皆さんは、ラザニアって召し上がりますか?
実はこれ、私の好物のひとつなんです。
子供の頃からミートソースが大好きで、大学院進学を機に家を出て、家庭教師の他に、家庭教師に毛が生えたような私塾を開いて糊口をしのぎながらひとり暮らしを始めた頃は、お得なミンチを買って、ミートソースをどっさり作り、冷凍して、来る日も来る日もミートソーススパゲティを食しておりました。
丁度、ひとり暮らし2年目の5月末ごろに出会ったクリンにも、このミートソースをお裾分けしていた記憶も。
自動販売機の下でビービー鳴き立てていたクリンは完全な野良猫。
販売機の下から助け出し、埃を取り、ヤニで塞がっていた目を拭いてやり、アパートのベランダでミルクか何かを与えたような気がしますが、ミルクを飲んでしまうと、すぐにベランダに置いてあった洗濯機の下に隠れてしまいました。
本気で人間を警戒していたクリンは、それからもかな~り長い間、べランダの洗濯機の下を棲家とし、いわゆる外猫として暮らしておりました。
最初は、その内、どこかに行ってしまうだろう、と思っていたのですが、元来、臆病なクリンは、ず~っと狭くて暗い洗濯機の下にいて、私が家庭教師先から原付バイクで帰宅すると、こっそり這い出て来るという具合。
当時(1980年代前半)は、猫缶というものがまだまだ一般的ではなく、多くの飼い猫達は、魚の骨などの人間のご飯の残り物や、残り物もない時は、白ごはんに鰹節をかけた、いわゆる猫まんまを食していました。
学費は貸与奨学金で賄っていたとは言え、家賃、光熱費、食費、交通費、書籍代などを支払うと、ほとんど手元に残らない暮らしを送っていた私にとって、猫缶は超高価なもの。
とは言え、ゼミの人達と外食する日も多く、家に猫が食べられそうな食べ物が必ずあるというわけでもありません。
で、外猫クリンの為に買って来たのは、比較的安価だったドライフード。それを洗濯機の陰に水と一緒に置いておき、時々、自分の食事を少し分けていたという感じ。
そのお裾分けの中で極めて頻度が高かったのがミートソースでした。
猫には絶対に与えてはいけない玉ねぎも入っているので、今なら完全にNGです(それでも21歳まで生きたということは、もし玉葱入りミートソースを与えなければ、25歳や30歳も夢ではなかったのかも?)
そんなミートソース好きの私は、1970代頃(?)からイタリア料理店やファミレスなどで出回り始めたラザニアも大好物で、友人達と外食する時などには時々、食しておりました。
で、1980年代も後半になると、スーパーでラザニアを買ってきて、ミートソースを挟んで作っていた記憶が。
が、1991年4月に日本を離れてからは、確かフランスでもイギリスでも、学食では食していましたが、作ったことはなかったように思います。
1993年5月から6年半滞在したフィリピンでは、イタリア料理店で食べたことがあったような気もしますが、作ったことは一度もありません(きっぱり)。
さて、8年半に及ぶ海外生活に一応のピリオドを打って帰国したのが1999年12月7日。
両親宅の建て替えに伴う引越しのためです。
両親宅に預けてあった膨大な量の書籍を含む荷物と共に、その頃は珍しかったペット可の公団住宅風集合住宅へ引っ越したのが翌2000年1月8日。
その片付けも手つかずの内に、翌々日の1月10日、今度は両親宅に残っていた主に両親の荷物を、仮住まい先である父の建てた小さ~な自社ビルの4階へと運び込みました(←私が手配した引越し業者さんが、です。両親はそれから半年の間、1LDKとも呼べないような狭~い空間に住んでおりました)。
一方、私はと言うと、パペルと一緒に、集合住宅の各部屋に山のように積み上げられたダンボール箱をせっせと開けながら、そろそろ今後の事を考えようとしていたのです。
ところが!
そんな矢先の2000年2月、パペル母の胃がん(第3期-b)が発覚。
結局、それから1年ほどは、3月に手術したパペル母の回復を待ちながら、「考えるノート」の開設に向けて、PCを買って設定をしたり、当時はホームページと呼び習わされていた個人のウェブサイトを巡って、ウェブサイト開設のノウハウを色々と学んでおりました。
そうだ、ラザニアを作ろう!と思い立ったのは、そんなちょっとモラトリアムな時を過ごしていた頃のことだったように思います(←やっとラザニアに戻って来たな)。
ラザニアを作るのは、1980年代後半から1991年に日本を離れるまでの数年間以来のことなので、約10年ぶりのこと。
早速、今でも行きつけのエコ系スーパーに行き、パスタコーナーでラザニアを探すことに。
が、なかなか見つかりません。
その頃はまだ自然な日本語がスッと口をついて出なかったのですが、勇気を出して店員さんに「ラザニアはどこにありますか?」(←「はじめてのにほんご」風の話し方で)と聞いてみました。
すると、店員さんがのたまいました。
店員さん: ラザニアって、出来ているラザニアではなくて、ラザニアそのもののことですか?
