【以下、2019年12月31日 拙稿】


〈第一章〉からの続き。


【集中豪雨に見舞われたエビ中10周年「MUSiC」フェスを下から牽引】

■ 第一回「ライブスタイルダンジョン」優勝の初タイトルから間髪入れずに、5月31日、ついに桜エビ~ずは12ヶ月連続で配信してきた新曲の掉尾をかざる『さいしょのさいしょ』を初披露した。

 さらに6月1日と2日の両日、桜エビ~ずも参加してきた「GIG TAKAHASHI tour 2019」が新横浜と新宿で開催された。特に新宿で開催されたツアーファイナルでは、昨年来、動員力が倍増し続ける桜エビ~ずが大トリをつとめたのだ。期待に応え、桜エビ~ずは会場をまさに弾け翔ばさせた。従来、こじんまりしたライブハウスでキャリアを積んできた桜エビ~ずにとって最大の弱点は、予期せぬ聴衆の興奮や盛り上がりに直面した際に、ややボーカル・パフォーマンスが大歓声に飲まれ、臨機応変な煽り返しに欠けることだった。ところが、「ライブスタイルダンジョン」を現実的な区切りとして、桜エビ~ずは臨機応変なライブ能力を我が物としたのは、嬉しい誤算だった(煽りも一流になったのは今年の8月くらいだろう)。

 その可能根拠は、チーム桜エビ~ずが一曲一曲毎に、その曲の終盤にピークを持ってきて・その一曲のラストにカタルシスをつくって終わるパフォーマンスを自覚的にやっていること。ライブ全体を通してパフォーマンスに爆発力と吸引力が出たこと。プレッシャーをもお客様と楽しむ究極のパフォーマンス、すなわち〈ukkaドラマティックポップス〉の現実的完成を告げ知らせた!


 圧巻のセットリスト。初の大トリは激動の5月を駆け抜けた堂々たる貫禄。緩急つけつつ今の音楽的世界観で真っ向勝負。これがライブハウスアイドルの新女王・桜エビ~ずからの回答だ★、と言わんばかりのステージを披露した。

 まさに『リンドバーグ』魂!

 「ステュアートは、48歳の若者として、その俳優としてのすべてを投じて、全世界がその時に何を感じたかを間断なく観客に示すことに成功している。リンドバーグの飛行が、単なる飛行機狂の若者の無鉄砲な冒険などでなく、一人の勇者が、それまでのすべての進歩と同じく、全人類に対して新たな可能性を証明した魂の旅であったことを。」
(1957年アメリカ合衆国『TIME』誌 ビリー・ワイルダー監督作品『翼よ! あれが巴里の灯だ』映評より)


 桜エビ~ずの、嵐にもたゆまぬ・ねばり強い劇的なステージが今ここで、全アイドルファンに対して新たな可能性を証明する魂の旅であり続けていることを! 翼よ!あれが巴里の灯だ★、とこの時私は記した。この感動が伝えられなければ、誰からも期待されていなかった彼女たちが、〈人類史=2010年代アイドル前史〉を塗り替える新たなステージに立ったことに対して失礼だと思ったのだった。要するに、ここから桜エビ~ずはわれわれや藤井チーフマネージャーの期待をはるかにこえて、歴史を切り拓き始めた!



■ こうしてついに桜エビ~ずは、6月21日『「MUSiC」フェス~私立恵比寿中学開校10周年記念 in 赤レンガ倉庫 ~』(横浜・赤レンガパーク特設会場)にて、暴風雨の中、オープニング・アクトをつとめた。

 「エビ中に関わんなよ!」「やるんなら他でやって!」「フジイさん! エビ中のライブの曲目が減るから桜エビ~ずは出さないでほしい!」
──「エビ中の研究生的存在」として出発しながらも、心ないエビ中のファンから叩かれ・まともにステージを見向きもされず・誰も期待してくれない屈辱感。もうエビ中さんのライブには出演したくありません──そう言って中高生であるメンバーが涙した時もあった。

