ばってん少女隊 1st album

『ますとばい』

2017.06.21 Release
ビクターエンタテインメント・Colourful Records


ばってん少女隊
(BATTEN GIRLS)
希山愛
上田理子
春乃きいな
瀬田さくら
西垣有彩(〜2020年4月30日脱退)
星野蒼良(〜2021年3月28日脱退)


01.おっしょい!
02.ばってん少女。(ますとばい ver.)
03.びびび美少女
04.夢のスコール
05.STORM!
06.ますとばい!
07.とーと。
08.コトバテニス
09.のびしろ行進曲
10.乙女ノ手札
11.よかよかダンス
12.すぺしゃるでい
13.but-show TiME




 2015年6月21日に結成(公式発表)されて、ちょうど2周年に発表された輝かしい1stアルバム。
 スカコア、パンク、バンドサウンドが語られがちだが、このアルバムは本質的にバンドサウンドを要とした華々しいポップアルバムだと思う。
 収録された曲はどれも良質なポップスだ。
 ばってん少女隊がここから始まったことが堪能できる。


 以下、収録曲全曲をみてゆきたい。





01.おっしょい!
 [作詞・作曲・編曲:渡邊忍(ASPARAGUS)] 


 オープニングは渡邊忍提供のばってん少女隊2016年4月20日のメジャーデビューシングル。
(渡邊忍は木村カエラのバンドメンバーとしても、6th album『8EIGHT8』のプロデュース並びに15th single「Ring a Ding Dong」の作詞共作と作曲で週間1位を獲得、さらにはトップテン入りを果たした彼女の最高傑作「TREE CLIMBERS」を作詞作曲した。)
 アイドルのメジャーデビュー曲として歴代断トツの出来。
 Hi-STANDARDの故・恒岡章のドラムのカウントから始まり、ギター渡邊忍と同じくASPARAGUSの原直央のベース、WUJA BIN BINの中村圭作のキーボードがうねりをあげ、ハードコアで重厚なサウンドと最高にキャッチーなメロディで息つく間もなくたたみかける。サビ前のマイナーの落としから一転サビの怒涛の拳突き上げはダメ押し的に聴衆を昇天させる。

 7年前のメジャーデビュー曲であり、音源では当時のメンバーの幼さは拭い切れないものの、それでも、ロックンロール!と言ってしまったら渡邊忍(と杉本陽里子(ondo)音楽ディレクター)には叱られるかも知れないが、胸かきむしるようなサウンドと歌唱、おまけにダンスの衝動が波状的に押し寄せてくる。
 もちろん、現在のばってん少女隊は渡邊忍提供の大ヒット曲にして傑作『OiSa』や楽曲大賞受賞作『わたし、恋始めたってよ!』、ケンモチヒデフミ提供のばっしょー最高傑作『YOIMIYA』『さがしもの』、さらにはPARKGOLF提供『BAIKA』『御祭sawagi』『あんたがたどこさ〜甘口しょうゆ仕立て〜』、Rin音が書き下ろした『虹ノ湊』、GuruConnectとDaokoが共作した『和・華・蘭』など、いくつもの傑作で大量のファンと高評価を獲得し続けている。
 しかし、それでもなおこのデビュー曲にして1st albumオープニングナンバー、さらにこの曲のライブパフォーマンスには、抗いがたいロックンロールの魅力と、当時から現在に至る<和製(HAKATA) レディ・ソウル>ばってん少女隊の全てが集約されている! 参りましたと言う他ない。
 怪盗、乙女受験戦争、仮契約はおろかポップコーントーン、サイマジョ、不協和音をも一網打尽にし得る煌めく生命力すら放っている、と断言したい。
 さらにお叱りを承知で言えば、サザンオールスターズ『勝手にシンドバッド』佐野元春『アンジェリーナ』THE BLUE HEARTS『リンダリンダ』に次ぐ歴史に名を刻むメジャーデビュー曲と言ってもいい。
 時に悲しい時苦しい時があろうとも、君たちばってん少女隊は天下の「九州アイランド」が生んだスターになれるんだ──そうした渡邊忍のばってん少女隊メンバーへの熱い歌詞(エール)は、ディープな衝撃波を伴って問答無用に聴衆の愛(ハート)に刻み込まれる。
 佐野元春の名盤『Cafe Bohemia』収録『ヤングブラッズ』『ワイルド・ハーツ - 冒険者たち』 を彷彿とさせるパッションが炸裂する。いやいや、この曲と魂のパフォーマンスは、前述したサザンの『勝手にシンドバッド』THE BLUE HEARTSの『リンダリンダ』と響鳴し、やがてまた同時に、ブルース・スプリングスティーンの『明日なき暴走』『バッドランド』へと反響する。
 いつの日か蒼井りるあさんがこの曲間の煽りで「スタンド!アリーナ!SB(ステージバック)! もっと来んかい!」と然るべき場所のステージに起って言えるようになった時、この曲はひときわ輝くだろう。
 『禊 the MUSIC』──要するにアイドルナメんな!━━これこそがばってん少女隊のブルース『おっしょい』の魅力の全てだ★
 
