毎度おなじみGRISさんからの贈り物『せいかつカレンダー』@婦人之友社、4月の絵のタイトルは『4月号表紙』。岡本帰一(1888年 - 1930年)、1930年の作品です。

ピンクをバックに黄色と白の大きな蝶が描かれ、青と紫の花が散りばめられています。

そんな如何にも春らしい色彩を背景に、おかっぱの女の子が踊っています。今ならモデルのような髪型。赤とくすんだ緑色の模様の入ったワンピースに、茶色の縁取りのついた青いベストを羽織り、足にはまるでひと頃流行ったルーズソックスのような靴下とストラップのついた茶色い靴を履いています。

その女の子を見ながら、地面に座り、笛のようなもの(クラリネットのようでもあり、オーボエのようでもあり)を吹く男の子。優しいまなざしで女の子を見つめている彼は兄でしょうか?緑色の帽子を被り、白いシャツに青い上着、黒い半ズボン。足にはグレイの靴下と茶色い紐靴を履いています。

春が来た喜びに満ち溢れているように見える2人はとっても楽しそうです。

岡本帰一がこんな明るい絵を描いたのは、多分、春になる頃。そして、その年の暮れ、彼は腸チフスで亡くなっています。享年42。

この絵の持つ勢いを見ると、まだまだ良い絵が描けただろうと思われます。

私達もO村で苦しめられた腸チフスに倒れたとは、本当に残念な気がします。