自民県連「離党、議員辞職を」 河井案里氏秘書「百日裁判」へ 広島
毎日新聞2020年3月25日 10時09分(最終更新 3月25日 10時09分)
https://mainichi.jp/senkyo/articles/20200325/k00/00m/010/078000c
自民党の河井案里参院議員(46)が初当選した2019年参院選を巡る選挙違反事件で、広島地検は24日、起訴した同氏の公設秘書が連座制の対象に当たるとして公職選挙法に基づく「百日裁判」を申し立てた。検察側が案里氏について「当選は無効」と主張する展開になり、自民党関係者からも離党、辞職を求める厳しい声が上がった。
自民党県連副会長を務める中本隆志・県議会議長は「党にとっても県連にとっても恥ずべきこと」と位置づけ、「起訴の事実をもって、党本部から離党勧告を即刻してもらいたい。従わない場合は除名してほしい」と党本部に注文を付けた。さらに「百日裁判の中で、国会議員のバッジをつけて、活動が果たしてできるのか。進退は自分で決めることだが、議員辞職すべきだ」と批判した。
莫大な追加費用はどこが負担? IOC守る「不平等条約」 東京オリンピック延期
毎日新聞2020年3月25日 09時47分(最終更新 3月25日 10時22分)
https://mainichi.jp/articles/20200325/k00/00m/050/066000c
新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる東京オリンピック・パラリンピックは開幕まで4カ月に迫った24日、延期が決定した。国際オリンピック委員会(IOC)が「4週間」の猶予を設けた延期検討表明から、わずか2日での決断となった。判断を先送りするIOCに選手らからの批判の声はやまず、新たなシナリオを描く間もなく「見切り発車」を迫られた。開催決定から6年半。トラブル続きだった「国家事業」にまた一難。安倍政権も対応に追われ続けることになる。【田原和宏、松本晃、堀和彦、遠藤修平】
追い込まれたIOC
追加費用、どこが負担?
政権は「来年夏前」視野に
「希望が消えた」東京オリンピック延期合意で関係者落胆 「仕方がない」の声も
毎日新聞2020年3月24日 21時37分(最終更新 3月24日 23時07分)
https://mainichi.jp/articles/20200324/k00/00m/050/260000c
東京オリンピック・パラリンピックの延期が、安倍晋三首相と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長との間で合意された。今夏の大会開催に向けて期待を膨らませていた関係者らからは「希望が消えた」と落胆する声や、新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態から「この状況では仕方がない」と理解を示す声も聞かれた。【奥山はるな、荻野公一、斎藤文太郎、五十嵐朋子、大島祥平】
40代半ば ソウル下宿日記 新型コロナウイルス禍 今こそ日韓は協力せよ 坂口裕彦・外信部副部長
毎日新聞 2020年3月25日
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200324/pol/00m/010/004000c
逃げるように去るというのはまさにこのことか。韓国最大の国際空港である仁川空港から関西国際空港へ向かうアシアナ航空116便の出発まではあと10時間。とにかくスーツケースに荷物を放り込んで、下宿先を引き払い、使っていた携帯電話も返却しないといけない。
韓国・ソウルで昨年10月から続いていた「40代半ばでの海外プチ単身赴任」の終わりは、3月6日朝に突然、やってきた。当初の帰国予定は1週間先。前倒しの理由は、もちろん、世界を揺るがす新型コロナウイルスの感染拡大だ。
日本政府は5日夜、韓国から日本への入国者全員に9日から「2週間の指定場所での待機」と「国内で公共交通機関を使用しないこと」を求めると決めた。あまりにも唐突な発表だったし、具体的に何がどうなるかも判然としなかった。予定通りに帰国したら、どんなことになるのだろうかと大いに戸惑った。会社の上司は「韓国政府が対抗措置を取ると言っているが、何になるのか予想できない。展開を見通せない以上、なるべく早く帰国した方がいい」。ということで、急転直下、帰国することになったのだった。
猫の目のように状況が変わる中で、正しい情報を把握し、100%正しく行動するのはとても難しい。何をすれば良いのかがわからないと、怖くなって、さらに混乱しそうになる――。これがどたばたの中で実感したことだ。
たとえば、5日夜の時点では「指定場所での待機」は「隔離」という言葉で伝わっていた。この言い回しの違いに、下宿を共にする日本人は大いに動揺した。「ホテルで一日中、過ごすというイメージですかね。でも、誰が施設を用意するのでしょう。同じ場所で過ごし、もし誰かが感染したら、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号で起きたような集団感染になりますよ。空港から家まで帰るのも、家が遠いから、歩いて帰るなんてできません」。4月に帰国するという30代の会社員女性の言葉をよく覚えている。こちらも同じことを考えて、どきどきしていたからだ。
日本と韓国で見た「同じ風景」
グローバルな危機 一国では対応できない
コロナ禍提言! 地方自治体への交付金給付を急げ 「生活者目線」欠く安倍経済政策=ジャーナリスト・鈴木哲夫
毎日新聞 2020年3月25日 05時00分(最終更新 3月25日 08時51分) サンデー毎日