 しかしながら、ベルトコンベア式に傑作を量産してきた桜エビ~ずにとって、もはや横浜赤レンガ倉庫は、敵ではなかった。お姉さんグループ・エビ中のメモリアルステージで、桜エビ~ずは感謝の倍々返しで応えた。オープニングアクトから会場は大入り。桜エビ~ずひと目みたさに集まった、居ならぶエビ中family、モノノフ、スタダDD、音楽ファンの目の前で最後には雨を止ませてみせる離れ業さえ演じたのだった。
 昨年末のエビ中幕張メッセ公演で『リンドバーグ』のイントロで歓声が上がったが、今回の赤レンガ倉庫パークでは来た!とばかりに会場がどよめき激震した。
 しかし、桜エビ~ずは今回のステージで実に誇り高かった。
 セットリストはただ盛り上がりを狙っただけではなかった。
 見向きもされず悪罵を投げ掛けられた過去を満天下で清算するかのように、一曲目で〈やっと出会えた今が「オンリーワン」〉君と出会えた夢を歌ったティーンネイジ・ロックンロールナンバー。さらに、さあ行け!お気に召すままファンタジー! このまま夢を見ていたいと歌う青春ポップスの力作。そして溢れんばかりの情愛で、同じ温度で同じキスがしたいの!と連呼するドラマティックなロッカバラード。そして、改めて(桜エビ~ずがついに万人から認められるようになった=)夢がほんとうになった瞬間のさいしょのさいしょの〈この景色〉をもうしばらく見続けてゆきたいと歌い、ステージで汗を流して積み重ねてきた魂の道のりを、スカのリズムが印象的なポップナンバーで、情熱的にパフォーマンスした。会場の心と心が通いあうかのような、この光景は実に劇的だった。続いて、「この物語はフィクションじゃない/再放送はされない/だから今、目の前の君に愛を誓うよ」とソウルミュージックのエッセンスをまぶした80's(エイティーズ)ポップスで約束すると、オーラスは翼よ!あれが巴里の灯だ★と歌う桜エビ~ずのブルースと呼ぶべきリンドバーグへ。桜エビ~ずの、嵐にもたゆまぬ・ねばり強い劇的なステージが今ここで、全アイドルファンに対して新たな可能性を証明する魂の旅であり続けていることを!、身をもってステージで証明して魅せた❗

 こうして桜エビ~ずのステージパフォーマンスで会場は一体となったのだった。桜エビ~ずは赤レンガ倉庫をまるで自分たちのホームのように、ライブハウスへと完璧に転化したのだった★
 生粋のエビ中familyからも、桜エビ~ずが絶賛された瞬間だった!


 この直後、桜エビ~ずは12ヶ月連続配信曲と新曲をまとめた 2nd album『octave』(オクターブ)を8月21日に発表することを大々的に宣言した。しかしながら、2ndアルバム『octave』(オクターブ)はたんに12ヶ月連続の配信限定シングルにくわえて新たに録音した1曲を追加した全13曲をパッケージしたわけでは全く、ない。このアルバムは水春・川瀬・村星・茜・桜井・芹澤6人の彼女たち桜エビ~ずがどうしたらたくさんの人から認めてもらえるようになるのか一生懸命に考え汗を流してきた、青春の結晶なのだと思うのだ。革命の〈octave 2019〉とはこのこと以外のなにものでもない。

■ この只中、7月28日の新宿LOFT公演で「それは月曜日の9時のように」を提供されたONIGAWARAとのツーマンならびに単独公演を実現。緩急自在のパフォーマンスが会場を激震・感涙させたのだ。こうして、次なる焦点は、従来のワンマンの2倍の動員力750名を要する9月22日の新宿BLAZE公演となった。
■ 8月2日-3日、「TOKYO IDOL FESTIVAL 2019」に出演した、桜エビ~ずは、メインステージであるHOT STAGE(会場はZepp Diver City)で嵐を巻き起こした。翌3日のSMILE GARDENさらにはFUJI YOKO STAGEでは入場規制がかかるほど、注目を集めたのだった。

■ 続く、8月4日、『MomocloMania2019』の一環として開催されたメットライフドーム・サテライトパーク「TOKOROZAWA Music & Art FES'19」を桜エビ~ずは牽引。
 8月11日から19日までお盆休み週では、過去最多の動員となった。

■ そしてついに、8月21日桜エビ~ず  2ndアルバム『octave』が発売された。集中豪雨に見舞われた発売日のリリースイベント -「桜スプラッシュ!」(東京・としまえん それいゆステージ)で、桜エビ~ずはずぶ濡れになりながら水鉄砲を乱射。さらに、アルバムに収録された新曲「せつないや」と共に抜き打ちで未発表新曲「can't go back summer」を初披露。桜エビ~ずファンには大ニュースとしてネット上を駆けめぐった。
〈第三章〉に続く。









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