毎年、大学入学共通テストの日は雪が降って公共交通機関に遅延が出たり、試験会場では英語のリスニング問題が聴こえなかったり、間違った問題用紙が配られたり等、絶対に問題が起きます。

時期的にもう少しずらしたり、リスニング機器の点検マニュアルを作ったりできないものかと思っていましたが、今年はそんな問題が些細な事に思われる出来事が2つも起きました。

ひとつ目は15日の午前8時半頃、大学入学共通テストの会場のひとつだった東京大学弥生キャンパス「農正門」前で、高校生が、女子と男子の受験生2人と70代の男性1人を、刃渡り約12cmの包丁で背中から次々と切りつけた事件。

もうひとつは同日午後1時過ぎ、トンガ諸島の火山が大規模爆発を起こし、その日の夜までは日本に影響なしとの報道が流れましたが、深夜になって各地で津波注意報・警報が発令。住民は真夜中に避難することに。この津波により、岩手県の1会場で大学入学共通テストが中止になり、電車の運休で、約1300人が開始時間を繰り下げて受験することになりました。

これだけでも大変だと思うのですが、どうやら今年の試験は難易度が高く、特に数学が難しすぎるという書き込みがSNSにあふれているようです。

この2年間、コロナ禍に翻弄されながら勉強を続けて来た今年の受験生は唯でさえ、大変だなぁ、と思っていましたが、大学入学共通テストの日にこんな事が起こるなんて、本当に不憫です。

負傷した3人の方々の1日も早い回復を願うと共に、刺傷事件を目撃した受験生が動揺の余り、全く実力が出せなかった、というようなことがないことを心から願ってやみません。

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そして、週明けの昨日は阪神淡路大震災の27回目の記念日でした。つまり、現在30歳の人でも当時はまだ3歳で、ほとんど震災の記憶がない人が多いのだと思うと、心底、驚きます。

 

先日、あるテレビ番組で、ベルリンの壁が崩壊した年に生まれたと言っていた人がやはり30代でした。ベルリンの壁が崩壊したのは1989年11月9日ですから、この間の11月ではや32年。あの時に生まれた人がもうしっかり大人だという事実に愕然としました。

 

今にあの東日本大震災の事を知らない世代が増えてくるのかと思うと、自分がベルトコンベアに載せられて、どんどん先へ先へと送られて行っているような気分に陥ります。

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さて、今日ご紹介するフィリピンの料理はパンシット(pancit)です。

私達がフィリピンに滞在していた頃、私達を初めてネグロスのフィールドに連れて行ってくれたNGOの代表が、NGOのプログラムのファローアップの一環で日本からやってきて、私達もイロンゴ語通訳として数日、行動を共にしたことがありました。

O村での聞き取り調査も終わり、ネグロス西州の州都バコロッドまで戻って、食堂で一緒に食事をした時のことです。私達がパンシット・カントン(pancit canton・・・だったと思います)を注文したら、代表が

代表: この焼きそば、美味しいね。これ、なんて言うの?

と痛く気に入っていたことを今でもよく覚えています。1980年代後半からネグロスに通っていた彼が、フィリピンの最も代表的な料理のひとつであるパンシットを知らなかったことにとても驚いて、心に残っているのでは❓と。

実はその数年前、私達が初めて代表と一緒にO村を訪れた時、NGOのコンタクトパーソンで、宿から食事までお世話になっていたJ&S夫妻の家でも、パンシットが供されていたような気がするので、代表も多分、パンシットの類は何度も食した筈ですが、名前を知らなかったのだと思われます。

パンシットというのは、大雑把に言えば「」という意味。日本でも、栗ご飯赤飯麦飯五目ご飯など、穀類一般を炊いたものの総称として、「」という言葉が使われますが、このパンシットも、麺類一般を指します。

代表が食して気に入ったのは、いわゆる日本の焼きそばに近いパンシット・カントン(pancit canton)。カントンは丸打ちの卵麺で、日本で言う中華麺です。

 

こちら↓は中華料理店で食したもの。

 

 

卵がどっさりのっていたりして、町中の食堂で食べるのとは、かなり趣が違いますが、麺はこんな感じです。

次に日本人に馴染みがあるのは、パンシット・ビーホン(pancit bihon)。文字通り、ビーフンです。

そして、O村のお祭りなどによく出て来るのが、パンシット・スータンホン(pancit sotanhon)。こちらは春雨。カントンビーホンよりも高価で、喜ばれる為、私達もO村を訪れる時に持ち込む食材には必ずこれ↓を入れます。



画像はお借りしました。

 

コンタクト・パーソンのひとりであるJもかつて私達が料理を準備した時

J: あ~お腹いっぱい。もう何も入らない。あ、これ、ビーフン?それともスータンホン?真顔

私達: スータンホン。

J: それならちょっと食べよう。
ニヒヒ

と言ったくらい。

 

ちなみに、パンシット・ビーホンパンシット・スータンホンって、地元の人でも見分けがつきにくいので、冒頭の画像も、そしてこれら↓も、そのどちらかですが、はっきりとは分かりません(陳謝)。

 



 

又、残念ながら画像はないのですが、パンシット・ロミ(lomi 厚い卵麺)パンシット・ミキ(miki柔らかい卵麺)というのもあり、これらは、もっちりとした食感が特徴で、日本のうどんに似ているかも知れません。

ネグロスのお店では、ミキ・ビーホンという料理も見かけます。これはその名の通り、ミキビーホンを混ぜ合わせた麺類。日本で作るなら、うどんとビーフンを一緒に調理すれば良いかも?

パンシット・パラボックは細長いコーンスターチ麺で、ジョリビーのパラボック↓が有名です。



画像はお借りしました。

 

この他、ワンタンに包まれた餃子のようなものが入ったパンシット・モロ(molo)や、日本のそうめんにも似た小麦の細麺のパンシット・ミスワ(misua)などは、スープ仕立てになっていることが多いように思います。

さて、これらの麺類の内、カントンビーホンスータンホンロミミキあたりは、多くの場合、ニンニク、玉ねぎ、人参、いんげん、キャベツ、ピーマン、サヨテ(はやとうり)などの野菜と鶏の肝や豚肉、或いは、エビ、カニ、イカなどの魚介類と一緒に、醤油、味の素、オイスターソースなどで味付けして炒め煮します。


実はパンシット・カントンを作っているところを目撃したことがないので、確証はないのですが、少なくともビーホンスータンホンの作り方を見る限り、フィリピンの麺類は焼くというよりは、炒めてから水分を入れて煮るので、炒め煮という感じなのでは?と思います。

ちなみに、お店では、パンシットという部分を省略して、例えば、「スータンホン・ギサード(guisado)」と書かれていることがよくあります。ギサードとはスペイン語では「煮込む」という意味で、本来ならシチューとかに使う単語のようですが、フィリピンではそれが変化して「調理する」という意味で使われているようです。

上にも書いたように、特にビーホンスータンホンは、具材を炒めてから味つけしたスープでビーフンや春雨を煮込んだ料理とも言え、日本の焼きそばのように「焼く」というよりは、「ギサード(煮込む)」と言えるかも知れません。

 

あ、それから、麺類で忘れてはならないのがネグロス名物のバッチョイ(batchoy)↓。こちらもパンシットのひとつです。

 

 

パンシットはお手頃価格で野菜や肉類などをバランスよく頂けるので、栄養が偏りがちな旅先ではおすすめの一品です。コロナ禍が終わり、もしフィリピンに行かれることがありましたら、町の食堂やショッピングモールのフードコートなとで、是非パンシットを試してみて下さいね。ウインク