こんにちは。



これから古今東西の映画についてのブログを始めます。



きっかけは今、映画雑誌などの評論に物足りなさも感じるからです。映画評論とは厳しいもの。しかしなかなか作品のもつ素晴らしさや感動が伝わってきません。




時には評論家が作品の本質をとらえ損なっている場合も見受けられます。これでは名画・名作は元より、問題作を観る習慣も失われかねないと思いませんか?




例えば昨年の第62回カンヌ映画祭審査員賞授賞作『渇き』(09年韓・米、パク・チャヌク監督作品)。賛否両論の問題作ですが、この作品を失敗作とみなす雑誌がほとんど。


しかし批評の視点がずれていないでしょうか?



ストーリーは、本来道徳的であるはずのカトリックの神父がヴァンパイアになってしまい薄幸の人妻との背徳の愛に堕ちるというもの。



では、この映画の核心はホラーや背徳でしょうか。いいえ違うと思います。パク・チャヌク監督は吸血鬼映画を一切見なかったそうです。ただただ文豪エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』のみを導きの糸として……この映画のテーマの核心は、究極の愛に直面した時、人は人生のすべてを投げうつことができるか、だと思います。



美しい映像と音楽。矛盾と葛藤を演じきったソン・ガンホと、女神と悪女との不安定な均衡を渾身の力を振りしぼって演じた新人キム・オクビンの演技に酔う映画です。




特にラスト、自動車のボンネットでの靴の交換シーンは涙が出そうになるほど美しい! この監督の葛藤する人間への優しい眼差しは永遠のテーマなのでしょう。


だから、この映画は真実に生きることへの渇き(Thirst)、真実の愛への渇望こそが真のテーマなのではないかと思うのです。




ジャンルを問わず、映画には良い映画と駄目な映画しかありません。そして本当に良い映画には、SFXも3Dも関係ありません。例えばアラビアのロレンスやゴッドファーザーに必要でしょうか?



良い映画は人生の喜怒哀楽がぎっしり詰まっています。想像力をもかきたててくれます。たくさんの自分なりの見方・感想、記憶・思い出が得られます。きっと人生の扉を開けてくれる素晴らしい鍵となることでしょう。




不定期になりますが、1回1作、古今東西の映画を紹介します。プロではありませんので自己流です。結局、備忘録程度にしかならないと思いますが。



つねに映画とは何かをお知えてくれる淀川長治氏に愛をこめて。




では次回、私が選ぶ映画ベスト10を紹介します。