その夜は眠れなかった。
何も考えないでみる。
何も考えないことを考えている自分に気がつき、今度はシロクマを数えてみる。
シロクマが1匹。
シロクマが2匹。
シロクマが3匹。
シロクマが…あれ?シロクマって「匹」じゃなくて「頭」か?
そんなことを頭の中でメリーゴーランドみたいにゆっくり回転させていく。
いつの間にか睡眠前のだるく、それでいて心地よい瞬間はミステリーサークルの畑のようになぎ倒されていた。
一本ずつ、一本ずつ確実に倒されていった彼らは、今度は、僕に向かって起きろと囁いてくる。
おい、起きろよ。
僕はしょうがなく目を開けて、そこに漂う闇に目を慣らす。
やがて穏やかな光が目の前に現れてくる。
時計に目をやる。
蛍光塗料の塗られた短針は「2」を指していた。
起きなくてはいけないんだ。
何をするわけでもない。何もしたくない。だけど、起きなければいけないんだ。
上行網様体賦活系をは働かさなければいけないんだ。
窓を開けてみる。
夜特有の静かな騒音と、さわやかな風が僕を包む。
空は蒼かった。
僕は知らなかった。この街の夜空は蒼かったんだ。
月の光は間接的に空を染め、夜の空をより完璧なものにしていた。