2月の京都マラソン、今月のびわこマラソン、いずれもランナーの足元に注目していた私ですが、以前ほどではないにせよ、今も相変わらず「厚底シューズ」が全盛のようです。数年前はナイキの厚底がこの分野を席巻していましたが、今はニューバランスやアシックスといったメーカーでも、それぞれ特徴ある厚底シューズを出していて、市民ランナーにも浸透してきたようです。
私のようなレベルの低いランナーであっても、ランナーであれば、少しでも良いタイムで完走をしたいと願うもので、厚底シューズを履いて、少しでも成績が良くなるのであれば、「一度試してみたい」と思う人がいるのも当然です。
ところが、自分の脚筋力レベルが低いにもかかわらず、評判や雰囲気だけで厚底を履いた結果、靴底の反発力が大きすぎて、転倒してしまうというケースが見られます。また、市民ランナーだけでなく、厚底が流行り出してから、エリートランナーでも故障やケガが目立っています。
このようなケースが起こっている背景には、やはり「靴」をファッションと捉えている側面があると思うのです。
「靴」には、大きく分けて「ファッション」そして「道具」としての側面があります。今、一般的な靴店で販売されている靴のほとんどは「ファッション」一辺倒。
靴の見た目や今年の流行りが、靴を選ぶ大切な基準となり、実際にそれを履いて歩くことについては、二の次となっています。人から見てカッコ良い靴であれば、自分が少々歩きづらくても、足が痛くても、我慢。
街中を歩いていると、「きっと歩くのしんどいだろうなー」と思われる若者が目につきます。とはいえ、私もこの仕事に入る前は、そんな一人でした。そして、その結果、足の健康を損ね、辛い思いをしたのです。
この経験を多くの人に伝え、足の健康を守りたいと、この仕事を始めましたが、今も昔も現状はあまり変わっていないようです。
しかし、年齢が高くなり、転倒リスクが高まっている、あるいは転倒を経験したという方の中にも、相変わらず「見た目重視」の靴を履いておられる方が少なくありません。
前述した、市民ランナーが履く靴も、そして中高年齢以上の方が履く靴も、一番優先しなければならないのは、「道具」としての履物です。間違っても、「ファッション最優先」の靴は、大きな怪我の元。
そして「道具」としての靴、私にはとてもカッコ良く見えます。爪先が細いデザインの方が違和感があります。
人の目など気にしない。自分は自分。
街中は花盛り。
身の丈に合った靴を履いて、安心安全で、快適なウォーキングを楽しみましょう。