気持ちに寄り添うこと―苦海浄土 | 足から健康 櫻井寿美

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足と靴の専門店を経営しながら足と靴の研究にも携わっています。
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作家の石牟礼道子さんが亡くなったというニュース。つい数日前、ある記事で石牟礼さんがパーキンソンを患って、今は施設で暮らしておられることを知ったばかりでした。石牟礼道子さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

 

代表作として知られる「苦海浄土」は、水俣病の悲惨さを描き出したというような生易しい小説ではありません。患者一人一人の生きざまや心の奥底に寄り添った文体は、石牟礼さんにしか書けなかったものです。そして、故郷の不知火の海が奪われた人々に対し、不都合な事を隠ぺいしようとする、あるいは事実を認めようとしない、「経済最優先」の図式は何十年も経った今も、何も変わっていません。

 

「気持ちに寄り添う」というのは、カウンセリングなどの世界でよく使われる用語ですが、実際にその人の気持ちに寄り添うというのは、やっているようで、実はなかなか出来ないことです。私たちの足のカウンセリングでも、できる限りその方の気持ちに添って、お話を聴くことが、最も重要な仕事であると思っています。

 

押しつけでもなく、上から目線でもなく、淡々と語られるその人のお話に耳を傾けることが、「気持ちに寄り添う」第一歩。足と靴の問題解決も、まずは気持ちに寄り添って、お話をきくことから始まります。と、偉そうにいっていますが、私もまだまだ出来ていません。さらに精進を続けたいと思います。