 「BATTEN 音楽の日〜隊員と作るリクエストライブ〜」で現6人体制でのバンドセットでやったら、ゼッタイ会場は失神するぞう!





02.ばってん少女。(ますとばい ver.)
 [作詞・作曲・編曲:AKIRASTAR]


 一転して、ばっしょー(ばってん少女隊の愛称)のインディーズデビューシングル。打ち込みから生バンドへとリテイクし、結成以来の成長が伝わってくる曲の並びだ。メロディメイカーのAKIRASTAR提供。
 当初、マキシマム ザ ホルモン(やおそらくBABYMETALを)意識して出発したばってん少女隊だが、この曲はスカコアっぽいサウンドの、ポップス。驚きのフィンガー5?!
 けれども、AKIRASTARのモータウンっぽい分かりやすいメロディラインが秀逸で、ライブ会場を盛り上げる。
 何パターンかあるサビの歌詞♪とーとと…〜♪のところの、右手を天に掲げながら、横と円形に小刻みにステップする振り付けは、めっぽうお茶目でとびっきり可愛らしい(キューティーハニー)。
 最近関心を持った方には分かりづらい面もあるとは思うが、この曲は理屈抜きにすごく印象に残る良曲だ。
 ばってん少女隊、青春の一曲。


 

 
03.びびび美少女
 [作詞・作曲:ヤマモトショウ 編曲:宮野弦士]

 このスカ曲と「bye bye bye」「ありがとーと」は今をときめくヤマモトショウが提供。この曲では初期フィロソフィーのダンスの楽曲を共に手掛けた宮野弦士とタッグを組んだ。
 サビの♪ビビビ美少女♪の可愛らしい楽しさは無敵だ。




04.夢のスコール
 [作詞:児玉雨子 作曲:吉田哲人 作曲:吉澤幸男(GAGAKIRISE)]

 前曲に続いて、ロックンロールテイストのこれもポップス。スキャット風のコーラスが効いていて優しく温かみがある。
 希山愛さん、上田理子さん、春乃きいなさん、瀬田さくらさんの声質じたいの特徴が今も変わらない事がよく分かる。
 サビ終わりのマイナーに落としたDu DaDaDaのコーラスがすごくムードたっぷりだ。



05.STORM!
 [作詞:ノマアキコ 作曲:松隈ケンタ 作曲:SCRAMBLES]

 この曲でこのアルバムは一挙に光が射し、さらなる広がりを持つ。松隈ケンタらしいポップかつロックでエモーショナルなサウンドが絶妙だ。
 それにしてもなんとストレートでエネルギッシュな傑作だろう。
 一見、可愛らしい曲と思いがちだが、この曲は実はパンキッシュな春の嵐=波乱万丈に真っ向から立ち向かい闊歩してゆく歌。「夢のキャンバス」の歌詞も手掛けたノマアキコと松隈ケンタは、メジャーデビューした当時のばっしょーに、同じ九州人として道を切り拓いてゆこうな!、青春はロックだぜ!と最大限のエールを贈っている。
 手を左右に振るこの曲のサビの爽快感は痛快極まりない。弱い立場の者に勇気が漲る、これぞROCKだ★
 冒頭の「おっしょい!」に並ぶ初期の傑作。「おっしょい!」が渡邊忍=ばっしょー版『明日なき暴走』『バッドランド』なら、こちらの「STORM!」こそは、まさにノマアキコ=松隈ケンタ=ばっしょー版<涙のサンダーロード>だ!
 そして、「don't look back」はもちろんボブ・ディランのかの有名なドキュメント映画のタイトル。ボストンやチャーリー・セクストンじゃなく、たぶん(笑)。
 



06.ますとばい!
 [作詞・作曲・編曲:AKIRASTAR]

 さらに、前曲で光が射したあと、このアルバムリード曲で一気に爆発してゆく。タイトルは言うまでもなく、帆柱と英語の助動詞mustの名詞形だ。
 パンキッシュなドラムからスカのリズムのイントロそして爽やかなメロディ、そしてメロウに転調した後、ワイルドなサビでたたみかける。
 このサビは絶妙だ。勇気、誓い、願い、意志、野心、希望、弱気を吹っ飛ばす全てが込められている。
 ばってん少女隊版『希望の轍』(サザンオールスターズ)と言ったら、言いすぎか?
 



