さあ2位と1位。



第2位



飢餓海峡



(1965年 内田吐夢監督)







65年当時、庶民にとって戦後日本の飢餓と混迷がどんだけ凄かったかをつぶさに描いた傑作。


水上勉の同名小説。ミステリ的日本文学の最高峰だろうな。





三國連太郎さんの強烈な存在感、伴淳三郎さん、左幸子さんの名演。若き高倉健さんも新米刑事役。

三國さんの息子が佐藤浩市。でもこの演技こえられないよね。



だって三國さん実際戦争にかりたてられたんだもん。

三國さんって私生児で、養父が被差別部落出身の人。講演すらやるらしい。出自を隠さずトップになった。


そもそもデビューのきっかけがさ、戦争から戻って食えねえ。腹かかえてたら道端で撮影に誘われて、やるってなった人。


だから全盛期のこれだけの迫真の演技にはかなわないよ。でかくて眼をギラギラさせてさ。三國さんって昔は全部本気で演技したらしいよ。


しかも三國さんと健さん、監督の演出のねちっこさに怒り狂ってたらしい。三國さんインタビューで言ってたよ。



ねぇ、観たくなったでしょ?

おっとストーリー。






戦後直後、ある暴風雨の夜、津軽海峡で青函連絡船が転覆。同夜、北海道で質屋一家殺人事件が発生。


ところが転覆事故の死体が乗客より多いぞ。

この二つの事態は結びついてない?って着想の妙。


たった数行の新聞記事の実話二つを作家の創造力で結びつけちゃった。








ではその後、容疑者と一夜をともにした遊女とはどうなったか?


刑事に追いつめられた容疑者が一言「あなたたちは何も分かってない」。


連絡船に乗せてくれたら、何もかも話しましょう、と。



さあどうなる、どうなる?!






戦後日本の飢餓を赤裸々にえぐった一大傑作。

これは戦争を知らない俺たち日本人につきつけた、善悪すらこえる壮絶な人間ドラマ。





水上さんが映像とはすごいって激賞したらしい。


もちろん国策映画撮ってた内田監督も満州・中国がえり。




今のドラマが薄っぺらく感じるほどすげぇよ。











第1位



復讐するは我にあり



(1979年 今村昌平監督)








新約聖書の言葉。「悪に対して悪で報いてはならない。悪を行った者に対する復讐は神が行う」って意味。





今平完全復帰の傑作。監督が犯人の実像にとことん迫って完成させた執念の一作。


緒形拳さん、三國連太郎さん、小川真由美さん、倍賞美津子さんの演技バトルは世界最高峰じゃないか。



役者に関心なくなってドキュメンタリーばっか撮ってた今平が、役者って面白れえって惚れこみ直した。


この後パルムドールをとるきっかけになったのさ。





実話の同名ルポが原作。佐々さんの本、講談社文庫から再刊されたよ。


許されざる罪業とドロドロの家族関係。


原作の版権をめぐる争奪戦をくりひろげた今平。


執念の取材と徹底したリアリズム。


実際の殺人現場で緒形拳さんが撮影したのは有名。





特に犯人役緒形拳さんとその父親役三國連太郎さんが最後に対峙する場面の長回し撮影は圧巻の一言。


事前に監督が耳打ちして「ガチ」で唾かけたんだってさ。







断っておくがこれは犯罪映画ではない。悪を描いた素晴らしい人間ドラマです。







キャスト・スタッフが奇跡をうんだ日本映画最高の傑作!!絶対観てね。









他に次点としては



大島渚
『青春残酷物語』

『儀式』



黒澤明
『七人の侍』

『用心棒』

『天国と地獄』





鈴木清順監督
荒戸源次郎製作
木村威夫美術監督

『ツィゴイネルワイゼン』



原作は夏目漱石の弟子
内田百間『サラサーテの盤』


だけど作品世界は完全に泉鏡花
泉鏡花に関心ある人必見
くらくらする映像美



大谷直子が二役ということ
だけ押さえておいて、あと
は解釈せず、観た流れのま
まドキドキすればいい映画です。




かな。



これ以外にも
おいおい紹介するね。