今回の映画・八犬伝。


原作の山田風太郎の著作を読んでいる。


今のところの感想は、原書の滝沢馬琴(曲亭馬琴)の著作も素晴らしいものだと感じたから、当然、山田風太郎の八犬伝も素晴らしい小説になってると思った。


だが、残念なことに今回の映画は、役所広司や内野聖陽、寺島しのぶなど俳優女優陣は本当に頑張っていたが、八犬伝のストーリーは薄くて軽く、出来合いの戦隊ヒーローものみたいな作りになってしまっていた。


若手の役者の技量不足かと思った、それもあったかも知れないが、原作を読み進めていくうちに脚本から問題があったのだと分かった。


滝沢馬琴の人となりに対するストーリーはそんなに悪くなかったとは思うが、それでも全体の半分で語るには悲しいくらいに尺が足らない。


八犬伝のストーリーなどはもっとだ!映画では簡略化し過ぎてしまっている。


山田風太郎の原作はとても読みやすく面白い!


馬琴の原書をかなりの部分踏襲して、見事にその深さや壮大さが表現されてると思う。


映像化が難しかったのだと思う。南総里見八犬伝のストーリー自体が事細かく深くて壮大すぎるから、どこを端折ってもストーリーの味わいを削ってしまって浅くなる。


映画は上映時間の制約があるし、制作予算の都合もある。キャスティングは原作通りの人数などにはできない。


そこで、登場人物を最小限にするため同一人物としたり、珠の出所を生まれた時に握ってた…などと作り変えざるを得なかったと推測する。


事情は分かるが、結果、八犬伝の部分の厚みも深みも、薄く浅くならざるを得なかった。残念である。


勧善懲悪であるという部分は残っているから、そこは意味があったとは思うが、あのままでは何のために映画にしたのかワシには分からなくなった。


正直、2回3回と観たいとは思わないし、Blu-rayなどを買おうという思いにもならない。大変残念だ!


滝沢馬琴の原書も、それをモチーフとした山田風太郎の原作も素晴らしい物語だから、ちっちゃくまとめ過ぎて失敗してると思った。残念至極だ!


ともあれ、山田風太郎の八犬伝、最後まで読んでからまた考えてみよう。