07.とーと。
 [作詞・作曲・編曲:松田岳二]

 なんと希山愛さんのカウントから始まる実はロカビリーテイスト。「お腹が空いたらドーナツ食べて」って歌詞はおそらくプレスリーとも掛けているのだろう。



08.コトバテニス
 [作詞・作曲:三原康司(フレデリック) 編曲:フレデリック]

 3rdシングルにも収録された。
 アシッド・ジャズテイストのリズム・アンド・ブルース。渇いた音色とギターリフがクールなラブソングとして成功している。冒頭の瀬田さくらさんの深みのある低音は今日的なルーツも垣間見える。



09.のびしろ行進曲
 [作詞:中谷信行 & 川之上智子 作曲・編曲:中谷信行]

 驚きの歌謡ロックンロール。2015年から8年連続で紅白歌合戦に出演している山内惠介が当時のメンバー名を連呼するコーラスとして、ゲスト参加している。





10.乙女ノ手札
 [作詞:理姫(アカシック) 作曲・編曲:4106xxx(SCAFULL KING、BRAZILIANSIZE)]

 4106xxxと理姫の抜群のコンビネーション。東京スカパラダイスオーケストラ 9th album『Stompin' On DOWN BEAT ALLEY』にも収録されたヒット曲『美しく燃える森』やEGO-WRAPPIN'を彷彿とさせる、歌謡曲の要素を散りばめた和風スカロック。終盤の間奏にはサイケデリックサウンドも導入される。
 今日に連なるばってん少女隊の日本的な和の要素はこの曲から始まったとも言える。アルバム曲中でも屈指の傑作だ。ばってん少女隊版『くちばしにチェリー』(EGO-WRAPPIN')はこれまた言いすぎか?
 上田理子さんと春乃きいなさんのムードたっぷりの歌い回しは、この曲を歌う今も、そうそうこの感じ!




11.よかよかダンス
 [作詞・作曲:小野武正(KEYTALK) 編曲:NARASAKI]

 KEYTALKの小野武正が手掛けた2nd single。「ドラゴンボール超」のエンディングテーマ。2023年現在では、蒼井りるあさんも在籍していた福岡ソフトバンクホークス公式ダンス&パフォーマンスチーム「ハニーズ」が今季から球場で採用している。 

 

 スカの要素も散りばめたポップなダンス・ロックチューン。ザ・スペシャルズへのオマージュも込められている。アップビートで気分が上がる曲だ。



 8月10日(木) には、ついに、PayPayドームでの福岡ソフトバンクホークス対楽天イーグルス戦にばってん少女隊が出演する事が決定。

 ①試合前にばってん少女隊がグラウンドに登場、②4回表終了後「よかよかダンス」を球団公式ダンス&パフォーマンスチームハニーズと披露、③7回表終了後のラッキーセブン(ホークスの攻撃に入る前)に「いざゆけ若鷹軍団」を披露。

【ばってん少女隊コメント】
 今年、4回表終了後に“ハニーズ”の皆さんがパフォーマンスしている「よかよかダンス」は、私達“ばってん少女隊”の楽曲だって知っていましたか??
 その「よかよかダンス」を8月10日(木)の東北楽天ゴールデンイーグルス戦で、“ハニーズ”の皆さんと一緒にパフォーマンスさせて頂ける事になりました!
 いつかPayPayドームでパフォーマンスするのが夢だったので、今から緊張していますが、PayPayドームにご来場の皆さんと一緒に「よかよかダンス」を踊るのをとても楽しみにしています!ホークスの勝利に向けて選手にパワーを届けましょう!!

ばってん少女隊
蒼井りるあ
 (蒼井りるあさんはハニーズで踊っていたところスターダストプロモーションにスカウトされた)

 





12.すぺしゃるでい
 [作詞:MELON 作曲・編曲:4106xxx(SCAFULL KING、BRAZILIANSIZE)]

 3rd single。春乃きいなさんのカウントから始まるバレンタインの曲。初めてのキュートなシングル表題曲。




13.but-show TiME
 [作詞・作曲・編曲:渡邊忍(ASPARAGUS)]

 「おっしょい!」を作った渡邊忍が自らをオマージュして作ったライブのoverture。これでアルバムが終わり、再び一曲目が始まる。











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