https://mainichi.jp/sunday/articles/20200323/org/00m/010/001000d
コロナ禍に立ち向かうための経済政策が取り沙汰されている。安倍晋三首相、黒田東彦日銀総裁のアベノミクスコンビの対策は、厳しい経済状況を改善させられるのか。地方の中小企業や生活者の目線で本当に必要な経済対策を、ジャーナリストが提言する。
もちろんやらなきゃダメだ。だが何をやるのか、本当に有効か――。安倍政権の経済対策は、「生活者」や「中小企業」の視点が欠如してはいないか。
3月10日に打ち出した経済対策の第2弾は、2020年度の予備費2715億円を活用するもの。学校の休校に伴い、仕事を休まざるを得なくなった保護者に正規・非正規を問わず有給休暇を取得させた企業への助成金として日額上限8330円を支給。中小企業などに対しては、資金繰り支援のため、日本政策金融公庫等を通じて融資し、無利子・無担保など総額で1兆6000億円規模に拡大するなど対策メニューが並んだのだが……。
消費税減税の経済効果は限定的
専門家、新型コロナ「第2波」懸念 「中国と比べものにならない感染者が日本に」
毎日新聞2020年3月24日 19時42分(最終更新 3月24日 20時27分)
https://mainichi.jp/articles/20200324/k00/00m/040/211000c
国内の新型コロナウイルスの新規感染者は3月に入って連日おおむね数十人台で推移し、大きな変動はない。だが、海外からの帰国者が国内で発症するケースは急増しており、17~23日の1週間では全体の約3割を占める。ここ半月で渡航歴のある110人超の感染が確認され、専門家は「1月の中国に次ぐ感染拡大の『第2波』」と警戒を強めている。
「欧米や東南アジアで感染が拡大している。これまでの中国と比べものにならないレベルで感染者が日本にやってくる」。19日の政府専門家会議後の記者会見で、厚生労働省のクラスター(集団)対策班の西浦博・北海道大教授(理論疫学)は何度もそう繰り返し「丸腰で受けると大規模流行が起こる」と警戒を呼び掛けた。
中国の死者4人増、3281人に 感染者は8万1218人 新型コロナ
毎日新聞2020年3月25日 10時25分(最終更新 3月25日 10時25分)
https://mainichi.jp/articles/20200325/k00/00m/030/083000c
中国政府は25日、新型コロナウイルスによる中国本土の死者が24日に4人増え、計3281人になったと発表した。感染者は47人増え、計8万1218人になった。
新たな感染者は全員、中国本土外から上海などを訪れた人だった。新たな死者のうち3人は湖北省で確認した。(共同)
グレタさん「新型コロナ感染した疑い」 インスタで公表
朝日新聞 2020年3月25日 9時46分
https://www.asahi.com/articles/ASN3T31Y3N3SUHBI030.html?iref=comtop_8_02
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が24日、新型コロナウイルスに「感染した可能性が非常に高い」と自身のインスタグラムに投稿した。せきなどの症状が出たことを根拠にしている。検査は受けずに2週間にわたって自主隔離し、すでに回復したという。
五輪延期「これほど早く決まるとは」 封じられた中止論
朝日新聞 2020年3月25日 5時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S7K1YN3SULZU01M.html?iref=comtop_8_04
「4週間以内に結論を出す」との決定からわずか2日。東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについて、安倍晋三首相が24日、「1年程度の延期」を提案し、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が同意。IOC理事会は延期を承認した。戦争以外では近代五輪史上初の事態。課題はなお山積みだ。
予想以上の「突き上げ」
なけなしのマスク、ああ苦肉の延命策 鍋で煮沸・洗濯…
朝日新聞 2020年3月25日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S5FT6N3RPTIL00T.html?iref=comtop_8_05
そのマスク、どこで手に入れましたか? 新型コロナウイルスの感染拡大で、街中はマスク姿の人が多いのに、品切れの店舗ばかり。#ニュース4Uのアンケートでは、2割が「入手できず困っている」と答え、半数は「備蓄」でしのいでいた。なけなしのマスクを何日間も使う人たちの姿も浮かび上がった。
LINEで1335人に聞きました→半数が「備蓄」
40代男性「朝5時半起きで店へ」
10代男性「2週間くらいずっと同じ」
居酒屋閑散、世の中は変わってしまった 急冷の消費現場
朝日新聞 2020年3月25日 7時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S6VH8N3RULFA03W.html?iref=comtop_8_06
今月16日の午後7時前、東京都中央区にある海鮮居酒屋。いつもは帰宅前の会社員らでごった返すが、その日の客はわずか2人だった。政府は新型コロナウイルスの感染防止のため、2月26日に大規模イベントなどの自粛を要請。その後の一斉休校を経て不要不急の外出を控える動きが広がり、半月余りで居酒屋の客足は一気に途絶えた。
