AKB48 18thシングル Beginner が発売初週で 82万6989枚を記録。CD初回出荷 103万枚を勘案するなら妥当な数字であり、売上数もこれがピークであろう。



勿論、「Beginner」 all stars 16名だけでなく、

「僕だけのvalue」 アンダーガールズ22名、

「泣ける場所」 DIVA の16名、

「君について」 MINT の5名、

全員の力があればこそだと思う。



しかし、当初楽曲・PVがファンを驚かせ、武道館が水を打ったように対応不能で一瞬だけ静まった事を考えるなら、イベントの付加価値はもとより、やはり楽曲とPVの革新性が大衆的に浸透し物質化された成果と言えるだろう。



簡単に言えば、AKB48は現状の質に満足しているのではなく、凄いことをしているのだと新旧のファンが思ったからだろう。プロデュースの勝利だ。



私は数字もさることながら、新曲のPVを観て心の底から驚いた。数字以上に凄いのは、Beginner all starsのパフォーマンスだ! 「センター変則6フォーメーション」のダンスパターンと言われるが、それどころではない。



メンバーからもダンスに注目してほしいとアピールがあるが未だに議論が少ない。ダンスの振りを覚えた、難しくて覚えられないとの声があるが、真に覚える事はほとんど不可能だろう。日々研鑽を重ねるメンバーでレッスン6時間、普通のファンなら一体?と思う。



そもそも振りがパターンによってメンバーによって全部違う。覚えられたのは、どのメンバーのどのフォーメーションの振りだろうか。しかもPVでは両サイドが切れている。立ち位置や移動はカメラワークで上手く編集され、全て把握できないようになっている。現状のPVでは全てつかむのは限りなく不可能に近い。


メンバーはもの凄い事に挑戦している。現時点TV放送でフードを被っている時は、フルメンバー16名が揃った時の完全なフォーメーションをファンやライバルから隠すためだ!



可能な限りこの秘密に迫ってみたい。そして何度も映像を観てみよう。驚くべきAKB48スタイルを。




《実体論》

演出 中島哲也

スタイリスト 申谷弘美

ヘアメイク 山崎聡

コレオグラファー TETSUHARU



申谷弘美参加作品ー

岩井俊二監督
『四月物語』
『リリイ・シュシュのすべて』
『花とアリス』

タナダユキ監督作品
『百万円と苦虫女』

中島哲也監督作品
『下妻物語』
『嫌われ松子の一生』
『パコと魔法の絵本』
『告白』



山崎聡参加作品ー

中島哲也監督作品
『パコと魔法の絵本』
『告白』



コレオグラフアーとは振り付け師のこと。TETSUHARUは増田哲治。ミュージカル・バレエなどで活躍中。歌手では安室奈美恵、倖田來未、SMAPを担当。
特に安室奈美恵の振り付けで有名。
SMAPでは『そっとぎゅっと』、2010コンサートツアーを歴任。09紅白歌合戦でキムタクのマイケルコピーでマイケルの振り付け師に監修してもらいアドバイザーになった人。



ちなみに、安室奈美恵のダンスと比べてAKBにはメリハリが……との声もあるにはあるが、それは違う。AKBのBeginnerは、実は現時点のAKBグループ最高ダンスパフォーマンスTeamK公演曲『夢の鐘』の進化型である。核戦争後の世界でも夢の鐘を鳴らし起ち上がれと叫ぶ名曲だが、三位一体のダンス、フォーメーション、スピードでピカソの『ゲルニカ』のような世界を現出させるほどの完成度。こののりこえである。日韓アーティストをのりこえる新たなチームダンスパフォーマンスがめざされているのだ!

コンテンポラリーおよびシンクロナイズドスイミングのフリールーティーンのような最高難易度!






《サインプレー前から実は スタンバイOKのダンスヴァリエーション》



BeginnerはAKBの楽曲中のプロテストソングの系譜に連なるビートロックだが、その真の魂はセンターパターンはおろか6ヴァリエーションのダンスパフォーマンスである。クリエイターがこれを全面的にバックアップしている。このことが革新的なのだ。では6ヴァリエーションのダンススタイルとは?




