「思い出してくれたかい」
「僕の存在を」
「君との関係を」
ただあった闇を照らすようにひとつの炎が生まれていたという記憶があった。
「愛しきひと」
「今の僕には名前があるから」
「君の傍に居られる」
この現状があるのは彼のせいとも言える。
だが、有る意味これで良かったのだ。
「愛しき半身」
「君のために」
「照らしていく」
あんな事件でもなかったなら、彼の存在を思い出す事はなかっただろう。
「名前を呼んで」
「君の声で」
「それだけでいい」
ラーフラム。
ラーフラム・イグナ・ベルマンダール。
それが彼の名前。あの時与えることの出来なかった名前。
「ありがとう」
「これで僕は」
「君の傍に居られる」
「一番近くに」
「…一番、近くに」