コロナに苦しむ沖縄 レンタカー倒産、国際通りガラガラ
朝日新聞 2020年3月25日 10時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S64FPN3RTPOB002.html?iref=comtop_latestnews_01
沖縄の風景ががらりと変わった。中国などの観光客が多かっただけに、新型コロナウイルスの影響がとりわけ大きいからだ。倒産に追い込まれる会社も出て、地元からは悲鳴が上がる。
飲食店や土産物店が軒を連ねる那覇市の国際通り。ふだんは外国人や修学旅行生らでにぎわう。いま、通りには制服姿の団体客もキャリーケースを引く海外の観光客もほぼいない。
東証、一時1万9000円台を回復 8営業日ぶり
朝日新聞 2020年3月25日 9時30分
https://www.asahi.com/articles/ASN3T332RN3TULFA003.html?iref=comtop_list_biz_n02
25日の東京株式市場では日経平均株価が前日に続き大幅に値上がりして始まった。上げ幅は一時1000円を超えた。取引時間中としては3月12日以来、8営業日ぶりに1万9000円台を回復した。
前日の米国市場では、米議会で検討中の新型コロナウイルスをめぐる経済対策への期待感から、ダウ工業株平均が急騰。前日比2112・98ドル高い2万0704・91ドルで取引を終えていた。この流れを受け、東京市場でも買い注文が先行している。
武漢の封鎖、4月8日に解除へ 市外への往来も一部可
朝日新聞 2020年3月24日 19時31分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S6F5BN3SUHBI01G.html?iref=comtop_list_int_n04
中国湖北省政府は24日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため1月23日から続けていた同省武漢市の封鎖を、4月8日に条件付きで解除すると発表した。武漢市以外の湖北省全域では、3月25日から移動規制を解除する。
感染の「震源地」武漢の封鎖解除は、中国が講じてきた対策の大きな節目となる。政府としては感染抑え込みの成果と位置づけ、停滞する経済活動の回復に向けた弾みとしたい考えだ。
五輪延期「耐えきれないかも」、観光産業にコロナに次ぐ打撃
読売新聞 2020/03/25 09:53
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20200324-OYT1T50262/
安倍首相と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が東京五輪開催の1年延期で合意したことにより、今夏に訪日客の増加を見込んでいた観光産業などが大量のキャンセルや需要減少に直面する可能性も出てきた。これらの業界はすでに新型コロナウイルスの感染拡大により大きな打撃を受けており、危機感は強い。
世界の感染者40万人超え、WHO「米国が中心になる可能性」
読売新聞 2020/03/25 10:13
https://www.yomiuri.co.jp/world/20200325-OYT1T50118/
【ブリュッセル=畠山朋子】新型コロナウイルスの全世界の感染者は、各国政府の発表などを基にした25日朝(日本時間)の読売新聞社のまとめで、40万人を超えた。死者も1万8000人を上回った。
ロイター通信によると、世界保健機関(WHO)のハリス報道官は24日、ジュネーブでの記者会見で「米国での感染拡大が非常に加速しており、今後、流行の中心になる可能性がある」と指摘した。
トランプ氏「景気後退なら自殺者は数千人」、復活祭までに経済活動再開意向
読売新聞 2020/03/25 10:18
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20200325-OYT1T50119/
【ワシントン=山内竜介】米国のトランプ大統領は24日、米FOXニュースの番組で、新型コロナウイルスの感染拡大対策によって停滞している経済活動について、「復活祭(4月12日)までに再開したい」と述べた。経済への影響緩和を優先させる考えだが、政権内では感染拡大の防止を徹底すべきだとの意見も根強く、実現するかは見通せない。
トランプ氏は、経済活動の停滞は「国を破壊する」と危機感をあらわにし、「リセッション(景気後退)に陥れば、自殺者は数千人に及ぶ」と持論を展開した。
米失業率、大恐慌並みに悪化か 与野党対立も足かせ―新型コロナ
時事通信 2020年03月25日07時05分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032400890&g=int&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
【ワシントン時事】新型コロナウイルスの感染拡大で米国経済の停滞が長引き、4~6月期の米失業率が1930年代の世界恐慌と同程度まで悪化するとの見方が出てきた。秋の大統領選をにらんだ与野党対立で大型経済対策の成立も遅れ、景気不安が一段と強まっている。けん引役不在のまま世界経済の視界不良が続けば、2020年はマイナス成長が避けられない情勢だ。
「米失業率は最悪の場合30%」。セントルイス地区連銀のブラード総裁は4~6月期の米経済について警鐘を鳴らした。2月には50年ぶりの低失業率(3.5%)を維持していたが、工場の操業停止や店舗の閉鎖で企業によるレイオフ(一時解雇)が急増。速やかな政府支援がなければ、失業率は1933年に記録した24.9%を上回る恐れもある。
