サザンオールスターズ 6th album 
『綺麗』
(1983.7.5)


ビクターTAISHITAレーベル

週間1位(2週連続、通算3週)
年間5位(59.5万枚)
CT(カセット)歴代42位 26.9万本

【前年に続き、1983年も年間チャート入りした作品】

『バラッド'77~'82』
年間13位(39.9万枚)レコード
年間1位(CT(カセット))カセット
※CTは歴代2位 54.6万本
(歴代1位はマイケル・ジャクソン『スリラー』62.5万本)

『NUDE MAN』
年間25位(27.0万枚)
2年間累計96.6万枚
※CTチャート歴代9位 39.0万本

『綺麗』『バラッド』『NUDE MAN』アルバム3作品の1983年年間累積売上げ〈126.4万枚〉

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6th album 『綺麗』収録曲

A面
M1.マチルダBABY
M2.赤い炎の女
M3.かしの樹の下で
M4.星降る夜のHARLOT
M5.ALLSTARS' JUNGO
M6.そんなヒロシに騙されて
M7.NEVER FALL IN LOVE AGAIN



B面
M8.YELLOW NEW YORKER
M9.MICO
M10.サラ・ジェーン
M11.南たいへいよ音頭
M12.ALLSTARS' JUNGO(Instrumental)
M13.EMANON
M14.旅姿六人衆

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 デビュー5周年=6年目──
82年~83年にかけてサザンが「国民的バンド」と呼ばれるようになると、『ぴあ』の年間ナンバー1ライブミュージシャン投票で、サザンオールスターズとRCサクセションが、毎年、デッド・ヒートを繰り広げるようになった。忌野清志郎は「どこの馬の骨だ、ぶっつぶしてやるぜ!」と剣幕荒くサザンと共演した結果、「サザンbaby最高だぜ!」、と完璧に意気投合した。


 80年代に入ると音楽制作の現場でもシンセサイザーの普及を始め、デジタル・テクノロジー化の波が一挙に訪れる。コンピューター・プログラミングを批判的に摂取しながら、サザン独自の音楽を構築することに迫られた。サザン独自のプレイベートレーベルであるビクターTAISHITAレーベルも設立された。レーコーディング・スタジオも自由が効くようになる。

 こうした状況の下、6thアルバム『綺麗』でサザンは、<否定のサザン>の名にふさわしく、例によって例のごとく、またも前作『NUDE MAN』から訣別し、最先端の音で<日本型ワールド・ミュージック>=<エスノ・ミュージック>を追求する。
 バンドサウンドから、クリアーなサウンドおよび洗練されたメロディへと踏み込んでゆく。


 時代はRCサクセション、中島みゆき、山下達郎、松任谷由実、オフコース、サザンオールスターズ、ラッツ&スター(シャネルズから改名)が席巻し、この年83年にデビューしたチェッカーズが翌84年に大ブレイクを果たす前夜だった。「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」のキャッチフレーズで<花の82年組>筆頭株と謳われた中森明菜が一気にブレイクし、歌手デビュー3年目にして頂点に立った松田聖子、女優と歌手の二刀流で国民的な人気を博した薬師丸ひろ子を猛追して行った。同時に、年末『ワインレッドの心』をリリースした安全地帯も84年から4年ほど大ヒットを飛ばす。そして、1981年にアルバム『A LONG VACATION』と松田聖子『風立ちぬ』の楽曲提供で栄冠に輝いた大滝詠一が、この年、薬師丸ひろ子『探偵物語/すこしだけやさしく』や森進一『冬のリヴィエラ』のプロデュースで名声を高めると共に、翌年84年発表のアルバム『EACH TIME』で初の首位を獲得する只中であった。





 <82年フィーバー>を飾ったサザンオールスターズは、1983年年明け6日から

『青年サザンのふらちな社会学ツアー The Nude Man』

を継続。2月4日の新宿厚生年金会館まで全57公演16万2987人を動員した。



 続く、83年3月5日には、17枚目のニュー・シングル

『ボディ・スペシャルⅡ (BODY SPECIAL)』

を発表。


 砂浜で女性が純白の短パン一丁で、豊満な乳房をアケスケにさらしたジャケットの本作は、またもオリコン10位(29.3万枚)、ベストテン7位のスマッシュ・ヒットを飛ばした。

 これぞバンド・サウンドと言うべき、初期サザンの代表的なロック・ナンバーとなった。




 そして、この年83年もサザンのメンバーはソロ活動を立体的に展開した。



 まず、桑田が2年連続で、小林克也を中心としたユニットである「ザ・ナンバーワン・バンド」のアルバムに参加した。
 前年6月21日発売の1stアルバム『もも』に続いて、2ndアルバム『東京あたり』(83年6月21日発売)に嘉門雄三名義と桑田佳祐名義で曲を提供し、ボーカルをとった。




