上巻を読み終わった。
八人目の八犬士、犬村大角出現で終わる。
おそらく滝沢馬琴の原書の流れ通りなのだと思うが、凄いと思ったのは山田風太郎の文章の表現力と、元ネタの滝沢馬琴原書・南総里見八犬伝である。
設定がものすごくリアルで細かく、だからこその作品の深さと重さ壮大さなのだと感じ入った。
慮るに、南総里見八犬伝とは本当に凄い名作であると思わざるを得ない。
これを映像化なんて、今のCG技術をもってしてもワンクールこときに収まるはずもなく、おそらく一年がかりでも描ききれないと思った。
それを二時間ちょっとの映画で描くなんて不可能だと思う。
ワシは先に南総里見八犬伝のあらましを、大雑把にでも知ってたから今回の映画の八犬伝には薄さと軽さを感じざるを得なかったが、全く予備知識のない人なら満足したのだろうか?
恐ろしいほど映画と原作の内容の乖離が甚だしい!
滝沢馬琴、山田風太郎、この世にはもう居ない両原作者があの映画を観て感動し納得するだろうか?
山田風太郎の原作の方が圧倒的に素晴らしい!
滝沢馬琴の原書は、もしかしたら更に凄いのかも知れない!
本当に、八犬伝をあの映画でしか知らなかった人には山田風太郎の原作を読んでもらいたい。
まいったなぁ、本当に違いすぎるんだよ!
でも、役所広司と内野聖陽は頑張ってて、山田風太郎原作の八犬伝の中の「実の世界」での滝沢馬琴と葛飾北斎をしっかりと表してはいた。
そこはやっぱり名優だとワシも思った。
だが「虚の世界」、八犬伝の部分はいかん!原作とは比べ物にならない!残念極まりない!
諸事情で仕方のないことだとは思うよ。でもね…
ならなんで映画化したの?
と、問われても仕方のない出来になってるのは、どう考えたらいいのだろう…
制作者や演者の苦労を思えば辛辣にも言えなくなるけど、
何で映画にしたの?
何を訴えたかったの?
何を見せたかったの?
勧善懲悪ははっきり分かったけど、あの程度だと「何ちゃら戦隊なんとかジャー」とか「仮面なんとか」と変わらないよ!
八犬伝の深さ重さ壮大さ緻密さを考えたら残念で仕方がない!
本当に、なんであれを映画にしたのよ?💢