経済対策効果「670兆円」 与野党の早期合意期待―トランプ米政権
時事通信 2020年03月25日10時35分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032500432&g=int
【ワシントン時事】クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は24日、トランプ政権と議会与野党が大詰めの協議を続けている新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済対策の効果が「総額で6兆ドル(約670兆円)規模」に上ると語った。「米史上最大」の中小企業向け支援になるとして、与野党に早期合意を呼び掛けた。
ソフトバンクG、上場廃止を一時検討 株価急落で「あらゆる選択肢」―英紙
時事通信 2020年03月25日08時32分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032500316&g=eco&utm_source=top&utm_medium=topics&utm_campaign=edit
2019年9月中間連結決算で質問に答えるソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=19年11月、東京都中央区
【ニューヨーク時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は24日、ソフトバンクグループが先週、自社株の上場廃止を一時検討していたと報じた。最終的に計画は見送られたが、新型コロナウイルス問題で株価が急落する中、孫正義会長兼社長が「あらゆる選択肢を検討していたことの表れだ」としている。
感染者数、東京都が最多に 北海道抜く―新型コロナ
時事通信 2020年03月24日23時07分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032401302&g=soc
東京都は24日、新型コロナウイルスの感染者が新たに17人確認されたと発表した。感染者は1日当たりで過去最多となり、累計でも171人と北海道を抜き、都道府県で最多となった。
都内では同日、70代男性の死亡も確認された。国内の死者は、クルーズ船乗船者を含め53人となった。
福島第一原発の処理水、海洋放出時の拡散予測 東電
朝日新聞 2020年3月25日 6時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN3S72SPN3SULBJ00T.html?iref=comtop_list_nat_n04
東京電力は24日、福島第一原発にたまる処理済み汚染水の処分について、海洋放出した際の拡散予測を初めて発表した。想定した中で最も多い量を放出した場合でも、最後まで取り切れない放射性物質トリチウムの濃度がいまの海水の水準を超えるのは南北30キロ、沖合2キロの範囲となる。東電は「発電所の近くに限られ、濃度も飲料水基準より十分低い」と説明した。
技術的に実施しやすい海洋放出を有力視する経済産業省の小委員会の提言を受け、政府は4月6日から福島県で地元関係者の意見を聴く会合を始める。それに先立ち、具体的な検討状況を示すのが狙い。
国土地理院、編集可能な地図公開 公式HPに、防災で活用も
共同通信 2020/3/25 06:08 (JST)3/25 06:19 (JST)updated
https://this.kiji.is/615291447755195489?c=39546741839462401
国土地理院(茨城県つくば市)は、公式ホームページで全国の地図データの公開を始めた。白地図に建物や地名を表示させるなど編集ができる。災害時は航空写真を重ねることで被災状況を把握しやすくなり、地理の学習や防災・減災に役立ちそうだ。利用は無料。
<金口木舌>艦砲射撃の下で
琉球新報 2020年3月25日 06:00
https://ryukyushimpo.jp/column/entry-1095499.html
岩波書店が1955年に発刊した「昭和史」をめぐって評論家や歴史家が激しく議論を交わしたことがある。世に言う「昭和史論争」である。論争のもととなった本の著者の1人、今井清一氏の訃報が本紙に載った
▼論争の契機は評論家・亀井勝一郎氏による「この歴史には人間がいない」という批判だった。戦争を強行した軍部・政治家らと、戦争に反対した共産主義者らの間にいる国民の姿が見えないと断じたのである
▼59年発刊の「昭和史」新版は、前書きで「研究者、評論家の批判をうけた」と断った上で「戦争をおしすすめた力とこれに抵抗する力との対抗に視点をすえた」と記した。基本姿勢は旧版を踏襲した
▼「昭和史」は今も版を重ねている。沖縄戦に関する記述は「全島は焦土と化し、日本軍の死者一〇万、他に一般国民一五万人が戦火にたおれた」など3行ほど。その行間に県民の苦悩がにじんでいる
▼教科書検定のたびに「集団自決」(強制集団死)の記述に注目が集まる。住民を死に追いやった根本原因をあいまいにする動きに県民はあらがってきた。沖縄戦の実相を隠蔽(いんぺい)する勢力との対峙(たいじ)が続く
▼沖縄戦は無辜(むこ)の県民の命を奪った。温かい家族の愛、輝かしい子どもたちの夢を押しつぶしたのである。75年前の今日、米軍は慶良間の島々や本島南部に艦砲弾を放った。炸裂(さくれつ)音におびえる県民の姿を想像する。