 5月21日にはドラマーの松田弘が原・大森に続いて3番目にソロデビューを飾り、1stアルバム

EROS

を発表。




 原由子も桑田佳祐に強力にプッシュされ、サザンの活動の合間を見計らい、ソロ活動を精力的に展開。


8月21日に

『恋は、ご多忙申し上げます』

(23.8万枚)、11月5日に5枚目のシングル

『横浜Lady Blues』

をリリースした。



さらに、11月21日に原由子は2ndソロアルバム

『Miss YOKOHAMADULT』


を発表し、週間4位を獲得した。



 原の4thシングル『恋は、ご多忙申し上げます』は桑田お得意の職人的なモータウン・ビートの傑作で、週間トップテン入りし、ザ・ベストテンにも、複数回出演を果たした。化粧品会社のCMにも起用された。



"Only you" ときめき Busy
アナタだけを愛・視点・ルール
Love me do 互いにプレッピー
公私ともに Life is busy



 ジョン・レノンやボブ・ディランの創作スタイルに影響を受けながら、英語に日本語をあてて韻を踏みつつ、ダブルミーニングをもたせる歌詞を、桑田が意識的に追求し始めたのはこの年からである。

 桑田は前年82年の『流れる雲を追いかけて』から、男と女のSEXやラヴソング以外にも、作品の幅を広げる追求に着手した。

 もっとも、ソウルミュージックやファンク自体メイク・ラヴがテーマな訳だが、桑田はあらゆる事象をデーマに曲を作り、広がりと奥行きのある作品世界観を構築しつつあった。

 もはやデビュー時の大学音研サークルの延長線上にはなかった。

 サザンはついに、常に厳しく進化を求められる日本を代表するロックバンドへと、成長を遂げたのだからである。



 また、原の5thシングル『横浜Lady Blues』も歌謡ソウル・ブルースと言うべき傑作だ。



 右の2曲のシングル・ヒットに支えられた原由子 2nd アルバム『Miss YOKOHAMADULT』は、原が作詞・作曲した自作の曲にくわえ、『Rimbaud(ランボオ)』、『女優』、『いちょう並木のセレナーデ』などが収められた。



 中でも、桑田が作った

『いちょう並木のセレナーデ』

は郷愁を誘うアコースティックな秀作だ。学生時代の原の絶妙な女心が詠まれており気持ちが温まる。


学食のすみであなたがくれた言葉
授業をさぼり 待つチャペルが
いつもの場所

季節はめぐり秋になれば
ネルのシャツだけ
お互いが一番大事な人なのに

you you you, 忘れぬ日々
you you you, when I…with you



他の誰かが好きなのは わかってたけど
ノートのコピーを見せるのは いつも私

渋谷から横浜までずっと 音楽ばかり
二人で見てあの Eric Clapton に涙した

you you you, 期待ばかり
you you you, when I…with you



いちょう並木が色を変えりゃ 心も寒い
学祭ではじけて恋した あの頃よ

you you you, 忘れぬ日々
you you you, when I…with you




 こうして、個々のメンバーがモチベーションを高めながら、3年連続で7月にニュー・アルバムをリリースした。


 その同日7月5日、アルバムからシングルカットした

『EMANON』

(最高24位)をリリース。

4か月後の11月5日には、19枚目のシングル

『東京シャッフル』

(最高23位)を発売した。



 なお、紅白出演前12月6日には

『原由子 with サザンオールスターズ』

のタイトルで、カセットのみのサザン企画ベスト盤も発売された。



 この只中で、サザンは前作「『NUDE MAN』をこえる最高傑作」と当時絶賛されたニュー・アルバム『綺麗』をひっさげ、長期全国ロードに撃って出た。



『SASたいした発表会 私は騙された ツアー83'』


である。




 10月24日の神奈川県民ホールから、年をまたぎ実に49公演、19万1200人を動員した。
 ツアーラストは、84年1月27日から大阪城ホール2デイズ、さらに日本武道館3デイズをはさみ、2月1日、全日程を終えた(全23曲)。

 通算100万人動員をこえる翌84年のツアー以降、サザンは毎年、スタジアム・ライブにのぞむまでに成長を遂げた。





 この年、3度目の紅白歌合戦「出場」(『東京シャッフル』披露)を最後にサザンは、翌年以降、大晦日に「年越しライブ」を始める。


 このように、サザンが前人未到のモンスターバンドとなる84年・85年にむけたステップが、83年であった。



 しかも、以下にみるように83年は、82年からの<ネオ・サザンシンドローム>とでも呼ぶべき、決定的な事態が起こった。




 5月27日、TBSで、山田太一が脚本を書いた

『ふぞろいの林檎たち』

という連ドラが放送を開始したが、番組のオープニングからエンディングまで延々とサザンのレパートリーがBGMに使用されたのである。

 当時、桑田本人には何も知らされていなかったが、……平均視聴率17・6%、最終回は21%をこえる視聴率をたたきだし、最近で言うGTO・トリック・ごくせん・ハゲタカ・半沢直樹にひけをとらぬ社会現象となった。サザンの楽曲とは“日本の青春グラフィティ”であると印象づける効果を発揮した。



