地地区」で、町の整備事業が本格化する。地震で大規模火災が発生する恐れがあり、国が「著しく危険な密集市街地」に指定している。古い住宅がひしめき、道路が狭く緊急車両が入れない
▼戦後、避難していた住民が戻ると故郷は嘉手納基地になっていた。フェンスのそばに帰郷を夢見る住民が暮らしたのが、同地区の始まりだ
▼戦争と米軍基地建設に振り回されて土地や住宅などの権利が複雑化し、事業の本格化に時間がかかった。2番地地区まちづくり協議会会長の真喜屋清さん(81)は「これも戦争被害の一つだ」と語る
▼75年を経ても戦後処理は終わらない。戦争体験者を含め、県民は今も戦争と米軍基地に振り回されている。日本人の一人として向き合い続けねばならない。