① 変則6センターパターン全てでダンスフォーメーションが丸っきり異なる。つまり新曲6曲分。




② 司令塔みなみがサインを出す前から、すでに全メンバーのポジショニングが違う! だから間違えない。共通するのは高橋みなみと中央でしゃがんでいる渡辺麻友だけ。




③ フォーメーションばかりでなく、センターメンバーのイメージによって、6通りのダンス・振り付けパターンがある!



ただし、これは最初のサビの僕らは夢見てるか? まで。後の振りは基本的に一緒。ただし、センターメンバーのダンスの雰囲気ならびにポジショニング、そして①の全体のダンスポジション(陣形)ならびにスタイル(形)が全て違う!




支配された鎖の引きちぎり方は最初が頭の真上に両腕を掲げてはらう。最後は片膝をついて、両腕を片肩まで挙げて直角に降ろし、腰元で払う。ただし、センターメンバーの向きは異なる。この向きが最後の歌詞、光が差すよの時の手を指し示す向きに関わる。光が差すよのフォーメーション(陣形)は全パターン違う!



④ おそらく3チームにフォーメーションが分かれている。

センターメンバーの中に柏木が入っている。

上手(向かって右)が
珠理奈・峯岸・宮澤・玲奈。

下手(向かって左)が
小嶋・河西・北原・高城・指原。


ただし推測。かつ前と後ろのメンバーで移動する。もしかすると、各フォーメーションチームでリーダーまで決めているかもしれない…。





《センターメンバー別に見るダンスヴァリエーションの特質 》


※紹介順はあくまでCD収録順とする。



【大島Ver.】

(センター陣形の推測)


大島は珠理奈隣、前田と向きあうポジ。大島のスタンバイ・ポジは全て上手側の最後方。


北原 峯岸 指原 珠理奈
篠田 …… 柏木 前田
高城 …… 渡辺 宮澤
《板野 [高橋] 玲奈》



(サイン後のダンス・フォーメーション)


唯一のV型フォーメーション。
※◎はセンター。

タテ2列⇒W⇒
●◎●
…●


●●●
…◎





⇒V字(夢見てるか)
渡辺 高橋
板野 前田
……大島




(♪Stand up! の陣形)

▼の基本フォーメーション

渡辺 板野
高橋 前田
センター大島




(♪光が差すよ の陣形)



センター◎





大島Ver.の印象

ブレイクダンスパターン。大島のパフォーマンスはヘビロテや夢の鐘に続き圧倒的。大島はヘビロテの時と打って変わり、TV披露中決して微笑まず、歌の世界観を百%理解し、ド迫力。ダンスの切れ・表情は素晴らしい。真剣な眼差しはシリアスな演技の時の浅野温子を彷彿とさせる。






【篠田Ver.】

(センター陣形の推測)


………指原 前田 大島
篠田 高城 柏木 珠理奈
北原 …… 渡辺 宮澤
《板野 [高橋] 峯岸》



(サイン後のダンス・フォーメーション)


密集⇒

中央の最後方から篠田一人悠然とセンターまで歩いてくる⇒

◎の外側の四人散って、すぐリターン⇒

…●
● ●
…◎


●●●
…◎





(♪Stand up! の陣形)


▼の基本フォーメーション
高橋 大島
センター篠田




(♪光が差すよ の陣形)


……………●↑
● ●
……● ◎↓ ●



篠田Ver.の印象

ジャズダンスパターン。完璧なモデル体型で長身ゆえセンターが最もひきたつ。肩の線や腕の張りは女優のような美形と力強さ。冒頭から花道を悠然と歩き全体がひれ伏す感じ。マジスカのサドも彷彿とさせるが、もっとしなやかだ。なぜサムデイは麻里子に女優の仕事も勧めないのか?、滑舌なんて訓練…理解に苦しむ。






【珠理奈・麻友Ver.】

(センター陣形の推測)


大島は珠理奈隣、前田向い

北原 峯岸 指原 珠理奈
篠田 …… 柏木 前田
高城 …… 渡辺 宮澤
《板野 [高橋] 玲奈》



(サイン後のダンス・フォーメーション)


タテ2列⇒W⇒密集⇒中央左麻友・右珠理奈センターへ⇒
● ●
…◎

⇒◎
● ●(●は左右逆)


●◎●
…●

⇒◎
● ●

⇒●◎●♪夢見てるか?