 こうして、<'83ネオ・サザン・シンドローム>が醸成されるムードの中、前作『NUDE MAN』で築き上げたストレートなバンド・サウンドを一体どうやってのりこえるのか?-これが6thアルバム最大の焦点だった。


 事前に発表されたタイトルは、『綺麗』。


 ラジオでオンエアされるにしたがって、その秘密が明らかとなる。



 まず、最大の特徴は、リズムボックスやシンセサイザーを大胆にとり入れるなど、従来のサザンでは考えられない最新の技術が駆使され、サウンドが格段にクリア(綺麗)となったことである。言わば、最新鋭のテクノロジカルな厚化粧を施しながらも(綺麗)、無限に音楽世界観を広げることで・その内実を換骨奪胎する、という音楽的挑戦を開始したのだ。

 洋楽をカウントダウン形式で紹介する、アメリカのMTVが民放深夜枠で観られるようになったばかりか、世界各国のエスニック・サウンドが一つの潮流を形成しつつあった只中で、なんとサザンはROCKを主題とした前作『NUDE MAN』を躊躇なく否定する道を選んだ。


 さらに、楽曲に短編小説のようなストーリー性が描かれ、世界観が拡がった。まさに今作を<ショート・ストーリーズ『綺麗』>として完成させた訳である。

 しかも、この “短編集”の一作一作には、韻を踏む歌詞、英語と日本語をかけた語感の魅力、はてはダブルミーニングまでが多用されていた。桑田佳祐直筆の歌詞カードには、強調したい箇所に英語や日本語のルビがふられ、ト書きが記されもした。


 だが、核心的には新たなワールド・ミュージックに挑むと共に、ロックと、コンテンポラリー・ソウルと、ポップスが渾然一体化した構成となったことだ。


 つまり、サザン6thアルバム『綺麗』は、クリアーなサウンドを核とする<日本産ワールド・ミュージック>に挑んだ、<音楽ジャンルごえのAOR&エスニック・アルバム>なのである。
 当時においてサザンオールスターズは時代の数歩先を悠然と闊歩していた。
(今日で言えば、2022年にばってん少女隊が発表した4thアルバム『九祭』も同様に、九州各県の祭りをテーマにした<和製グローバル・ミュージック>として完成。<和製(HAKATA) Lady Soul>の異名をとるにふさわしいアルバムは各界から絶賛され、年末の楽曲大賞をかっさらった。)
 前作<ヌード・マン>と比べ、一般的にすぐ理解された訳ではないが、アルバム発売から間もなくして「サザン最高傑作」と絶賛されていった。




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6th album 『綺麗』

A面
M1.マチルダBABY
M2.赤い炎の女
M3.かしの樹の下で
M4.星降る夜のHARLOT
M5.ALLSTARS' JUNGO
M6.そんなヒロシに騙されて
M7.NEVER FALL IN LOVE AGAIN



B面
M8.YELLOW NEW YORKER
M9.MICO
M10.サラ・ジェーン
M11.南たいへいよ音頭
M12.ALLSTARS' JUNGO(Instrumental)
M13.EMANON
M14.旅姿六人衆


A面M1.(以下①と表記)
『マチルダBABY』

 近年、ライブver.に注目が集まるが、初めて全面的にシンセを導入した曲で、当時は最先端の音だった。矢口博康のSAXとヒロシのドラムが音に厚みをつけている。

 内容は、モンスターに囚われたマチルダ救済譚。冒頭の効果音やエスニックなサウンドは当時、従来の邦楽には皆無で、桑田のストーリー性の高い歌詞は衝撃的だった。

 2013胸熱ツアーでは、時代の差を全く感じさせず、熱烈なディスコ・ビートが見事甦った。
あまりにも好評につき、2015葡萄ツアーでも終盤の煽りパートで選曲された。




②『赤い炎の女』

 スパニッシュ風ラテン・ナンバー。この曲は素晴らしい。
本アルバムから最初に試聴オン・エアされた当時の自信作で、レズビアンの情念をテーマとした、斬新な切り口だ。



割とまわりのオンナ 妙に君をあがめてる
男同士のなれの果てにもよく似てる

君は恋する Magic
たぶらかす陰険な苦労 A to Z
噂どおりの Trick
女だてらにキツネのように アン・ドゥ・トロワ





パッパラバッパバラバラ 女(め)と女(め)
パッパラパッパバラバラ You to You




 “メギツネのメ”と“eye=目”が絡みあう様子を表現した歌詞は絶妙だ。
 サウンドも鉄壁。





③『かしの樹の下で』

 中国民族音楽をフィーチャー。
 5thアルバムで試みた大陸歌謡風『流れる雲を追いかけて』に続いて、中国残留孤児がテーマの異国情緒溢れる名曲。
 桑田と原のデュエットが素晴らしい。


