照明がどうの役者の演技がどうの、全体のクオリティがどうのと批評するコメントを見た。
1ファンとしては腹が立つが、確かに細かい所に色んな不備があるのは事実で、原因は、低予算で撮影時間に限りがあるのと監督一人で十何役ものスタッフの仕事を兼務していたため、
チェックから漏れたり見落としたり妥協せざるを得なかったりしているせいだとBlu-rayのオーディオコメンタリーで監督も語っている。
役者の演技については、山口馬木也と冨家ノリマサ始め出演している役者さんたちはベテランが多いのでワシには芝居に違和感を感じなかった。
ちょろちょろ出てる若手は変な違和感を感じていたが、特に山口馬木也は高坂新左衛門そのものにしか見えないほどの好演だった。
作品全体的にも、あの批評者でも面白いものであることを否定できない出来だったし、ワシは各種受賞の事実を知らない時に、観終わった感想が
これは必ず賞を取れる作品だわ!😳
と確信していたほどだったから、アカデミー賞の最優秀作品賞は妥当だと思っている。
因みに観終わった直後は自主制作だということは知らなかった。あとで知って、それであのクオリティーなのか!と驚いた。
ちゃんと予算があれば、ちゃんとオープンセットも借りれたろうし、時間もたっぷり取って殺陣の稽古も十分出来たろうから、もっとクオリティーは高くなったと思う。
低予算で人員不足の中、東映撮影所の計らいで空いた時期と時間にオープンセットを安価に借りるという事情から、
限られた時間で撮影をしなければならない困難を抱えつつこのクオリティーで映画を作ったというところがワシは凄いと思う。
誰が何を批評しようと、たった一館の上映から始まり、メディアの宣伝が皆無な中、観た人の口伝てに広まり全国で300館以上の上映がなされ興行収入も10億を超えた。
この事実は否定できなかろう!
つまんない映画は二度以上見る奴などおらん!観るたびに感動するからこそリピーターは発生するし、この映画では100回観たとかいう強者さえいる。
ワシは上映が終わってから観たのだが、それでも10回以上は観ていてまだ飽きない。
Blu-rayのオーディオコメンタリーと未公開シーンを楽しんでいる。
可能なら、京都まちかど映画祭に出品したロングバージョンを観たい願ってるほどだ。
人は10人十色、100人100色だから観た人全員全てが良しとはしないだろうが、まあワシの感覚としては6〜8割の人たちは感動し巷には高評価が溢れているように思う。
何が魅力なのか?
ワシは人だと思う。
映画の中の人たちに会いたくなる、そんな気持ちになるんだと思う。
山口馬木也演ずる高坂新左衛門のキャラクターが、まあ純朴で愛らしい!
それを見つめる冨家ノリマサ演ずる風見恭一郎の笑顔が心温まる。
沙倉ゆうのが演ずる助監督・山本優子の誠実さに心洗われる。
映画の中のこれらの人々にまた会いたくなってしまう気持ちが湧いてしまうのが、この映画の魅力なのだろう。
人に会いたいんだから、多少の映画の不備など映画自体作り物なのだから、そんなもの眼中には残らない。
最後の殺陣も凄かったが、人の魅力が溢れていて「男はつらいよ」を彷彿とさせる。
もう当分時代劇は撮らない!と監督は言ってたが、もっと予算を付けて、ちゃんと撮影所を借りてしっかり撮った続編かスピンオフを作ってもらいたいと、それをまた観てみたいと心から願ってしまう。