唯でさえ、日本語が不自由な時期に、ちょっと不思議なことを言われたので、一瞬、頭の中が真っ白になるσ(・_・)ワタシ。
が、何とかこの質問の意味を理解して
ラピス: はい、そうです。
と答えると、店員さん、申し訳なさそ~うな顔をして
店員さん: 申し訳ありません。ラザニアは置いていないんです。
レンジで温めてすぐに食べられるラザニアならあるんですが・・・。
とのたまうではありませんか!
ラピス: (心の声)え?スパゲティとかマカロニとかはあるのに、ラザニアはないの?でも、レンチンして食べるラザニアはあるの?ラザニアは食べるけど、作らないってこと?
というわけで、以来、一度もラザニアを作っておりません。
・・・なんて言っていますが、行きつけのエコ系スーパーにはなかっただけで、探せばあるんでしょうけれど。
現に、パペル母御用達の高級スーパーにはラザニアがず~っと置いてありました。でも、とってもお高い!
で、好物と言いながら、かれこれ30年余り、自分では一度も作ったことがないのであります。
そんなラザニア好きの私がおっ、これ、簡単で美味しい!と思ったのが、今回ご紹介するレシピ。
考案者はパペルです。
例によって、最安値になっていた不ぞろいなすと不ぞろいトマトがどっさりあったのを使おうというところから、パペルが思いつき、2人で作りました。
実際、このレシピ、私1人では作れません。と言うのも、今回は焼きなすヴァージョンだったからです。
猫舌ではないのに、激しい猫手で、熱い物が触れない私が美味しい焼きなすを作るのは至難の技。
なので、焼きなすはパペルが、ミートソースは私が作りました。
ちなみに、ネットで検索してみると、なすを普通に田楽風に焼いて作るヴァージョンは割に沢山、出ているので、私のような猫手の持ち主で、焼きなすを作ってくれる人が側にいない場合は、田楽ヴァージョンでお試し下さいませ。
私のミートソースとラザニアの回顧録が無闇に長くなってしまいましたが、材料と作り方です(←やっとですか?)
【材料】 (私たちの2人分、普通なら4人分)
作りながら味をみて
色々と加えていったので
ここ↑に写っていない材料も少なからずあります。
<焼きなす>
●なす・・・ 4本(4本で522グラム)
<ミートソース>
●オリーブオイル・・・大さじ1
●にんにく・・・ひとかけ →みじん切り
●玉ねぎ・・・中1個(245グラム) →粗みじん切り
●合いびきミンチ・・・ 360グラム
●トマト・・・小2個(2つで279グラム) → 乱切り ※1
●野菜ジュース・・・400 CC ※2
※1と2 この日はたまたま不揃いトマトと期限切れの野菜ジュースがどっさりあったので、これらを入れましたが、これらの代わりにトマト缶でもOKです・・・と言うか、トマト缶が一般的かも?
●塩・・・適量(小さじ2分の1以下)
●胡椒・・・適量
●ローリエ・・・大1枚●トマトペースト・・・大さじ1
●オレガノ・・・適量
●ナツメグ・・・適量
●醤油・・・小さじ2
●ヴィヨン・・・1個
●バター・・・10グラム
●モッツァレラチーズ※3・・・ 100グラム
※3 たまたまモッツァレラチーズがあっただけで、普通のピザ用チーズでOKです。
【作り方】
1) なすは洗ってへたを取り、魚焼きグリルなどで焼いて、皮を剥いておく。2) これと並行して、深めのフライパンでミートソースを作る。フライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りのニンニクを加えて、香りが出てきたら、粗みじん切りの玉ねぎを加えてよく炒める。
3) 玉ねぎが透き通ってきたら、合いびきミンチを入れて色が変わるまで、更に炒める。
4) ミンチに火が通ったら、乱切りのトマト、野菜ジュース、塩、胡椒、ロリエ、トマトペースト、オレガノ、ナツメグ、醤油、ヴィヨン、バターを加えて味を調える。
5) 耐熱皿にミートソース、割いて千切った焼き茄子、ミートソース、焼き茄子、ミートソースの順に交互に入れ、最後にチーズを乗せて、オーブンかオーブントースター、あるいは魚焼きグリルで、チーズにこんがりと焦げ目がつくまで焼き上げれば出来上がり!
さて、お味の方は?焼きなすとミートソースの相性が抜群!焼きなすだからあっさりしていてヘルシー!これならいくらでも食べられる!なんて言いながら、例によってあっという間に平らげてしまいました。
この週末、なすとトマトとミンチがお安く手に入ったら、是非、お試しください。お子様はもちろん、焼きなすヴァージョンなら、とってもあっさりしていて、お年寄りにも受けるお味。超おススメです!