(桑田)
空の端見上げれば目頭もかすむ
おのれは誰なのか 幾度も問うたけど

いつの日か 会えるのを信じてやまぬ
言葉さえ通わない 祖国(ツーゴー)


(原)
遠い異国の地に 何をする君よ
覚えているだろか私の事を

待ちわびるお互いは未だ見ぬ人
星よ今 伝えてな 思いを


(桑田&原)
かしの樹の下で会いたい
故郷(ふるさと)の町でお前に
こまどりの鳴くあの樹のたもとで

かしの樹の下で会いたい
よくある親子でありたい
心に映る牡丹の夕暮れ





④『星降る夜のHARLOT』

 HARLOT、すなわち遊女をテーマとしたせつないレゲエ。この曲は桑田佳祐ソロ『グッバイ・ワルツ』『現代東京奇譚』『 サイテーのワル』『ヨシ子さん』『ほととぎす[杜鵑草]』と並ぶ傑作だ。


思い出は 彼の亡き骸に 口づけをした日
街角に 売り に出ていた

という歌詞が内容は全く異なるが五木寛之の『青春の門』を連想させる。桑田の創作活動において芸術的な表現形態が拡がった。

 そして、桑田はラテン歌謡曲の水商売的香りと苦味をブレンドし、そこはかとなく、まぶすのだった。






⑤『ALLSTARS' JUNGO』

 アフロビートやジャングルビートを駆使したアフリカーナ・ビート・ロック。

 この成果はのちに『夕方Hold On Me』『真昼の情景(このせまい野原いっぱい)』へ。

 そして、ついに、平成のロバート・ジョンソン&ネヴィル・ブラザーズ『ヨシ子さん』へと結実化された。






⑥『そんなヒロシに騙されて』

 前作と異なり今作では、④⑤⑥が絶妙に溶け合ってゆく。言わずと知れた、原由子がリード・ヴォーカルをとった代表曲の一つ。


 ベンチャーズ&60年代風歌謡曲&GS(グループ・サウンズ)をモチーフとした歴史的傑作。


 原の蓮っ葉にしてピュアなヴォーカルが聴きどころだ。二枚目ドラマー・松田弘(ヒロシ)の名前だけ拝借している。

 またも、高田みづえ(25.1万枚)、ジューシー・フルーツがこの曲をカヴァーし大ヒットを飛ばした。





⑦『NEVER FALL IN LOVE AGAIN』

 ここまで、縦横無尽に楽曲を展開した後、バラッドでストーンと落としてみせるこの構成の妙。この曲も桑田の、ドのつく傑作だ。

 9月の失恋歌(トーチソング)。
 ボサノヴァ。


 アメリカン・ニューシネマの傑作『明日に向かって撃て!』で、ポール・ニューマンがキャサリン・ロスと自転車を二人乗りするシーンに挿入された、B.J.トーマスの

『雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin' On My Head)』


を想起させる。



お気に入りだった Ray Charles 
ひとりで聞いても むなしい



の歌詞は秀逸。


 AORとしてクオリティーが高く、2013胸熱ツアーの「アコースティック・コーナー」で久々に披露された。9月宮城公演にふさわしい選曲だった。







⑧『YELLOW NEW YORKER』

 一転してB面頭にブリティッシュ・パンク・ロックをぶちかます。

 けれども、テーマは全米で日本人が認められる上での壁。






⑨『MICO』

 当時、キングレコードに移籍した和製ダイアナ・ロスこと弘田三枝子(2020年逝去)に捧げる歌謡ラテン・ソウルの傑作。
ラーガ風アラビアン・テイストのイントロも印象的だ。




お前がいなけりゃ 俺
今さら歌などない

綺麗になってSOULを捨てて
たしなみばかりが歌じゃない

もう一度だけ叫んどくれ
俺のために


ライ、ライ、ライ shyな…ミコ
I,I, I Love Ya…ミコ
ハートにしみいる リズムにブルース

あんなダイナマイトのようなタイプはない

cha cha boo




 弘田三枝子はこの年9月に、アンサーソングとして『O-KAY』 をリリース。
 弘田に敬意を表する桑田の檄を受けとめ、真正面から応えた。


 故・弘田三枝子の大ヒット曲『人形の家』とは、実は満州引揚者の身が引き裂かれるような哀しみと孤独を歌った、弘田三枝子カムバック作にして不朽の傑作。
 ここでの『人形の家』とは、女の哀愁・哀惜ばかりではなく、もちろん「人形」=「満州引揚者」である「棄民の私」の「家」=「日本」のこと。作詞は「なかにし礼」。
 2015年-ちあきなおみ、弘田三枝子(と、石原裕次郎)をイメージした今日版の『私はビアノ』と呼ぶべき、原由子リードボーカル曲のドのつく傑作