(♪Stand up! の陣形)


唯一のタテ型フォーメーション。

●4立
●5座
◎4立 渡辺 珠理奈
●3座 前田 高橋 大島




(♪光が差すよ の陣形)


●↓ ●↓
センター◎↓↑
●↓ ●↓



センター拡大

…………前田↓ (真正面)
……渡辺↑ 珠理奈↑真上
…………板野↓ (真正面)




珠理奈・麻友Ver.の印象

渡り廊下走り隊、チームB推し、Beginnerまで麻友は本当に芸達者だ。3DCGの如く決まっており、振りのスピードや角度は抜群。同時に改めて玲奈と並びSKE48のエースであると共にAKBのセンターも勤める珠理奈のダンスの切れはずば抜けている。ダンスをいの一番に主体化できる珠理奈、更なる成長著しい麻友は、どのダンスパターンでも最重要ポジションで楽曲を牽引する。






【前田Ver.】

(センター陣形の推測)


指原 …… 前田 大島
篠田 高城 柏木 珠理奈
北原 …… 渡辺
《板野 [高橋] 峯岸》



(サイン後のダンス・フォーメーション)


タテ2列⇒W⇒
● ●
…◎

⇒●◎●


● ●
…◎
…●




(♪Stand up! の陣形)


▼の基本フォーメーション
高橋 大島
センター前田



(♪光が差すよ の陣形)


● ●
センター◎↓
● ●


センター拡大

◎外側は左右の斜め上
センター前田が正面斜め上
◎から外れた高橋が前田の頭上




前田Ver.の印象

誰が何と言おうと存在感と輝きは圧倒的。和洋折衷のようなダンスに見える。前田の素晴らしい所は、あらゆるダンススタイルが人を魅きつけてやまない所。技術もさることながら、技術をこえた表現力が抜群。




【板野Ver.】

(センター陣形の推測)


峯岸 指原 珠理奈
篠田 柏木 前田
高城 渡辺
《板野 [高橋] 玲奈》



(サイン後のダンス・フォーメーション)


タテ2列⇒タテ4列⇒花型
…●
● ●
…◎

⇒◎
●↓●



(♪Stand up! の陣形)


▼の基本フォーメーション。

渡辺 板野
高橋 大島
センター前田




(♪光が差すよ の陣形)



センター◎↓





板野Ver.の印象

ヒップホップ風ブレイクダンススタイル。板野のリズム感は素晴らしい。全バージョンのダンスを最先頭で牽引している。意志の強さが芯の強さとしてダンスに現れている。私は板野を「ツンデレ」?と思った事はないが、私が私がではなくセンター板野がぷいと居なくなってしまうが、最後にしっかり戻ってくる趣向が面白い。しかし、実際の板野は求道者タイプの真面目な性格。




【高橋Ver.】

(センター陣形の推測)


篠田 指原 …… 大島
北原 …… 柏木 珠理奈
高城 板野 渡辺 宮澤
《前田 [高橋] 玲奈》



(サイン後のダンス・フォーメーション)

密集⇒
…◎
●↓●


● ●
…◎


●◎●


●●●立
…◎
● ●



(♪Stand up! の陣形)


▼の基本フォーメーション。

前田 大島
センター高橋




(♪光が差すよ の陣形)


←● ←●
センター←◎
←● ←●




高橋Ver.の印象

フィギィアスケートヴァージョンか。高橋のスピードならびに力強さは抜群。趣向としては、上下の動き腕の振りなどが多く、AKBのシンボル並びにこの楽曲の司令塔としてセンター付近から必ず離れないのが面白い。しかしポジ移動の速さは素晴らしい。みなみは司令塔=精神的支柱。ただしあくまで役割であって、男役と言われるが実は女性らしさもふんだんに兼ね備えている。






《終わりに》
開き直ってと後半の夢の振りが各々違う。
革新的なダンスにぜひ注目を! これがAKB48スタイルの現時点の最高傑作だ!