(第163回)焼べる炭
五輪まっただ中だと思いますが、皆さん観戦を楽しんでいますか?
科学万能の世の中、競技もスポーツ科学で凝り固められている感がある。でも、石炭を焼べて前進する蒸気機関車のように、無骨で不器用でもいいから、アスリートの人間力勝負が見たいナ。
ところで、実はこの原稿の締め切り日は五輪開幕前…、ということで観戦ネタはまたにして…今回はおっちょこちょいアスリート集…。
中学の頃のスイミングスクールにSくんがいた。競技会で100mバタフライに出場した彼は、スタートと同時に猛烈な勢いで泳ぎ、ダントツのトップで50mまで泳いだ。しかしそこでパタッと止まってしまい、水から顔を上げて肩で息をしながら掲示板を眺めていた。コーチが慌ててSくんに駆け寄り、
「おい、あと50m!」
と叫んだ。
「え?」
と、Sくん。なんと100mと50mを間違えていたのだ。ペース配分なしに50mを猛ダッシュした彼の残りの50mは、溺れているのかと思うほど悲惨な泳ぎであった。もちろんダントツのビリ…。
中学の頃のサッカー部にPくんがいた。彼はバックスであったが、興奮すると頭に血が上り、イノシシのように相手ゴールに突進していく癖があった。前半戦、一進一退の激戦の末、後半に突入。興奮したPくんは、もの凄い形相でボールをゴールに蹴り込み、
「ウォーッ!!」
と歓喜の雄叫びを上げた。しかし、まわりの敵も味方も目が点…なんと彼は自陣のゴールに蹴り込んだのだ。ハーフタイムでサイドチェンジしたにもかかわらず、興奮していたPくんは前半と同じゴールを攻撃してしまったのである。頼むでホンマ…。
高校の頃のラグビー部にOくんがいた。彼は運動神経抜群の選手だったが、頭はあまりよくなかった。とある雨中の試合、ボールを持ったOくんは、タックルに来た敵を引きずりながらライン際に倒れ込み、
「トライッ!」
と絶叫した。ラグビーではトライを決めた時、大声でアピールするのである。しかし審判は冷静にいった。
「そこは22mラインや」
…そう、Oくんはゴールラインより22mも手前にあるラインに「トライ」したのである。当然のごとく得点は認められず、敵の失笑をかうばかりであった…。
高校の頃の野球部にRくんがいた。僕はラグビー部だったが、よく野球部の応援にいった。とある大会の1回戦で、終盤までもつれにもつれた試合となった。1アウト3塁、勝ち越しのチャンスで、バッターボックスのRくんはスクイズを試みた。低めに来た球はバットに当たったあと地面に跳ね返り、彼のアゴを下から直撃した。悶絶して倒れるRくん…なんとそこで審判はデッドボールの判定を出した。当然、敵チームはクレームをつけ、てんやわんやの大騒ぎ…1回戦とはいえ、審判さん頼みますよ…。
他にも、競泳の背泳ぎで壁に頭をぶつけて失神したTくんや、卓球のラケットをかじっていて歯が折れたSくんなど、おっちょこちょいアスリートは数知れず…。参加することに意義があるとはいっても、やっぱ、ちゃんとするとこはちゃんとしよ!(笑)
ちなみにS.P.O.R.T.Sくんのうち、一人は僕自身です…。
2008年8月16日号掲載

クーベルタン 1863~1937
フランスの教育者。近代オリンピックの創立者。
| 追記・・・焼べる炭 = くべるたん = クーベルタン…。五輪期間ということで無理矢理クーベルタン男爵を持って来ました。今回、僕自身の逸話は100と50を間違えた競泳選手です。この時近所の女の子も観に来ていて、とても恥ずかしい思いをした記憶があります…(笑) |
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