『ワイングラスに消えた恋』

が発表された。





⑩『サラ・ジェーン』

 イタリアン・テイストのトレモロを駆使したシャンソン風の曲。
 エルトン・ジョンの『キャンドル・イン・ザ・ウィンド』やキャロル・キングなどからインスピレーションを得たと思われる。


夢の中に舞う Sahra Jayne
家を出る夜に
彼女以外は知らない
すべて Secret

たいくつな毎日がイヤになり
旅立つような始末 あてもなく
トゥアララ 満たされない
だから気になる とても気になる Lonely girl



たしなめてばかりのHigh-School
誰もとがめない
波風たてぬようにと
いつも MaMa 言う 

叱りつけられたことさえなく
話し合えることも 今までは
トゥアララ 愛されたい
どこにでもいる ここにでもいる Lonely girl



よそ行きの服ばかりを着せて
やさしいような そぶり そればかり
トゥアララ 大事な日々
だから気になる とても気になる Lonely girl

トゥアララ 家を出る
誰も知らない 明日朝まで
Sahra Jayne






 シチュエーションそのものは異なるが、明らかに戯作家イプセンの『人形の家』がモチーフとなっている。昨今、韓国文学から全世界に突破口が開かれ・新たな形で再燃するフェミニズムおよび女性の自立がテーマのはしり。





⑪『南たいへいよ音頭』

 ムクちゃんこと関口和之がリード・ヴォーカルをとる南国ハワイアン・ミュージック。

 ストーンズをもじって「山羊の耳にもラブソング」ってフレーズが面白かった。

 時間を忘れるようなゆったり感は絶妙。





⑫『ALLSTARS' JUNGO
(Instrumental)』

 アフリカン・ビート・ジャンゴ。全員で一勢にリズム録りをした最後の曲。






⑬『EMANON』

 マイナーなAORとも言うべきコンテンポラリーなラテン・ソウルナンバーのドのつく力作。個人的にはサザンベスト5に入れても良いくらい。
 アルバムと同時発売でシングル・カットされた曲。

 もちろん、タイトルであるエマノンの意味はNo Name (無題)のこと。



 アルバム曲中でも、個人的に大好きな一曲。渇いたリリシズムが良く表されているムーディな曲だ。



やがて夜しらむ
鳥たちもさえずる Mornin'
くずれるよに身体(からだ)を横たえ

昨日の恋を灰皿に消し
眠りにつく
ひとりじゃ言葉も部屋の中
舞い散るよ


※※
“I Love You”
二度と言わぬセリフさ
泣きそうなみじめなほど

“I Miss You”
心から大好きさ
もう一度 お前に逢いたいよ
※※



シャレた緑がお気に入り麗(うるわ)し Woman
二人で歩いた真夏のビーチ

出来ることならあの日に帰り やり直すさ
今宵は涙の通り雨も降るだろう


※※
Where Are You?
とりとめのない夢
身体(からだ)も欲しいというの

Love Me Too
可愛い花のよな
お前は今、どこにいるのか
※※



砂の浜辺で口づけた
ひとときを思い出せば

面影が目の前をかすめて
胸の痛みに変わる


雲の切れ間にやさしく輝くの Sunshine
風に身を投げるライムの樹よ

波の音には感じやすくて
抱きしめたら
おしゃれな吐息で
受け入れてくれた女(ひと)

yeah,yeah

Oh,baby……






⑭『旅姿六人衆』
 ロッカ・バラッドの傑作。
 エルトン・ジョン、ビリー・ジョエル、ポール・マッカートニーが作った『ヘイ・ジュード』(ザ・ビートルズ)、と言った所か。

 渇いたトーンは大野雄二のテーマを感じさせる。


 『働けロック・バンド』を書き直した。


 歌詞に登場する

華やかな者の影で今
動く男達
“Mr.Suizuら”がいてくれたら
今日も大丈夫


の「Mr.Suizu」とは

当時のスタッフである水津雄二らの愛称で、サザンが<ファン>と<スタッフ>に支えられて、ここまで来たこと、今夜、現に今この「華やかな」スポットライトが当たる最高のステージに立ち・ライヴコンサートをやり遂げられつつあること、を歌っている。


 桑田は楽曲の一番でファンに感謝を捧げ、二番ではスタッフに感謝を捧げる。このことで初めて『旅姿六人衆』=サザンオールスターズのツアーが成立することを心の底から歌うのだ。

 「みんなのおかげでやってます!」(桑田佳祐)-〈みんなのサザン〉=サザンオールスターズのレーゾン・デートル(存在証明)のすべてが描かれている!

 まさに『働けロック・バンド(Workin' for T.V.)』の渾身の続編である。


(桑田:ごめん 俺が悪かった)
(弘 :あぁ〜悪かったぁ〜)

毎日違う顔に出逢う
街から街へと
かみしめてる間もないほどに
Oh! no! oh! no!

喜びや夢ばかりじゃない
つらい思いさえ
ひとりきりじゃ出来ぬことさ
ここにいるのも

※※
お前が目の前にいるならいい
ステキな今宵を分け合えりゃ
また逢えるまでは この時を
忘れないでいて
※※



華やかな者の影で今
動く男達
Mr. Suizuらがいてくれたら
今日も大丈夫
Oh! baby!


※※
お前が目の前にいるならいい
ステキな今宵を分け合えりゃ
また逢えるまでは この時を
忘れないでいて
※※

Na Na Na Na Na Na Na Na ……




 かくして、サザンはAOR色豊かな日本型エスニック・サウンドをめざしたアルバムを完成させた。

 だが、よりパワフルで、より濃密、よりスリリングな作品を求めて、またも今作『綺麗』を否定しサザンは挑んでゆく。


 翌年、試行錯誤の結果、産み出された作品のタイトルは、

『人気者で行こう』

だった!


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⏹️【2019年6月16日付け拙稿】

サザン、2019ツアーファイナル東京ドーム公演★雑感
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『サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019 “キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!” だと!? ふざけるな!!』

【ENCORE】

EN1. I AM YOUR SINGER
EN2. LOVE AFFAIR~秘密のデート~
~Be My Baby(ザ・ロネッツ)
EN3. 栄光の男
EN4. 勝手にシンドバッド
EN5. 旅姿六人衆(旅姿四十周年)

3時間半 全36曲
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■EN5. 旅姿六人衆(旅姿四十周年)

 原坊のゆったりとした鍵盤を叩くこのイントロを聴いた瞬間に、ため息が漏れ、次に目頭が熱くなった。実に21年ぶりの披露だ。

 「タイトルが違う」「歌詞が違う」「歌い方が違う」「オリジナルとは別物だ」、どれも至極正しい見方だ、けれども、私はまったく違う。そもそもポップミュージックとは<時代と寝る>ことによって生み出され消費される生き物なのであり、常に時代的制約性を刻印されると共に不断に変化し自立的成長を遂げる生き物なのだ。昔は良かったなどという古参自慢の独善性は私の音楽観とは無縁だ(古参の役割は伝承だけ)。そもそもミュージシャンだろうがアイドルだろうが聴衆に新規も古参もない! 私はこの曲を思い入れたっぷりに今この40周年のステージでまさに今目の前で披露している、このサザンオールスターズが観たかったのだ★

 「お前が目の前にいるならいい/ステキな今宵を分け合えりゃ」いいのだ。この歌詞で私は思わず両手の人差し指でステージ全体を指した。

 今回2020年のライブでは、
「華やかな者の影で今/動く男達/Mr. Suizuらがいてくれたら/今日も大丈夫/Oh! baby!」の歌詞を、「動く男達」から「動く仲間達」へ、さらに当時の舞台監督スタッフ名「Mr. Suizuら」(水津雄二ら)から、今日のスタッフ名「Mr. Nanyaさんら」(南谷成功ら)へ歌詞変更されていた。熱いものが込み上げた……。


 「華やかな者」の歌詞の意味は、『旅姿六人衆』、すなわち今このステージで脚光を浴びている「サザンオールスターズ」を指す。
 一番の歌詞ではファンに感謝を捧げ、二番の歌詞ではサザンのステージを全力で支えるスタッフ&サポートメンバーそしてダンサーズに感謝を捧げる。
 サザンがファンとスタッフ&サポートメンバー&ダンサーズに支えられ初めてここまで来たこと、今夜、現に今この「華やかな」スポットライトが当たる40周年イヤーのラストを飾るツアーの最高のステージに立ち・ライヴコンサートをやり遂げられつつあること。このことで初めて『旅姿六人衆』=サザンオールスターズのツアーが成立することを桑田は、昔と違い何の力みなく、だが思い入れたっぷりに、心の底から歌うのだ。

 「みんなのおかげでやってます!」(桑田佳祐)-〈みんなのサザン〉=サザンオールスターズのレーゾン・デートル(存在証明)のすべてが描かれている!

 改めて言おう、今このステージを忘れはしない!、と。

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「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!”だと!? ふざけるな!!」-成長し・深化し・完成を遂げたツアーだった。

 札幌ドーム二日間をはじめ全会場55万枚ものチケットは完売し当日券の発売もなし、特に関東圏は極めて狭き門だった中、私自身幸運にも会場に足を運べたことがどんなにありがたかったことだろうか。この只中で、もっと派手に騒いだセットリストにしてもいいはずの40周年ラストと来たる6月25日の41周年目前のちょうど節目に、サザンオールスターズはもちろんバランスをはかりながらだが、いつまで保つ(もつ)か危うかったプロデビュー直後から足かけ41年間の〈魂の音楽遍歴〉をセットリストにビルトインしつつ、今ここで現在進行形の現役宣言を発したのだった。「ほどよく大衆と寄りそいながら」(第三回ひとり紅白での桑田佳祐メッセージ)サザンオールスターズの世界観を魅せつけた。ついに今ツアーは東京ドームファイナルで頂点に達した。

 日本音楽史上初のメンバー全員が還暦をこえた、グループ=ロック・バンドによるアリーナ&6大ドームツアーの、ファイナル東京ドーム公演を観て、万感の思いが溢れた。これだけキャリアを重ね歴史を切り拓いてきたロックバンドが年輪を重ねつつ、全くデビュー当時と変わらないままなのだ。ストイックに演奏しつつも、何か新旧オーディエンスの前で演奏するサザンオールスターズは無性に楽しげなのだ。オーディエンスとのコミュニケーションを心ゆくまで楽しみつつ、選曲も演奏も歌唱も演出も、現在進行形で深化し続けるロックバンド・サザンオールスターズの颯爽とした姿。
 今回のステージに立ったサザン楽団を構成するメンバー・男女パフォーマー・スタッフ全員が素晴らしい。
 古戦場、赤い炎、特に桑田佳祐の最高傑作女神達の演奏は完璧だった。重量級のハードロックにしてブルースロック的アプローチが生きる万葉歌〈CRY 哀 CRY〉。そして極めつけは桑田のギターソロから始まる、ディランに影響を受けたレノンとも言うべき〈世に万葉〉収録のHAIR、この曲の桑田の歌唱は神がかったかのようにあまりにも完璧で桁違い。これぞROCKでBLUESだ。デビュー当時や初期の曲での、パーカッション全開のレパートリーは、そっくりそのまま、日本のロックの新しい夜明け。だが、デビュー当時と全く変わらぬサザン・ロックとラテンのサザンだ。
 〈人気者で行こう〉収録の二曲の、当時のMTVに挑戦した、斬新さ、圧倒的な完成度の高さ! 〈これまでの日本ロック史についにサザンが死の宣告を下した!〉、と驚嘆させられたあの日のサザン。日本大衆音楽の伝統を〈受け継ぎ・のりこえ・発展させる〉あの日のサザン。ところが、過去の名作という解釈にとどまらず、むしろ今の俺たちは【何一つ変わらず】でももっともっとここまで出来るんだぜ!と言わんばかりの、【現在的に深化し続けるサザンオールスターズ】の姿は粋だ。本当に息を飲んだ!
 「東京ドームで また逢おうね みんな元気で ありがとう」-ラストに流れるサザン渾身のロッカ・バラードは、ただただシンプルに、色々な事があったが、41年間音楽を続けられてきて本当に良かった、と〈我らサザンオールスターズ〉が自ら噛みしめているかのようなのだ。オーディエンスに、そしてスタッフに、最後オーラスに選曲した36年前のこの曲この音楽で、サザンは何としても深い感謝の念を伝えたかったのに違いない。そして、旅は続く、のだ。
 2020年代もサザンオールスターズは歌い演奏し続ける、こうしたサザンの本気が伝わってきた。
 41年間サザンと出会ったきっかけは人様々だと思うけれども、もう一度断言したい。われわれはこのサザンオールスターズと桑田佳祐の音楽的情熱にシビれて聴き続けてきたのだ!、と。離れてはまた帰ってこられる場所、これが〈永遠の今〉であるサザンオールスターズだった。
 ヒット曲を聴いたのはただのきっかけに過ぎない、温故知新とも言うべきサザンのアルバム・サザンの音楽世界に魅せられ今に至るのだ。
 41年間、第一線に立ち続け、ヒット曲を生み出すことを義務づけられながらも、自分が魅了され・恋焦がれてきた音楽に近づくことを夢見て何度も挑み試みてきた彼らサザンオールスターズの〈本質〉=〈否定のサザン〉で勝負してきた素晴らしい全国ツアーだった。
 すなわち、彼らは【2018年の40周年メモリアルイヤーに】栄光に輝いた次の瞬間から自らのスタイルを〈解体=再構築〉し・不断に現在直下の新曲【41年間の音楽的追求と試行錯誤の結果生み出された傑作群&昨年来の新曲群を核に据えた今全国ツアーのセットリスト】で勝負し続ける、デビュー当時から何ひとつ変わらぬ〈サザンの流儀〉、すなわち〈否定のサザン〉を貫いたのだった
 今回このサザンオールスターズが何度かこの目で観られたことに悔いはない! 逆に、2013年のライブを再び三度観られた今となっては、2020年代に突入する次のステージでも桑田佳祐が今納得のゆく曲・新曲ばかりを集めたライブが、また観たい! そしてもう一つ、誰だ一服タイムだと言ったのは?、原由子がリードボーカルをとる〈北鎌倉の思い出〉は絶唱・名演だぞ。中盤戦こそがサザンオールスターズの音楽世界の白眉だった★

 それぞれのメンバーの見せ所で私は一人一人のメンバーの演奏を堪能した。一曲一曲に精魂をこめるクワタさん、青学時代からクワタと同期で腐れ縁の・独創的なフレーズですらクールなムクちゃん、ボーカルを引き立たせつつサウンドをグイグイ牽引するヒロシ、男顔負けの鍵盤さばきでだがストイックなプレイヤー原坊さん、ヒロシと抜群の呼吸でリズムセクションに厚みをもたらせる毛ガニ。
 サポートメンバーも忘れられない。
 クワタの大学時代の後輩で必殺のギターリフが魅力の誠っちゃん。ヒロシと共にサザンサウンドの要として今回もハラボウと抜群のコンビネーションを発揮した片山くん敦夫ちゃん(ライブ再現不可能な曲のサウンドを眼前に甦らせてくれたのはすべて彼の功績)。山本拓夫・吉田治・スガちんこと菅坡雅彦のホーンセクションがサザンサウンドの粋をもたらす。ポップスの伝統と今様を巧みに演出してくれるChorusのTIGER&小田原 ODY 友洋。〈総力戦〉に欠かせないエンターテイメントの楽しさを引き立たせてくれるEBATOダンシングチーム(ファイナルのマンピーは昨年以来、路線転換した演出の完成形となった。もう男女逆転が何の違和感もないほど突き抜けていた!スゴかった!)。
 その瞬間その瞬間に彼らを観ていて心から楽しかった。メンバー紹介でハラさんが感謝を込めて紹介されたサポートスタッフさんや南谷さんらサポートスタッフオールスターズまで含め、オーラスの〈旅姿〉がこれほど心に響いたことはない。

 サザンオールスターズよ! サザンにしかなし得ない音楽世界をズラリとラインナップした素晴らしいポップミュージックを本当にありがとう♪ これらの曲と出会ったからこそ、私もサザンオールスターズを選んだ。そう再確認させてくれた、濃密で現在的意義のある素晴らしいライブだった★


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⏹️今回のライブツアーでサザンは、ボップミュージックの楽しさ、素晴らしさ、奥深さ、喜びも希望も悲しみも怒りも、恋も愛も性愛もエロティックもロマンも社会風刺も、人間の愚かさもそれゆえの慈しみや愛しさも、そして人生を、端的にすべて一夜のライブに詰め込んだ。その時々の時代状況や時代的雰囲気と格闘しながら創造した、桑田佳祐が今日的に納得のゆく、真の傑作群や音楽的遊び心に富んだ作品群をズラリとラインナップしてきた。あたかもライブ自体がサザンオールスターズというタイトルの一つのオリジナル作品=長編小説でもあるかのように、音楽的情熱のいっさいを傾けてきた。
 桑田佳祐の音楽は、ちょっぴり格好をつけた時でさえも、常に“見栄をはらない”。そして『永遠の男』や『明日晴れるかな』『東京VICTORY』『闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて』『はっぴいえんど』に端的なように、人生の矛盾や懊悩も、世知辛い現実も、ことさらに隠そうともしない。
 格好わるいことも、みじめなことも、照れくさいことも、幸せも、哀しみも、憤りも、喜びも、実に率直で素直なのだ。桑田はフィクションの形式でさまざまな人生に光をあて歌に託してきた。だからこそ、サザンは41年間、その時々にたとえ売り上げに波があったのだとしても、過去の栄光にすがることなく、時代に負けなかった。
 こうして、サザンライブツアー2019は、サザンオールスターズ41年間の音楽的格闘と音楽世界のガイストを〈今日的に〉凝縮した、現在進行形のさらなる現役宣言のライブとして実現されてきた。
 すなわち、サザンオールスターズは、「夏だ!海だ!サザンだ!」なる卑俗な世間一般の〈サザン像〉なるものを木っ端微塵に打ち砕き、たとえバンドのオリジナルメンバー全員が還暦をこえた史上初のアリーナ&6大ドームツアーなのだとしても、自然体で変わらぬ現役宣言を謳いあげた。

 たとえ、サザンファン全員を敵に回したとしても、2020年へ向けた今だからこそ、私はこのサザンオールスターズが観たかった! 今回、なんとROCKなサザンなのだろう。〈陶酔のサザン〉-まさにサザンオールスターズ=〈永遠の今〉=ポップミュージックの極致を魅せつけられ、万感の思いが溢れる。

新しいふたりの出発(たびだち)の日に
燃える太陽がロックンロールを踊っている
『はっぴいえんど』

 まさに、サザンオールスターズとは〈永遠の今〉。それを証明した昭和・平成から令和をまたいだ現在的意義のある画歴史的なツアーだ。⏹️

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